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ルカの福音書1章

2024年8月26日

ルカの福音書 1章
=本章の内容=

①前書き②ザカリヤとエリサベツの出産③マリヤへの受胎告知④マリヤの賛歌⑤ザカリヤの預言

=ポイント聖句=

私たちの間ですでに確信されている出来事については、初めからの目撃者で、みことばに仕える者となった人々が、私たちに伝えたそのとおりを、多くの人が記事にまとめて書き上げようと、すでに試みておりますので,私も、すべてのことを初めから綿密に調べておりますから、あなたのために、順序を立てて書いて差し上げるのがよいと思います。尊敬するテオピロ殿。それによって、すでに教えを受けられた事がらが正確な事実であることを、よくわかっていただきたいと存じます。(1:1~4)

=黙想の記録=

ルカもテオピロもユダヤ人ではありません。しかし、これほどまでにユダヤ人の歴史や国民性を理解した内容が書けたのは、どのような理由からでしょうか。更に他の福音書にはない内容、「ザカリヤとエリサベツの出産」や「マリヤへの受胎告知や出産の模様」は当事者から取材しなければ決してかける者ではありません。ルカは異邦人伝道のパイオニアであるパウロに導かれ、パウロの伝道旅行にも同行するほど信頼されていた人物です。つまりユダヤ人基督者からも絶大な信頼を受け、本福音書の記述を委ねられたのがこのルカだったわけです。

●ローマの高官であった人物「テオピロ」は、その立場からするとこれが本名とは思えません。自分が基督者またはそれに関係性のある人間であることが判明すれば、彼の立場は危うくなります。ルカはルカ以外にも同様な福音書記者の存在をここで紹介していますが、彼らとの違いを簡潔に他者からの「伝聞」ではなく「綿密に調べて」と主張しています。信仰は単なる思い込みや想像の産物ではなく「事実」の上に立脚したものであることも同時に言っているのです。

ザカリヤとマリヤ双方に天使ガブリエルが現れ、神様の告知をされます。ザカリヤは聖所に入室できる程の人物、マリヤは無名な乙女でしたが、御言葉をそのまま受け入れることができたのはマリヤの方でした。知性を重んじるギリシャ人には、これは自分たちに向けられたパラドックスと感じたことでしょう。

●エリサベツが「不妊の女性」であったという記述がされているわけですが、これは事実の裏に隠された、エリサベツの苦悩を想像させるものです。当時「不妊=神から見放された者」という偏見を持たれていたからです。彼女は夫の重責を妻として長年支え、誠実に神様に仕えてきた人物でした。ですから、このような非難は耐えがたい屈辱でもあったのです。一方マリヤの受胎は、処女が身籠るなどという破廉恥な事態を世間は認めるはずがなかったのです。この二人が出会うのは偶然ではなく、神様の深い配慮でした。エリサベツは、マリヤのことを責めることは決してありませんでした。第一声はマリヤへの祝福の言葉でした。お互いにわが身に起こった神様の奇跡を経験しているからこそ、共鳴した感情のほとばしりだったのです。これが聖霊による一致なのです。

●ルカがここまで本人の口から聞き出すことができた背景に、私は基督者どうしの交わりの醍醐味すら感じるのです。人間的には一欠けらの関係性もないのに聖霊の感動を共有できるのです。感謝。