士師記15章

士師記15章
=本章の内容=

❶復縁を求めた結果❷ペリシテ人の復讐とろばのあご骨➌サムソンの祈り

=ポイント聖句=

18,そのとき、彼はひどく渇きを覚え、主を呼び求めて言った。「あなたは、しもべの手で、この大きな救いを与えてくださいました。しかし今、私は喉が渇いて死にそうで、無割礼の者どもの手に落ちようとしています。」

=黙想の記録=

=黙想の記録=
❶1-8節:復縁を求めた結果・・・自分で追い出しておいて復縁を求めに妻の実家に赴くのです。サムソンはどこまで身勝手な男なのでしょう。呆れてしまいます。離縁された妻は他の男性に嫁いでいるのです。父親が元妻の妹を勧めたのはペリシテ人であるこの元妻の家族とサムソンの家がこれからも交流を続けることを期待してのことです。ところがサムソンはそれさへも自分を虚仮にしていると思い込み暴挙に出るのです。捕まえて来たジャッカルの尻尾に松明をつけそれをペリシテ人の畑の中に放しそれらを燃やしたのです。当然ペリシテ人の怒りを買い、ペリシテ人はサムソンの義父と元妻を焼き殺すのです。それを見たサムソンは怒りに燃え、居合わせたペリシテ人に負傷を負わせ、すたこらと逃げ去っていきエタムの岩の裂け目に身を隠したのです。エタムはユダ部族の割り当て地です。ダン部族のサムソンは両親親戚のいる場所から少しでも離れ自由を謳歌したかっただけなのです。
※霊的に未熟な基督者も時として誰にも関与されたくない一心で教会を離れることもあります。しかし、これはかえって信仰の成長を妨げる要因になってしまうのです。

❷9-17節:ペリシテ人の復讐とろばのあご骨・・・この騒動は同胞のユダ族にも難を及ぼします。ペリシテ人がサムソンの一件に関する復讐でユダ族に対峙してきたのです。そこでユダ族の人々元凶であるサムソンを捕らえペリシテ人に引き渡すことで一件落着しようとしたのです。ここで素朴な疑問ですがサムソン一人に三千人のユダの人々が関与するのはとても不自然に思われます。しかも本来ユダ部族は勇猛果敢な部族のはず。サムソンを指揮官にして3000人でペリシテ人に打って出ることも考えられた筈です。しかし彼らは「11,・・・おまえは、ペリシテ人がわれわれの支配者であることを知らないのか。・・・」と情けない理由をサムソンに言い訳するのです。サムソンが仮にギデオンの歩みを知っていたとするなら、こうした状況の時同胞ユダ部族やダン部族はこぞってサムソンを支援したはずです。ところが両部族にはペリシテ人に対峙する気力さへなかったのです。サムソンはがっかりしたはずです。同胞を苦しめる元凶が自分であることを認め、サムソンは同胞であるユダ族の人々に従い素直に捕縛されペリシテ人の前に引き渡されるのです。今回も自業自得の窮地なのです。しかし今度ばかりは一人ではどうしようもない絶体絶命のピンチです。大勢のペリシテ人がサムソンを目にして雄たけびを上げた瞬間、サムソンは恐らく身震いしたことでしょう。これで一巻の終わりと思われた時、言葉として記録されていませんが、恐らく心の中で主なる神様に初めて助けを求めたと思われるのです。ユダ族がその場を離れたとみるやサムソンは主の霊に揺り動かされ、厳重に縛られていたはずの縄をいとも容易く解き放ちます。さらに真新しいろばのあご骨を見つけ、手を伸ばして取り、それでペリシテ人千人を打ち殺してしまったのです。「14・・・主の霊が激しく彼の上に下り」の表現がサムソンに関わる場面で使われたのはこの個所で3度目です。真新しいろばの顎骨で1000人を相手に戦うのです。相手は鉄の武具を持ったペリシテ人です。ろばの顎骨(あごぼね)の強度を考えると相手にできる人数ではありません。(ちなみに顎骨は他のどの部位より強度があります。) 明らかに主なる神様の御手がサムソンを支えたとしか言いようがありません。しかもここでも死体に触れてはいけないというナジル人のタブーを再度破っているのです。それでも主なる神様はご自分の力を彼に注いでいるのです。ここで重要なのはサムソン自身の心の変化です。ユダ族の面々に黙って捕縛されるのは自分の罪を悔いた証拠です。主なる神様はその悔い改めの気持ちを汲んで、サムソンを更に生かそうとされたのに違いありません。『18,・・・「あなたは、しもべの手で、この大きな救いを与えてくださいました。・・・』と告白していますが「しもべ」「救い」と言葉を選んで祈るあたりにその悔い改めの様子が伺えるのです。

➌18-20節:サムソンの祈りとは・・・『18,そのとき、彼はひどく渇きを覚え、主を呼び求めて言った。「あなたは、しもべの手で、この大きな救いを与えてくださいました。しかし今、私は喉が渇いて死にそうで、無割礼の者どもの手に落ちようとしています。」(新改訳2017)』『18,それからひどくのどが渇いたサムソンは、主に祈りました。「あなたはこの私に目覚ましい働きをさせ、今日、イスラエルをお救いくださいました。ところが、私はのどが渇いて死にそうです。こんなことで異教徒の手に落ちてよいでしょうか。」(リビングバイブル)』サムソンはここで言葉に発して祈ったのです。ここに至るまでにサムソンは三度も主なる神様の特別扱いを受けてきました。主なる神様を意識して祈るくらい彼は劇的な心境の変化を遂げています。ここに至るため自分が蒔いた種とはいえ、次第に悪化する状況に流石のサムソンも主なる神様の存在を無視することはできなくなってきたのです。

=注目語句=

語句①ジャッカル(4):英語fox;ヘブル語シュアール[きつね,ジャッカル]・・・地中を掘って穴を掘ることに由来する名前。体長65〜106cm、尾20〜41cmほどで、オオカミに似るが耳は大きく、より尖った口吻を持つことが多い。アジア南部〜ヨーロッパ南東部、アフリカに分布。平原や林に1〜6頭で棲み、夜出て猛獣の食べ残しをあさるほか、ネズミやウサギやイタチなどを襲い、サトウキビなども食べる。穴を掘るのが上手く、4〜9匹の子を生む。

種類語句②ろばのあご骨(15):英語jawbone of a donkey,;ヘブル語ラェヒ・ハモール[顎骨・ロバ] =注目地名=

地名①エタム(8):英語Etam;ヘブル語イェタム[野獣の巣窟]・・・ユダ部族の村

地名②ラマテ・レヒ(17):英語Ramathlehi;ヘブル語ラマートゥ・レヒ[あご骨の丘]・・・ユダ北部のエラム岩のそば、ペリシテ人人の国境に近い場所

地名③エン・ハ・コレ(19):英語Enhakkore;ヘブル語エン・ハコレイ[発信者(=祈りの人・来訪者・呼ばわる者)泉]・・・ロバの顎骨で1000人を殺した直後に、サムソンが喉が渇いたという訴えに対して主が出した泉

士師記

Posted by kerneltender