士師記21章

士師記21章
=本章の内容=
❶軽率な誓い❷新たな悲劇
=ポイント聖句=3,彼らは言った。「イスラエルの神、主よ。なぜ、イスラエルにこのようなことが起こって、今日イスラエルから一つの部族が欠けるようになったのですか。」
=黙想の記録=❶1-5節:軽率な誓い・・・『3,彼らは言った。「イスラエルの神、主よ。なぜ、イスラエルにこのようなことが起こって、今日イスラエルから一つの部族が欠けるようになったのですか。」』とありますが、「主なる神様にこの原因がある」と責任転嫁しているのです。ベニヤミン族を含め12部族のかしらが相集いそもそもの事件を詳細に調べてから判断を下すべきだったのです。このプロセスを自らの野心によって省いてしまったことがこの悲惨な結果を産み出したのです。さらにベニヤミンと対峙するにあたりイスラエルは神様に伺いを立てもせず次の2つの誓いを立てます。この誓いがまた新たな悲劇を作り出すのです。
[1]ベニヤミン族に嫁がせない・・・姻戚関係を断ち、異民族と見なすことです。[2]戦闘に参加しなかった者を処刑する・・・多数決の原理で処罰を下すことです。
❷6-23節:新たな悲劇・・・自らベニヤミン族を殲滅しておきながらベニヤミン族の行く末を気にしているのは正に偽善です。善良な部族を装いたいのです。あるいは罪の呵責から逃避したいだけなのかもしれません。次の2つの事件を引き起こします。
[1]戦闘に参加しなかったヤベシュ・ギルアデから適齢期の処女だけを残しあとは惨殺する。・・・12000人の兵を動員し400人の処女を残して一族全員を惨殺したのです。[2]シロで開催される主の祭り(毎年)で踊り子をさらって充足するまで自分たちの妻にすることを許す。・・・『22娘の父親や兄弟が私たちに抗議してきたら、こう言おう。「どうか、わかってくれ。われわれに免じて、娘さんをベニヤミンの男たちに嫁がせてやってくれ。ヤベシュ・ギルアデを滅ぼしても、彼ら全員に妻をもたせてやれなかった。こうでもしなければ、あなたがたが罪を犯さず、娘さんを彼らに与えることはできないわけだから。」』との恫喝しながらさらう方法さへ伝授する始末です。あまりにも身勝手な愚行を演じるのです。
➌23-25節:ベニヤミン族の再建・・・こうした非人間的な方法を使ってまで一族再建を目論むのです。その後イスラエルはそれぞれの分割地に帰還します。20章に明記されている数字だけを合算しても90160人の犠牲者が出ているのです。仮にこの数字が兵士の数だけとするなら、犠牲者はこの数字をはるかに上回っていることでしょう。レビ人の個人的遺恨から始まった同族同士の殺し合いは斯くも悲惨な結果を産み出しているのです。「25,そのころ、イスラエルには王がなく、それぞれが自分の目に良いと見えることを行っていた。」とありますが、当時勇猛果敢な兵士はいてもモーセの様に霊的指導者が皆無だったことがイスラエルの暗黒時代を作り出してしまったのです。ここに出て来る「王」は王国時代の王ではなく、イスラエルを神の民として成長させる霊的指導者を意味しています。
=注目語句=語句①誓う(1):英語swear;ヘブル語シャバー[宣誓する,誓う]
語句②王(25):英語king;ヘブル語メレク[王] =注目地名=
地名①ヤベシュ・ギルアデ(9):英語Jabeshgilead;ヘブル語ヤベイシュ [乾いた]・・・ギルアデの分割地内にあった町