士師記17章-1

士師記17章-1
=本章の内容=

❶神殿のある家

=ポイント聖句=

4-5,彼が母にその銀を戻したので、母は銀二百枚を取って銀細工人に与えた。銀細工人はそれで彫像と鋳像を造った。こうして、それはミカの家にあった。このミカという人には神の宮があった。彼はエポデとテラフィムを作り、その息子の一人を任命して、自分の祭司としていた。

=黙想の記録=

=黙想の記録=
●17章以降に士師は登場しません。士師記時代のイスラエルが如何に霊的堕落に陥りと主なる神様の前に如何なる弁明もできない罪を犯し続けてきたかが記述されています。

❶1-6節:神殿のある家・・・ミカは士師ではありません。個人の段階で如何なる霊的腐敗が行われていたかを伝えるための反面教師です。ミカの生家は相当裕福だったことが伺えます。更に自宅に礼拝所を作るなど宗教心に厚い家柄でもありました。ところが青年期または壮年期のミカが起こした事件後テラフィムを作らせて礼拝所に安置させたり、レビ人を雇い入れて自宅の私設祭司にしてしまうなど、明らかに律法を無視する行為であり主なる神様への反逆行為です。『2,ある日、彼は母親に言いました。「盗まれたとお母さんがしきりにのろって言っていた銀千百枚のことだけど、実はあれは私が盗んだのです。」すると母親は、「よく正直に話してくれたね。主が祝福してくださるように」と答えました(リビングバイブル)』と記されているように、犯人が自分の息子とわかるや否や母親はミカを叱るどころか祝福を神々に祈ってしまうのです。さらにミカが銀貨を返すと母親はその銀貨を使って我が子の為に守り神(複数の偶像)を金に糸目をつけずに作らせるのです。滑稽なことに、当時のミカは多額の銀の価値を知りそれを何かに流用あるいは散財しようとしていたのです。つまり十分に大人であったわけです。ですが、ミカは母の呪いの言葉を耳にして震え上がったのです。まるで咎められた時の幼児の反応そのものです。

※悪事を働いている最中にミカの良心は全く用をなしていないのです。この世の宗教は良心を育てることができない実例がこの場面なのです。母親が呪いをかけることに恐怖を感じたのにはもう一つの理由があります。それは母親のミカに対する偏愛から来ています。察するにミカはこの母親の偏愛により過保護に育てられきた為、その母親に顔を背けられることが死ぬほど辛いのです。現代流に言えば超マザコン男だった推測されるのです。この世の神々、言い換えれば「この世の幸せの基準に従う生活」は偏った性格も作り出していくのです。母親らしさ子供らしさの基本は誠の神様の御心に従う生活から始まるはずなのです。神様に最も近い民族であるはずなのにミカの家庭は遠くに追いやっているのです。自分にとって都合が悪い神々は神と認めたくないのです。これが霊的腐敗の原因なのです。
ミカは霊的腐敗の個人バージョンです。勝手に宮を設け、祭司の服であるエポデを作り、創造主である神様に替えて人間の作った神々を安置し、さらにはミカ自身の子供を祭司として捧げてしまうのです。当然ミカの周囲の人々がミカの主催する礼拝に参加したと容易に想像できるのです。見方を変えればこの一連の行為は宗教の中心を新たに樹立したわけですから、イスラエル全部族に反旗を翻したことと同じになるのです。

🔺ところでこの士師記17章1~6節をあたかも「家の教会」はこのミカの行為と同じであると見なし「教職者が存在し教会堂を持つ教会こそが正式な教会」であると公言されている方がおられますがそれは正しい見解ではありません。家の教会の中心はイエスキリストです。偶像は安置されていません。原始教会に教会堂や聖職者は存在していたでしょうか。

=注目語句=

語句①銀千百枚(2) :英語The eleven hundred;ヘブル語エリッフ[1000]・・・デリラがペリシテの領主各人からもらった金額と一致しているがどんな意味があるのかは不明。

語句②神の宮(5):英語an house of gods(KJV) a shrine for the idol(NLT);ヘブル語バイヤス・エロヒム[家・神々]

語句③エポデ(5):英語ephod;ヘブル語エフォドゥ・・・もともと大祭司(出エジプト記28:4)が身に着けていた聖衣であり、その後は普通の祭司(1サ22:18)が身に着けており、その職務の特徴となっている(1サ2:18,28;14:3)。それは立派なリネンでできており、首から垂れて、上着と上着の上に背中と前を覆う二つの切れ端で構成されていた(出28:31)。大祭司のそれはさまざまな色で刺繍されていた。この二つの彫刻は肩に金や宝石の留め金やバックルでつなぎ合わせられ、「金、青、紫、細くて絡み合ったリネンの奇妙な帯」で腰に固定されていた

語句④テラフィム(5):英teraphim;ヘブル語テラフィム・・・宮や礼拝所に安置する持ち運びできる彫像のこと

語句⑤祭司(5):英語priest.;ヘブル語コヘイン[祭司]・・・祭儀を司る専門家

=注目人名=

人名①ミカ(2):英語Micah.;ヘブル語ミハィエル[誰が神の様であろう]・・・エフライム族

士師記

Posted by kerneltender