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士師記14章-1

士師記14章-1
=本章の内容=

❶ペリシテの女性❷ナジル人であることをかなぐり捨てる

=ポイント聖句=

8-9しばらくたってから、サムソンは彼女を妻にしようと戻って行った。あの獅子の死骸を見ようと、脇道に入って行くと、なんと、獅子のからだに蜜蜂の群れがいて、蜜があった。彼はそれを両手にかき集めて、歩きながら食べた。彼は自分の父母のところに行って、それを彼らに与えたので、彼らも食べた。その蜜を獅子のからだからかき集めたことは、彼らには告げなかった

=黙想の記録=

❶1-4節:ペリシテの女性・・・イスラエルの男性がカナン人女性と婚姻するのは珍しいことではありません。イスラエルにも女性は数多いるのにイスラエル人男性が何故カナン人の女性にばかり執着するのか理由は定かではありません。現代でも世の男性が垢抜けない田舎娘より都会の洗練された女性に目が行くのと似ているということはないでしょうか。有名な士師サムソンの物語が外国人女性との恋愛話でスタートしているのはいささか拍子抜けの感がします。主なる神様に忠実な両親が反対するのも当然ですが、サムソンは聞く耳を持っていません。ナジル人として厳しい生活制限があり徹底した教育を受けてきたにもかかわらず、サムソンの青年期は逸脱から始まるのです。しかし、このサムソンの放縦な恋愛感情による失敗も結果的には「主によること」または「主の画策」と士師記の作者は記しています。「4両親は、まさか背後で主がこうなるように画策しておられるとは気づきませんでした。(リビングバイブル)」「4,彼の父と母は、それが主によることだとは知らなかった。(新改訳2017版)」。突っ込んだ言い方をすればサムソンの肉欲まみれの願いさえも主は用いられることを知るのです。無論主は悪に陥ること始めから良しとはしませんが、人の犯した失敗さえも益と変えて下さる実例なのです。

❷5-9節:ナジル人であることをかなぐり捨てる・・・既に異教徒の女性を愛して自分のものにしたいという欲求はイスラエル人として逸脱も甚だしいのです。ところが次に続く事件はサムソンがナジル人であることをかなぐり捨てる決定的な瞬間でした。若獅子が出現しても恐れることなく更に飛び掛かってくる獰猛な獅子の口を素手で引き裂くなど凡そ人間業ではありません。若くて逞しい青年を周りの若い女性が放って置くはずがありません。当然サムソンの熱狂的な女性ファンが次から次へと誘惑するのは容易に想像できます。サムソンの女性好きはこんなところがきっかけかもしれません。こうしたサムソンタイプの青年が陥りやすいのは自意識過剰です。ところがその後サムソンは殺した若獅子の死骸のそばを通り過ぎたところ、獅子のからだに蜜蜂の群れがいて、蜜があったのを見つけけたのです。ここまでは何の支障もないのです。ところがサムソンはその蜜を食したばかりか両親にも与えてしまったのです。「主のものとして身を聖別している間は死人のところに入ってはならない。(民数記8:6・8)にあるナジル人の規定に明らかに抵触します。サムソンは「若獅子を殺したこと・そのの死骸から蜜を集めて食したこと・、さらには両親に与えたこと」これらの一つも両親に話していません。(9)。自分の犯した規定違反を黙っているという行為はサムソン自身がナジル人としての自覚を既に捨てていたことに他なりません。自意識過剰な性分ではネクラのナジル人の生活は窮屈極まりないのです。自由奔放な生活をしている同世代のペリシテ人の若者が周囲にいれば当然サムソンはナジル人の生活に嫌気がさしていたことでしょう。ましてや自分の意志でなく親の勝手で人生を決められていたことに青年サムソンは辟易としていたことでしょう。青年を取り巻く環境は青年の人生観にとてつもない影響を及ぼす典型例です。また親の価値観の強要はいつか修正されないと子供との関係を悪化させる典型例とも言えます。
※幼少期に親が決めた良き習慣であっても自我が芽生える時期にまたその後も時期を照らして何度もその習慣について本人との話し合いが必要とされます。なぜこの習慣を親が勧めるのか本人同意が必要です。

■「6,このとき、主の霊が激しく彼の上に下ったので、・・・」との聖句がありますが、サムソンの生まれ持っての怪力と片付けることのできない一文です。サムソンの人生において絶体絶命の危機に追いやられる時必ずこの超自然の力がサムソンに貸与されているのです。サムソン自身もこの力の出所を知っていたのです。にもかかわらずそれを認めようとしない傲慢さがあったのです。両親にこの出来事を話さなかったのも、「それみたことか。お前は主なる神様に特別に選ばれているんだぞ。お前の命は神様の物なんだぞ。」と説教を食らのが嫌だったのでしょう。

=注目語句=

語句①主によること(4):英語it was of the LORD(KJV) the LORD was at work in this(NLT);ヘブル語フー・イェホバ[主のもの]

※再掲:語句②ナジル人(5):英語Nazarite;ヘブル語ナジーエル[献身者]・・・この言葉は一般的に、他の人から分離され、神に献げられている人を表しています。サムソン以前にはナジル人についての言及はないが、モーセの時代以前に存在していたことは明らか。ナジル人の誓いには、(1)ワインと強い酒の断酒、(2)誓いの継続期間中に頭から髪の毛を切ることを禁じ、(3)死者との接触を避けるという3つのことが含まれていた。誓いの継続期間が終わると、 ナジル人は聖所の入り口に(1)最初の年の子羊を焼き尽くすために、(2)最初の年の雌羊を罪をささげるために、(3)平和への供え物をささげなければならなかった。これらの犠牲が祭司によってささげられた後、ナジル人はその髪を幕屋入口で切り落とし、和解の生贄の下にある火に投げ込んだ。

=注目地名=地名①ティムナ(1):英語Timnath;ヘブル語ティムナー[部分,一部分,分け前]・・・ダンに割り当てられたユダの北の境界の町

士師記

Posted by kerneltender