ルツは色仕掛けでボアズに近づいたのではない

なるほどTheBible2023/11/27
=ルツは色仕掛けでボアズに近づいたのではない=
ナオミの配慮ここにあり!
[参考聖書箇所]ルツ記3:1-8
一読するとナオミは自分の身の安泰の為にルツを利用し色仕掛けでボアズを凋落させる計画を立てているとの邪推がでてきます。しかし、この行動はボアズの高潔な人格からすると、主なる神様の言葉に従った一連の純粋な行為に泥を塗る結果になりかねないのです。さらに前述した様にボアズとルツの間には大きな障壁がいくつもあります。ボアズがナオミとルツのよこしまな計画に激高すればベツレヘム追放の憂き目にも合うのです。しかしナオミには一つの確信がありました。それはこれまでの主の御計画に対する確信でした。モアブの地に行くことが悲惨な結果をもたらしたことも、ルツが自分を頼って来たことも、ボアズの畑にルツが導かれたのも偶然ではないとの確信です。異教文化では御言葉すら思い出せなかったのです。故郷に無事に帰り、イスラエルの良き習慣つまり主なる神様の御言葉に頼ることが、どれだけ確実な幸せを掴めるかを確信したのです。ナオミは自分の安泰の為にこの計画を立てたのではなく、ルツを神様の御計画に委ねる決意をしただけなのです。4節のナオミがルツに命じた言葉を比較してみます。
4,あの方が寝るとき、その場所を見届け、後で入って行ってその足もとをまくり、そこで寝なさい。(新改訳2017)
4あの方がお休みになる場所をちゃんと見届けてから、そっと入って行き、足もとの覆いをまくって横になりなさい。(リビングバイブル)
4あの人が休むとき、その場所を見届けておいて、後でそばへ行き、あの人の衣の裾で身を覆って横になりなさい。(新共同訳)
4,And it shall be, when he lieth down, that thou shalt mark the place where he shall lie, and thou shalt go in, and uncover his feet, and lay thee down(KJV)
4,Be sure to notice where he lies down; then go and uncover his feet and lie down there.
イスラエルではこの行為が女性から男性への求婚になるのだそうです。しかしこの行為は昼間に行われるもので夜陰に乗じて不意打ちを掛ける様なものではありません。ボアズは情報がありませんが妻が居ないのでしょう。ルツは子供のいない未亡人です。この求婚を妨げる律法はありません。しかし、現代の日本人からすれば、かなり強引な方法です。しかし夜陰に乗じたこの行為にはナオミのボアズとルツ双方が傷つかないようにする大きな配慮があったのです。
[2]だからと言ってナオミが公然とボアズが贖い主であると主張することはボアズにルツに対する愛情が無ければ大きなプレッシャーとなり迷惑をかけることなのです。また真昼間にこんな行為をしてルツの求婚が断られたらどれだけルツは傷つくでしょう。ですから秘密裏にことを勧めるのが最良の策なのです。
主なる神に信頼してこの計画を実行する確信を持ったナオミの言葉にルツはためらいなく従うのです。収穫したばかりの大麦や小麦は脱穀上に集められます。風の力を利用するので、「打ち場」は小高い目立つ場所にあることが多かったようです。その為盗まれるのを防ぐため寝ずの番を置いておかなければなりません。本来使用人がするべき仕事でしたがボアズは自らそこに居たようです。他の使用人もいたことでしょう。脱穀の日は祝い酒や御馳走が振舞われるようです。夜も更け全員が程よく酔って寝静まったのを見計らってルツは夜陰に乗じてボアズに近づきナオミの指示通りボアズの足元で横になります。