テトスへ手紙 2章
テトスへの手紙 2章
=本章の内容=
❶老人・婦人・若者・奴隷への接し方
=ポイント聖句=キリストが私たちのためにご自身をささげられたのは、私たちをすべての不法から贖い出し、良いわざに熱心なご自分の民を、ご自分のためにきよめるためでした。あなたは、これらのことを十分な権威をもって話し、勧め、また、責めなさい。だれにも軽んじられてはいけません。(2:14~15)
=黙想の記録=●ローマからクレタ島まで海路で約1200km。クレタ島にいるテトスに手紙を送るなら海路の方が陸路より安全で時間もかかりません。当時の木造の帆船なら時速15kmと言ったところ。どこも立ち寄らなければ80時間で到着できます。ところが直行便では仕事にはならず、途中2か所の港に立ち寄ったと考えると、プラス2日間を要することになります。つまり、推定5日かかります。実際はもっとかかるかもしれません。クレテ人の民度の低さは、他国に蹂躙されてきた悲惨な歴史によるものです。テトスがこの民族を理解するまで、また「よそ者」から「隣人」として受け入れてもらうまでには相当の日数が必要だったことでしょう。机上の計算だけで宣教は成しえないのです。唯一救われるのは他のギリシャ都市と比べて偶像が少ないことです。
●他の書簡と異なり本章には、教理が少なく、宣教に関する実践方法が多く書かれています。ここでは特に老人・婦人・若者・奴隷に向けて「基督者生活」の実践を勧める内容が書かれています。でもこの内容は同時にテトスが彼らに対する接し方でもあるのです。「慎み深い(G:sophronソフロン)」という単語が目立ちますが、慎み深いとは「心をひきしめて軽はずみな言動をしない、遠慮がちで控えめである。必要以上に脚光を浴びようとしない。」という意味があります。これはどちらかと言えばテトス本人が一番身に付かなければならないことでした。島の古老は島の歴史や島の人物を知り尽くした人達です。婦人たちは主人より多くのネットワークを持っています。若者は力仕事の即戦力になります。奴隷(使用人)は最下層にいる人々ではありますが、生活の全てを担っている人々です。彼らを「支配するのではなく良く理解し、同調する(同期する)」ことをパウロは勧めているようです。これが牧会者のあり方です。