ルカの福音書2章-1
ルカの福音書 2章-1
=本章の内容=
イエス様のご降誕①降誕年代②出産時の様子③羊飼いへの天の軍勢の顕現④割礼の儀式と命名⑤祝福式・シメオンとアンナとの出会い
=ポイント聖句=しかし両親には、イエスの話されたことばの意味がわからなかった。それからイエスは、いっしょに下って行かれ、ナザレに帰って、両親に仕えられた。母はこれらのことをみな、心に留めておいた。(2:50~51)
=黙想の記録=●イエス様の降誕日を巡っては、現在でも諸説あり決め手はありません。マタイの福音書2章ではヘロデ大王の在位期間中((BC37年~BC4年)に幼児虐殺事件がありましたが、歴史家ヨセフスはこれを取り上げていません。マタイは彼の在位中の出来事と言っています。ルカはアウグストゥス(Augustus)の在位期間中に(BC27年~AD14年)に住民登録を3回実施していますが、ヘロデ大王の治世に該当するのはBC7年だけになります。ところが対象者はローマ人だけです。クレニオがシリヤの総督の時に行った人口調査はユダヤ人にも拘わるものでAD6年です。クレニオの住民登録に反逆して暴動を起こしたガリラヤのユダによる反乱はAD6年(使徒5:37)です。年代に矛盾が生じるのです。後継者のヘロデ・アンティパス(在位期間BC4年~AD39年)とするとつじつまが合うかもしれないが彼に大王と言う称号はついていないのです。
●ユダヤでは3歳をもって離乳期とされ、5歳がユダヤ教教育開始、6歳でシナゴーグに通うことが義務つけられています。父の肩に背負われて「エルサレム詣で」に行くことは可能なので毎年言っていたかもしれませんが、12歳のエルサレム詣ではイエス様の特異能力の片鱗を伺える瞬間でもありました。以降成人されるまで記録はありません。これがかえって私たちに共感を抱かせるのです。それは、人として、父母を支え、弟や妹たちの為にも奮闘努力されるご様子を想像できるからです。
●イエス様誕生の告知は当時の為政者ではなく、マタイでは全くの部外者である当方の博士にルカ絵は羊飼いにされるのです。ユダヤ人の王として誕生される方には、ユダヤの肩書は一切不要だったのです。「布にくるんで」とありますが、この時の布は産着ではなく死体を包む布であったともいわれています。これは本章中盤に登場するシメオンの預言にも符合するもので、マリヤの心を刺し貫く出来事が「十字架の死」を暗示するものでもあります。
●イエス様の降誕の様子に込められた深い神様の配慮については一番近くにいた両親すら理解できなかったのです。ポイント聖句にもあるように、私たちに起こることも理解しがたいものが多いはず。しかし、それらは神様の深い配慮に基づくものと、分かる時まで心に留めておく必要があるのです。