最新情報

詩篇第二巻 第42篇

詩篇第二巻 第42篇
=本章の内容=

前向き肯定的になれない霊的低迷期の自分

=ポイント聖句=

11,わがたましいよなぜおまえはうなだれているのか。なぜ私のうちで思い乱れているのか。神を待ち望め。私はなおも神をほめたたえる。私の救い私の神を。(新改訳2017)
11しかし、私のたましいよ、気落ちするな。動転するな。神に期待せよ。神がすばらしいことをしてくださり、私はきっと賛嘆の声を上げるのだから。このお方こそ、私の命綱、私の神。(リビングバイブル)

置かれた状況

「4,私は自分のうちで思い起こし私のたましいを注ぎ出しています。私が祭りを祝う群衆とともに喜びと感謝の声をあげてあの群れと一緒に神の家へとゆっくり歩んで行ったことなどを。(新改訳2017)」「4.・・・あの祭りの日、多くの人の先頭に立って神の宮に上り、喜びに満たされて賛美の歌を歌ったことを。(リビングバイブル)」から作者は何らかの理由で主なる神様を礼拝していた都を追われ荒野に寄留しているようです。

祈りの内容

 

祈りの確信 =黙想の記録=

●1-4節:作者は自分が追いやられた荒野で鹿を見たと思われます。鹿は乾燥・半乾燥地域での生息は大変困難なはずですが、この鹿も何らかの理由で群れから追いやられやむなく荒野に居たのに相違ないのです。『3. ・・・「おまえの神はどこにいるのか」と人が絶えず私に言う間。』と告白しているように、作者は孤立無援の状態に陥り、自他ともに神様からも見捨てられたと感じるほどの現在の状況をこの鹿に重ね見ているわけです。都で民とともに主なる神様を賛美していた時のことはもはや思い出になってしまっています(4)。
※基督者が何らかの理由で地方教会から距離を置く、または離れる状態になることはないでしょうか。それは家庭内の問題かもしれません。または主にある兄弟姉妹または指導者との確執が原因かもしれません。そのような時霊は燃えていても孤独感で苛まされることがあるのです。問題解決まで相当の時間がかかる場合があり、それは霊的枯渇状態を招く場合もあるのです。これもまた試練の時でしょう。焦って問題を深刻化してしまうより辛酸を舐めながらも神様の御配慮があるまでじっと耐えなければならない時なのです。
●6-7節:「ヨルダンとヘルモンの地からまたミツアルの山から」とありますが「ヨルダン」地域は死海・ヨルダン川流域の海抜マイナス400メートルから海抜1,600メートルまでの標高に位置する地域を意味しています。「ヘルモン山」は2,814 mの高山です。つまり、この作者はエルサレムから遠く離れた僻地にいることになります。「7.あなたの大滝のとどろきに淵が淵を呼び起こしあなたの波あなたの大波はみな私の上を越えて行きました。(新改訳2017)」「7神のさかまく大波が私の頭上を越え、悲しみの洪水が、とどろく大滝のように降りかかってきます。(リビングバイブル)」が意味するものは作者を襲った突然の不幸です。ですが作者は「あなたの大滝」つまり「神様ご自身が送った試練」であることを同時に認めているのです。
※基督者にとっても突然訪れる不幸は魂をうなだれさせる大きな要因です。ですが、その時ですらこれは「あなた」つまり「魂の養育者であられる神様」の訓練であることを認める必要があるのです。
●8-11節:「10,私に敵対する者たちは私の骨を砕くほどに私をそしり絶えず私に言っています。「おまえの神はどこにいるのか」と。」とあるようにエルサレムから遠方の辺境に追いやられただけでも心痛は深いのに「おまえの神はどこにいるのか」と外敵からそしられる言葉が伝わってくるのはさらに耐え難いことでしょう。それでも作者は自分の心に「11.・・・神を待ち望め。私はなおも神をほめたたえる。私の救い私の神を。(新改訳2017)」「11しかし、私のたましいよ、気落ちするな。動転するな。神に期待せよ。神がすばらしいことをしてくださり、私はきっと賛嘆の声を上げるのだから。このお方こそ、私の命綱、私の神。(リビングバイブル)」と言い聞かせるのです。溢れる感情に魂を委ねてはならないのです。その感情は自己憐憫に陥らせる古き人の性質だからです。こんな時こそ信仰を深めるチャンスです。また御霊の実を結ぶチャンスなのです。

=注目語句=

語句①コラ人(欄外):英語Korah(KJV・NLT);ヘブル語コラーフ[禿、禿げ頭]レビ部族ケハテ諸氏族イツハルの子
※民数記16章:荒野時代のイスラエルはモーセに対し五度の反抗を試みていますが、このコラ人の反抗はその三番目です。民数記16章の反抗はコラ(レビ族)・ダタン(ルベン族)・アビラム(ルベン族)等が共謀して起こしたもの。彼らの主張とするところは「万人祭司(全会衆が祭司職を担うことができる)であり、モーセとアロンは専制的でリーダーとしてふさわしくない。だからいったんその職を退き新たに指導者を選ぶべき」というものでした。彼らの主張は一瞬民主的であり合理的にも思われますが、そこに「主なる神様の召命の確証」が欠如していることは明らかでした。そこでモーセは反抗する者たちを天幕に呼び寄せ主の裁断に委ねました。すると地割れが起きコラとそれに属する者は地に飲み込まれました。さらにコラたちに同意し決起した14700人が疫病によって死んでしまいました。
※神様は一族を滅ぼすことはなさいませんでした。この反乱に組しなかったコラの子孫がいました。後に彼らは幕屋に仕える重要な役職を任されるようになりました。42篇のコラ人は儀式の際の賛美を任されていました。
語句②鹿(1):英語hart(KJV)deer(NLT);ヘブル語アェヤール[牡鹿]・・・恐らくペルシャダマジカと思われます。タマリスク、オーク、ピスタチオの森林地帯に生息していますが牛、ヤギ、羊と異なり植生が乏しい乾燥・半乾燥地での生息は困難です。また草だけでは必要な水分量を取ることができない為、必ず川・湖等の近くで生活しなければなりません。