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士師記8章-2

士師記8章-2(18-35)

=本章の内容=

❺長男エテルについて❻野望を隠すギデオン❼気休めの平和

=ポイント聖句=

27,ギデオンは、それでエポデを一つ作り、彼の町オフラにそれを置いた。イスラエルはみなそれを慕って、そこで淫行を行った。それはギデオンとその一族にとって罠となった。

=戦闘の経緯(8章2)= [7]ゼバフとツァルムナがギデオンの家族を虐殺したことが発覚し、二人の王はギデオンによって処刑される。この時長男エテルは父に代わって殺害ができなかった。

=黙想の記録=

❺18-21節:長男エテルについて・・・ギデオンの一族郎党がゼバフとツァルムナによって虐殺されたことへの復讐をする場面です。「20ギデオンは長男エテルに、二人を殺すように命じました。しかし、エテルはまだ少年だったので、恐ろしくて剣を抜くことができません。(リビングバイブル)」とあるように息子に斬首を命じるギデオンは鬼の様な形相だったのでしょう。長男エテルは戦闘の現場に父ギデオンと共にいたのです。また父や同属が何人もの敵を殺害している現場を見ていますが、このへっぴり腰を見ると本人は人を殺した経験がなかったのではないでしょうか。ギデオンがゼバフとツァルムナの殺害を命じた背景には以下のことが考えられます。それは長男エテルをギデオンの正式な後継者として内外に認めさせるために箔をつける行為それがこの二人の敵将の斬首だったのです。敵将二人の止めを刺す行為はイスラエル人の間で称賛されることだったのです。ところがエテルは怖気ついてしまいました。それを見ていたゼバフとツァルムナは最期の悪あがきとして、エテルの臆病さをなじりギデオンに一矢報いたのです。「21,あなたが立って、私たちに討ちかかりなさい。人の勇気はそれぞれ違うのだから。」の言葉は「こんなへっぴり腰がお前の長男なのか。こんな奴が跡継ぎなら私達の残党がやがてお前の一族を一蹴することになろう。」の思いが舌下にあったのです。このエテルは以降聖書に登場していません。復讐は復讐の連鎖を生みます。ギデオンは二人の王の戦利品として三日月形の飾りを取ります。これはミデヤン人の信奉する月の神を模ったお守りの様なものです。真の信仰者であったならギデオンはこの戦利品を破壊したのに相違ないのです。

❻22-27節:野望を隠すギデオン・・・大規模な戦闘が終わり大勝利を収めたギデオンに賞賛の声が届きます。22・・・「ばんざい!あなたもご子息も、子々孫々に至るまで私たちを治めてください。あなたが私たちをミデヤン人からお救いくださったのですから。」はギデオンにどれほど心揺さぶられたことでしょう。しかしここで彼らの声に踊らされ王としての主権を主張したら、エフライムを始め実力のある部族からどれほどの批判非難を受けるかギデオンは容易に想像できたのです。この場ではその申し出をきっぱり断らなければならないのです。23・・・「私は王にはならない。息子もそうだ。主があなたがたを治める王だ。」の言葉はイスラエル人には心地の良いものです。しかし彼は既に腹案を持っていたのです。それがエポデをつくり自分の故郷オフラに安置する事だったのです。ギデオン自らが経験しているように人心を操るのに武力は役立ちません。力で押さえつけるのはかえって反感を生むだけなのです。人心を自分に向けるのにうってつけなのが宗教そのものなのです。その第一段階としてギデオンは戦利品からミディアン人が身に着ける金の耳輪やらくだの首に掛けてあった金の首飾りや赤紫の衣を所望しました。これは大祭司の装束を作るための材料です。つまり大祭司の真似ごとをしようとしたのです。第二段階として他国の王がしているように多くの妻や側室を娶り70人の子供たちが生みます。これは正にギデオン王朝を築く素地になるのです。「31,シェケムにいた側女もまた、彼に一人の男の子を産んだ。そこでギデオンはアビメレクという名をつけた。」とありますが、アビメレクの意味は「私の父は王」です。つまりアビメレクは王子なのです。ギデオンの野心が露骨になっていった証拠です。

❼28-35節:気休めの平和・・・「28・・・四十年の間、穏やかであった。」とありますが実際は女預言者デボラが指導していた年数なのです。ギデオンは幸せな晩年を迎えましたが、イスラエル全体の為には気休めの平和をもたらしただけで、イスラエルはかえって巧妙な異教文化と風俗に染まっていくのです。「34,イスラエルの子らは、周囲のすべての敵の手から救い出してくださった彼らの神、主を、心に留めなかった。」がギデオン没後の言葉です。なんとも空しい戦いであったとは思えませんか。「35人々はギデオンの数々の功績を忘れ、その一族を手厚く待遇することも怠りました。(リビングバイブル)」とありますが、イスラエル人は一時の勝利の美酒に酔いはしましたが、このギデオンの戦いから何も学ぶことがなかったことを暗示しているかのようです。

=注目語句=

人物①エテル(20):英語Jether;ヘブル語イェセール[〔生活などの〕裕福さ、豊かさ]

人物②アビメレク(31):英語Abimelech;ヘブル語アビメレック[私の父は王] =注目語句=

語句①エポデ(27):英語ephod;ヘブル語エフォードゥ[大祭司の装束]

士師記

Posted by kerneltender