テトスへ手紙 1章
テトスへの手紙 1章
=本章の内容=
❶始めの挨拶❷宣教について➌長老の任命④クレテ人に遣わされたと言うことは
=ポイント聖句=私があなたをクレテに残したのは、あなたが残っている仕事の整理をし、また、私が指図したように、町ごとに長老たちを任命するためでした。(1:5)
=黙想の記録=●テトスはギリシャ人で割礼を受けていません。ガラテヤ書ではパウロと一緒にエルサレム会議に出席、そこで異邦人にも救いが及んでいることの証人となりました。テトスについてはコリント書、ガラテヤ書、テモテ書に登場していますが、パウロから厚い信頼を受けていた人物です。コリント教会から義援金を預かり、エルサレムに届けた人物でもあります。最終的にはクレテにある教会の監督者となり、伝承ではそこで長寿を全うしたとのことです。
●テトスはこのクレテで生まれた教会再構築の為に遣わされた訳ですがかなりの悪条件でした。クレテ人はとても御しにくい人々でした。「うそつき、悪いけだもの、なまけ者の食いしんぼう」とまで表現されている程で、教会の信徒にもこの傾向がみられていたのです。教養があり、品行方正な、実直な人々ではなかったのです。こうした悪条件の中で長老を選出し育て挙げるのは一朝一夕にはできなかったのです。彼らの弱さを熟知し、育て上げるには忍耐の長い年月が必要だったのです。一説によれば、テトスは94歳でなくなるまで、このクレテ人教会を指導し続けたのです。
●教会をゼロから築きあげるには、気の遠くなるような年月が必要とされます。誤解されることも沢山あるでしょう。どれだけ尽くしても裏切られることもあるでしょう。しかしこれが牧会者なのです。冒頭の挨拶でパウロは自分を「イエスキリストの使徒」と呼んでいます。「使徒」はギリシャ語「遣わされた者」を意味する言葉で広義に解釈するならすべての基督者ですが、「イエスキリストの使徒」は限定された人物を指し、基督者全員のことではありません。。十二使徒はイスカリオテのユダの代わりに選出されたマッテッヤを除き,すべてイエス様が直接選出した者たちです。テサロニケ書・テモテ書・ピレモン書を除く牧会書簡の全てでパウロは自分を使徒であると主張しています。コリント人への手紙第一12章でパウロは使徒職は神が選出された特別職であって、すべての基督者を指す言葉ではないと自ら説明しています。パウロには「イエス様との強烈な出会い」他の使同様なまたはそれ以上の「使徒ゆえの迫害・困難」が「使徒」であることの証明であると彼の書簡で何度も主張しています。現代、もし自分を「イエスキリストの使徒」と自称し、「自分の語る言葉を新約聖書同等の権威を持つもの」としたなら、その人物は明らかに「偽使徒」です。