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ルカの福音書5章

2024年8月26日

ルカの福音書5章
=本章の内容=

①ペテロの召命②全身ツァラートの人の癒し③中風の人とその仲間たち④取税人レビの召命⑤新しい着物と新しい皮袋

=ポイント聖句=

新しいぶどう酒は新しい皮袋に入れなければなりません。(5:38)

=黙想の記録=

●四人の人物(シモン・ヤコブ・ヨハネ・レビ)の召命が前後に書かれています。ルカは「何もかも捨てて」と言う言葉を使い、彼らの劇的な人生の方向転換の様子を描いています。彼らは仕事をリタイヤした人たちではなく、仕事に励んでいる最中に召されたのです。この四人が召命される直前にはいつもいくつかの奇跡が行われています。三人の漁師には「シモンの姑の癒し」と「大量の奇跡」が、レビには「ツアラートの人の癒し」と「中風の人の癒し」がありました。それらの奇跡が無作為に行われた物でありません。
●レビに先立つ二つの奇跡は、世捨て人となっていた人物が社会復帰していく様子と、中風の人の仲間たちの深い友情を見せつけられます。さらに中風の人に言われた「あなたの罪は赦された」の一言は、彼のこころを鷲掴みにしたのです。取税人は世間から疎まれていた職業で、いつも同胞から罵詈雑言を浴びせかけられていました。この職業に打ち込めば打ち込むほど、罪責感は募り、金の為に群がる人たちが多くなるばかりで、真の友はいなくなるのです。
●三人の漁師に先立つ奇跡は、シモンの姑の癒しと大漁の奇跡でした。姑はみんなが心配するほどの重篤な病にありましたが、単に病が癒されただけでなく、かなり活発な女性に変えられたのです。網は漁をする度にほつれたり、やっかいなものがくっ付いてきましたが、イエス様の言葉に従った時、信じられない大量の魚が網に上がったのに、破れることがなかったのです。この二つの奇跡は、老いることだけ傷つくことだけと思われていた人生観を一変させることができたのです。
●このように、ある人物が救いに導かれたり、神様の召命を受ける際には必ずそれなりの奇跡が「前触れ」としてあるのです。それは神様が口先だけの方ではなく、神様が確かに側にいることを目に見える形で証明してくださる方だからなのです。まさに聞いたことも目にしたこともない新しい人生に進ませる糸口にさせる為とも言えます。
●しかし、一方当時の宗教家たちは、古いままの生き方にしがみ付いていました。これで良しと思い込んでいた人生に、いつしか破れ目が現れ、張り裂け、流れ出てしまうことを認めることができなかったのです。
●ルカは本章中の四人の弟子たちが召命される様子を「何もかも捨て」という実にドラマチックな言葉で括っています。「何もかもすて」と言うのは「古い生き方に価値を見出さないことであり、先に何が待ち受けていても前進」しようとする心持なのです。