詩篇第一巻 第13篇
詩篇第一巻 第10篇 第13篇
=本章の内容=
無意味な時間の経過と思わせる悪魔の誘惑
=ポイント聖句=主よいつまでですか。あなたは私を永久にお忘れになるのですか。いつまで御顔を私からお隠しになるのですか。(13:1)
置かれた状況 祈りの内容①私に目を注ぎ私に答えてください。私の神主よ。私の目を明るくしてください。私が死の眠りにつかないように。(13:3)
②「彼に勝った」と私の敵が言わないように。私がぐらつくことを逆らう者が喜ばないように。(13:4)
①主が私に良くしてくださいましたから(13:6)
=黙想の記録=●本編もまた悪魔の誘惑と隣り合わせの時の流れにいら立つ自分を表現しているところだ。
●苦悩・苦悶に打ちひしがれている時、「いつまで(How long)」こんな状態が続くのかと呟きたくなるのはごく当たり前の感情である。「神は私のことを忘れている、私に関心がない」と疑いが生じる。英語もヘブル語も「どのくらいの期間」という言葉が当てられている。期間を示されているのならまだ我慢のしようがあるが、無期限・終了が見えない困難は我慢できないあるいは絶望感を与えるものだ。悪魔はこのような時にこそ誘惑を仕掛けてくる。
●1~2節は「いつまで」で続く文章が連続している。ここは主なる神様への呟きの言葉で列記されている。「神は永久に私を忘れている・御顔を私から隠す」と主なる神の状態を推測し、また「思い悩まされている・悲しまされている・敵が吠えている」などの状況に晒しておく主なる神の無責任さを非難している。これが悪魔の誘惑の結果である。
●このような時「敵が私の上におごり高ぶる(13:2)」と他者の幸せな状態と比較したくなる誘惑に駆られるものだ。
●3~4節の祈りの言葉は状況変化を望むものだが、5~6節でより自分の憂鬱な心の状態に支配されず心を主の救いの確かさに目を向けさせているのが分かる。
●最後の「拠り頼みます」「救いを喜びます」「主に歌を歌います」の3つ言葉から苦悶から脱出できた作者の様子がうかがい知れる。この作者の様に、祈りとは主なる神様への呟き・疑い・煩悶で始まるが、最終的には主なる神様への強い信頼を呼び戻し心を平安にするのが祈りの役目と教えられる。
語句①いつまで(13:1)・・・英語how longどのくらいの期間ヘブル語 עַד・אָן(いつ、いつまで、どのくらいの期間)
語句②悲しみ(13:2)・・・英語grief, sorrow, anguishヘブル語יָגוֹן(ヤゴン)悲しみ、悲しみ、苦悩