士師記8章-1
士師記8章-1(8:1-17)
=本章の内容=
➌ギデオンの戦い(8:1-17)
=ポイント聖句=16,デオンはその町の長老たちを捕らえ、また荒野の茨やとげを取って、それでスコテの人々に思い知らせた。
=戦闘の経緯(8章1)= [1]ミディアン人との戦いにエフライム人が最初から招請されなかったことギデオンにその責任を激しく追及した。 [2]ミディアン人を追ってヨルダン川を下ったギデオンと彼の300人の兵士は、ゼバとザルムナに率いられた残りの15,000人の敵の戦士を追って川を渡る。 [3]ヨルダン川の東側でギデオンと彼の部下のためにスコテとペヌエルの町の住民に食料援助を求めた。両町の長老たちはギデオンの援助要請を拒んだ。 [4]ゼバフとツァルムナ率いる15000人のミディアン人軍勢は逃走の果てカルコルに到着する。 [5] ギデオンの300人の軍勢が東から攻撃し、ミディアン人の残存軍の大半を撃破。二人の王ゼバフとツァルムナを捕らえる。 [6]同胞を支援することを拒否したにスコテとペヌエルの町の住民両町の住人を罰した。 =黙想の記録=❶1-3節:エフライム人の不満とギデオンの対応・・・敗走しているミディアン人がヨルダン川を渡る前にエフライムはオレブとゼエブの首を打ちそれをギデオンのところまで持ってきました。この時点では勝敗がはっきりしていたので敗走する軍を打ち負かすことは容易いことだったのです。ヨシュア時代にも同時期に行われたデボラの戦いでも中心的役割を果たした部族です。ギデオンの戦いに召集されなかったことでエフライム部族はプライドを著しく傷つけられたのです。こうした結果が出てしまったのもギデオンが神様の御心を尋ねるより自分の知識や経験値を優先し4部族に伝令を送ってしまったことのつけなのです。エフライム部族を敢えて呼ばなかったのもギデオンの策でしょう。エフライム人を呼べば戦いの主導権はエフライム人指導者に取られてしまうと懸念したのではないでしょうか。エフライム人の底力を知っているギデオンは言葉を慎重に選んで弁明します。「2-3,あなたがたには、神様がちゃんと、ミデヤンの将軍オレブとゼエブを捕らえさせてくださったではないですか。それに比べたら私のしたことなど取るに足りません。この戦いの最後を飾ったのはあなたがたですよ。そのほうが、戦いをしかけるよりも大仕事だったのではありませんか。(リビングバイブル)」強気で臨むと思ったエフライム人はギデオンの腰の低さに溜飲を下げたのでした。
※目覚ましい活躍をし始めた基督者が陥るのは、第一に大風呂敷を広げたくなる野心で心が満杯になることです。第二にうだつのあがらない先輩基督者についつい余分な一言を言ってしまうことです。しかしこの態度こそは神様の忌み嫌うところなのです。
❷4-9節:スコテとペヌエルの住民は味方しなかった・・・ヨルダン川を渡ればそこはガド部族の分割地です。そのガド族の分割地内にあるスコテとペヌエルの住民に食料援助を求めたのですが、両町の長老たちはギデオンの援助要請を拒びます。「6,・・・まだゼバフとツァルムナを捕らえたわけではないだろう。食べ物を恵んだのに負けられでもしたら大変なことになる。あいつらはここへ来て、われわれを殺すに違いないから。(リビングバイブル)」との打算があったのです。ガド族はデボラの戦いにも支援部隊を送っていません。ヨシュア時代の各戦いにも非協力的でした。デボラやギデオンの決死の戦いに無関心であるどころか同胞を支援しないのは敵と同様なのです。ペヌエルはかつてヤコブが神と格闘した場所です。残念ながらここの住民には主なる神様への畏敬の念さへ失われていたのです。
※目先の打算で動くのがこの世に属する人の常套手段です。基督者はこれに倣ってはいけません。
➌10-12節:敗走する15000人をギデオンの300人足らずのギデオンの部隊が追撃し、終にはゼバフ王とツァルムナ王を捕らえます。そのため全陣営は総崩れとなります。
❹13-17節:スコテとペヌエルの住民がギデオンによって虐殺される。・・・個人的な感想ですが、エフライム人には媚びへつらい、この2つの町の住人には無慈悲を貫き通すギデオンのダブルスタンダードの姿勢にはがっかりです。恐らくこの2つの町の住民には組織だった兵の集団も武器もなかったのではないでしょうか。仮にも同胞です。どうしてチャンスを与えようとしなかったのでしょうか。ギデオンが人命を疎んじているのは異教文化や風俗が抜け切れていない証拠でしょう。さらに言うなら、ギデオンの輝かしい戦勝の記録にこんな不名誉な事実が残ってはならないとでも思っていたのでしょうか。あるいはエフライムに媚びへつらうことで自分のプライドが傷つけられたことへの腹いせだったのでしょうか。こうした自己本位なギデオンの性格がいよいよ助長されていくのです。