詩篇第一巻 第10篇
詩篇第一巻 第10篇
=本章の内容=
悪魔に試される時
=ポイント聖句=・主よなぜあなたは遠く離れて立ち苦しみのときに身を隠されるのですか。(10:1)
・あなたは彼らの心を強くし耳を傾けてくださいます。(10:17)
●作者が苦悩に満ちた状況下にあるのは疑いようもない
祈りの内容①彼らが自分の企みに捕らえられますように(10:2)
②主よ立ち上がってください。(10:12)
③神よ御手を上げてください。(10:12)
④どうか貧しい者を忘れないでください。(10:12)
⑤その悪を探し出して一つも残らないようにしてください(10:15)
14,あなたは見ておられました。労苦と苦痛をじっと見つめておられました。それを御手の中に収めるために。不幸な人はあなたに身をゆだねます。みなしごはあなたがお助けになります。
17,主よあなたは貧しい者たちの願いを聞いてくださいます。あなたは彼らの心を強くし耳を傾けてくださいます。
18,みなしごと虐げられた者をかばってくださいます。
●本章には「悪しき者」の性格や所業がリストアップされている。以下にリストアップしてみる。しかしこの「悪しき者」はイスラエルの敵国を指していない。ここでは人間の内面の問題ばかり取り扱っているからだ。「悪しき者」とは基督者にとっての最大の敵である「悪魔」を指している。また本章には社会的弱者(不幸な人・苦しむ人・貧しい者・みなしご・虐げられた者)の言葉が多用されている。ダビデが放浪生活を余儀なくされた時彼に身を寄せてきたのはこれらの人々である(サムエル記第一22:2)。
●悪しき者を悪魔とするのなら、社会的弱者はダビデ本人のことかもしれない。過去に犯してきた罪やその結果か引き起こしてしまった数々の内患により、ダビデの心に容赦なく降り注ぐ精神的プレッシャーをこの章は表現していると思われる。『「神はいない。」これが彼の思いのすべてです。』とあるが、ダビデが罪を犯す要因はまさにこの結論。つまり本章はダビデ自身の心に叫びかけているサタンの誘惑ことなのではなかろうか。一つ一つの聖句から悪魔の誘惑の内容を学ぶことができる。
2,悪しき者は高ぶって苦しむ人に追い迫ります。
・・・優越感に浸るとき他者を見下したいという誘惑に陥る
3,悪しき者は自分自身の欲望を誇り貪欲な者は主を呪い侮ります。
・・・欲望をどれだけ実現できるかが誘惑に陥っている者の生活スケールとなっている。同時に神の国の基準である清貧を軽んじる誘惑に陥る
4,悪しき者は高慢を顔に表し神を求めません。「神はいない。」これが彼の思いのすべてです。
・・・神の存在を否定しなければ欲望に勝てないと思い込ませる誘惑
5,彼の道はいつも栄えあなたのさばきは高すぎて彼の目に入りません。敵という敵を彼は吹き飛ばしてしまいます。
・・・この世の幸福を基準とするため、神の国の幸福感には無関心。自分の人生に仇する者は徹底的に排除する誘惑。NO1症候群。
6,彼は心の中で言っています。「私は揺るがされることがなく代々にわたってわざわいにあわない。」
・・・根拠のない自信を自分に言い聞かせていなければ絶えず不安が生じる
7,彼の口は呪いと欺きと虐げに満ち舌の裏にあるのは害悪と不法です。
・・・この世の幸福を得るためにはどんな不正な方法でも利用する誘惑
8,彼は村外れの待ち伏せ場に座り隠れた所で咎なき者を殺します。彼の目は不幸な人をひそかに狙っています。
・・・自分の幸福の為なら人が不幸になるのも仕方ないと思う誘惑
9,茂みの中の獅子のように隠れ場で待ち伏せます。苦しむ人を捕らえようと待ち伏せ苦しむ人を網にかけて捕らえてしまいます。
・・・自分の幸福の為なら人を罠を仕掛けて苦しませても平気でいられる誘惑。
11,彼は心の中で言っています。「神は忘れているのだ。顔を隠して永久に見ることはないのだ。」
・・・「自分の幸福の追求に神は必要がない。神などもともと自分の人生に不要である。」と思わせる誘惑
13,何のために悪しき者は神を侮るのでしょうか。彼は心の中であなたが追及することはないと言っています。
・・・神は仮にいたとしてもかけ離れたところにいて、人間が助けを求めても無関心なのだと思い込ませる誘惑
●「悪を探し出して一つも残らないようにしてください(10:15)」はこの誘惑の意義が込められている。つまり、労苦と苦痛が私達に突如として襲い掛かるのは意味がある。そうした時には必ず私達の心に誘惑が発生する。基督者は上記の巧妙な悪魔の攻撃にさらされている。それは基督者の心の内側に何が存在するのかを基督者自身に分からせるためであり、またその誘惑に陥ってしまう要因を取り除くことを神様が望んでおられることの証拠である。「一つも残らないように」の決意と告白はとても重要である。
語句①(悪しき者)・・・英語The wicked邪悪な者 ヘブル語רָשָׁע(ラシャ―)悪徳犯罪者、有罪、邪悪な、神に敵対する者――10章内:悪しき者(5回)彼(7回)