ルツ記4章

ルツ記4章
=本章の内容=
❶買い戻しの権利❷ルツの出産
=ポイント聖句=7,昔イスラエルでは、買い戻しや権利の譲渡をする場合、すべての取り引きを有効にするために、一方が自分の履き物を脱いで、それを相手に渡す習慣があった。これがイスラエルにおける認証の方法であった。
17,近所の女たちは、「ナオミに男の子が生まれた」と言って、その子に名をつけた。彼女たちはその名をオベデと呼んだ。オベデは、ダビデの父であるエッサイの父となった。
=黙想の記録=❶1-12節:買い戻しの権利・・・ボアズが十人の長老たちを呼び集め町の門に座った瞬間、最も親しい親族が通り過ぎました(4:1)。ボアズはその日の朝ルツに「買い戻しの権利のある親族」を見つけると誓ったばかりでした(3:13)。ボアズとルツを結び付けるために神様が介入なさったのです。
・エリメレクはベツレヘムの土地が干ばつに見舞われたとき、その土地を売却しました。その後彼は家族と一緒にモアブに避難しました。ところがそこでエリメレク自身と彼の二人の息子は相続権のないまま亡くなってしまいました(ルツ記1:1)。律法下では、最も近い親族は、亡くなった男性の家族に財産を償還する義務がありました(レビ25:25)。土地を買い戻す親族がいなければ、エリメレクの家系は絶え、財産を取り戻す相手もいなくなります。最も近しいエリメレクの親族に、彼の土地の買戻しを提案しました。親族はこの提案を聞き一旦快くこの提案を受諾します。ところがリピート婚の律法に従い外国人女性ルツを贖う(嫁として迎えなければならない)ことを付け加えられるとあっさりとこ受諾を撤回します。
・ルツを贖うことを拒んだ親戚の動機は大変利己的です。その理由の第一は財産を贖う費用だけならまだしも、未亡人ナオミの扶養費やルツとの結婚費用をも負担しなければならないのです。負わなければならない新たな義務は彼の資産を増やすどころか、彼が先祖から受け継いだ資産を枯渇させてしまうのです。第二に仮にルツとの間に子供ができた場合、その子はエリメレクの正式な後継者となり、彼の持つ全財産は後継者のものになってしまいます。つまり自分名義の財産は彼の名前と共には消滅するのです。第三にボアズがルツを「モアブ人」として紹介したことでモアブ人の血を引く者の手に落ちることで、彼の一族にも類が及ぶ危険にさらされるだろうとの心配があったのです。この結論からこの親戚は買戻しの権利を放棄しボアズにその順位を正式に譲るのです。ナオミやルツの人柄等には一切考慮はしていないのです。ここで親戚が履物を脱ぐ場面が出てきます。履物は所有者が土地を踏む権利を象徴するものです。履物を脱ぐ行為は権利を有する者が土地を踏まないことつまり権利を放棄することを意味したものです。また相手にその履物を渡す行為はその権利を譲ったことを表現したものです。
・ボアズは公明正大な人物であることが明らかにされるのが本章です。①エリメレクの親戚で最も近しい人物へ情報を正確に伝える。②強引な手段を取らずまた正式な慣例に沿ってことを解決する姿勢が見て取れます。こうしてボアズは町の長老たちの前でルツを贖うことを告白しました(4:9-10)。
・長老たちの賛辞はこの親戚の心中とは相反してとても心のこもったものでした。『11-12,門にいたすべての民と長老たちは言った。「私たちは証人です。どうか、主が、あなたの家に嫁ぐ人を、イスラエルの家を建てたラケルとレアの二人のようにされますように。また、あなたがエフラテで力ある働きをし、ベツレヘムで名を打ち立てますように。どうか、主がこの娘を通してあなたに授ける子孫によって、タマルがユダに産んだペレツの家のように、あなたの家がなりますように。」』「ラケルとレア」はアブラハムと同族で子孫が数多く与えれらた人々で子孫繁栄を願う時の決まり文句だったようです。またタマルはユダの長男次男と結婚するものの子供が生まれませんでしたがユダの子供を身ごもります。タマルはその境遇がルツと似ていることで取り上げたものと思われます。古の霊にある様にこの結婚は神様が介入されたものであることを宣言したものとも言えます。
※基督者時に「常識的な段階を踏むこと」を厭い、奇跡と言う名の「段階飛ばし」という強引な手段を神様に要求することはないでしょうか。それは利己的な要求であることを知りつつ。
❷13-22節:ルツの出産・・・二人は正式に夫婦となり子供をもうけます。ルツはダビデ王と後に王の王、イエスにつながる家系の両方を生み出しました。『17,近所の女たちは、「ナオミに男の子が生まれた」と言って、その子に名をつけた。』とあります。これは旧約聖書の中で女性たちが出生した子供の命名に立ち会った初めての出来事でした。それは、ナオミとルツに与えられた栄誉のしるしでもありました。ルツの息子は、将来のダビデ王の祖父になります(1サム16:1-13、17:12)。さらに全人類の救い主(贖い主)であるイエス様へとその家系は続くのです。
●ルツ記は、イスラエルの暗黒時代である士師の時代ですら、神様の介入の手が用意されていたことを記録したものです。
=注目語句= =注目地名=