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士師記20章-1

士師記20章-1
=本章の内容=

❺個人的遺恨が膨らんだ時❻レビ人の弁明❼一集落から一部族に対象が変わった瞬間

=ポイント聖句=

13-14,今、ギブアにいるあのよこしまな者たちを渡せ。彼らを殺して、イスラエルから悪を除き去ろう。」しかしベニヤミン族は、自分たちの同胞イスラエルの子らの言うことを聞こうとしなかった。それどころか、ベニヤミン族はイスラエルの子らと戦おうと、町々から出て来てギブアに集結した。

=黙想の記録=

❺1-3節:個人的遺恨が膨らんだ時・・・19章でレビ人は側室の遺体を手厚く葬ることをせず、切り分けてベニヤミン族を含む全部族に送りつけました。この行為はレビ人の個人的遺恨を晴らすためにイスラエルを巻き込もうとしたものです。「あなたは復讐してはならない。あなたの民の人々に恨みを抱いてはならない。あなたの隣人を自分自身のように愛しなさい。わたしは主である。(レビ記19:18)という律法に抵触するのですが、レビ人は膨らんだ復讐心を抑えることができません。個人の力ではギブア人全体を相手にはできません。そこでレビ人はイスラエルの大義を利用してギブア人に復讐をしようとしたのがこの行動なのです。現代の様に近代的な輸送手段をもっていないのですから、レビ人の従者たちは何日もかけてむせる様な腐敗臭のする遺骸の一部を目的地に届けなければなりません。諸氏族の方も送り届けられたこの遺骸をどう受け止めたのでしょうか。前述のダン族を含めイスラエルのアイデンティティをかなぐり捨てている部族ばかりです。レビ人個人の起こした問題です。他の部族に全く無関係なのです。イスラエル各部族には自治権があり、お互いに内政不干渉が暗黙の了解事項だったのです。15-16節にあるようにベニヤミン族は他部族に比べはるかに武力において優れています。士師記3章のエフデの活躍にも見られるようにベニヤミン族はモアブ人を駆逐するほど勇猛果敢な部族でもあるのです。ところが、ベニヤミン族の今回の蛮行は神に仕えるレビ族への襲撃はレビ族だけでなく、やがて諸氏族にも向けられる刃と見えたのです。つまりベニヤミン族が力でイスラエル全部族を支配するきっけがこのレビ人襲撃にあると恐れを抱いたからなのです。これがイスラエル11部族の代表者と歩兵40万人がミッパに集結させた最大の理由なのです。この「恐れ」をレビ人は上手に煽ったことになるのです。しかしこれだけの大群を集結しておいて今更「理由を聞かせろ」は矛盾しているとは思えませんか。動機は「ベニヤミン族の芽を摘む」ことが明らかです。それでもイスラエルの大義が必要です。そこでレビ人に弁明を言わせてみるのです。

❻4-7節:レビ人の弁明・・・①ギブアの住民がレビ人の一家とその多くの関係者に夜襲をかけ殺そうとした。②だが逃げて難を逃れたつもりが、自分が愛していた側女だけがつかまり集団強姦された上に殺害された。(集団強姦も殺害も重罪です)と語るのです。確かに事実ですが正確ではありません。「ギブア人は男色をレビ人に仕掛けてきたがレビ人は拒否した。自分の身代わりに側女を差し出した。」この事実を述べていません。またこの側女が姦淫を犯していたことも。都合の悪いことは隠し、あたかもギブアの住民がこのレビ人一族を皆殺しにするかのように語るのです。

❼8-14節:一集落から一部族に対象が変わった瞬間・・・事実を確認する為の証人は複数いなければなりません。(申命記19:15)しかし、11部族のかしらはこの重大な決定にあたりこの律法を反故にしています。ベニヤミン族の芽を摘む為にはそんな律法はかえって邪魔だったのです。こうしてレビ人の主張する偽の大義を掲げた11部族はギブアの住民さらにはベニヤミン族討伐に向かうのです。そこでイスラエル11部族の頭はベニヤミン族に今回の問題を起こしたギブア人のならず者引き渡しを要求するのです。「兵士40万人対2万4千人では到底勝ち目はなかろう。早々に白旗を上げ降参してくるだろう。」と踏んでいたのです。ところがベニヤミン族は決してひるまなかったのです。「40万人の兵士は数こそ多いがやる気のない寄せ集めの軍である。」とベニヤミン族は端から相手にしていなかったのです。「14,ベニヤミン族はイスラエルの子らと戦おうと、町々から出て来てギブアに集結した。」のです。一集落から一部族に対象が変わった瞬間だったのです。つまりベニヤミン族殲滅に目的が変わったのです。

=注目語句= =注目地名=

地名①ミツパ(1):英語Mizpeh;ヘブル語ミツパー[見張り小屋]・・・ギレアデの町で、士師エフタの居住地。ここでエフタは軽率な誓いを立て、娘はその犠牲となった。

士師記

Posted by kerneltender