ヨシュア記18章

ヨシュア記 6章
=本章の内容=
❶カナン分割の記録(5)七部族の分割方法❷レビ族の嗣業➌カナン分割の記録(6)ベミヤミン族
=ポイント聖句=3,ヨシュアはイスラエルの子らに言った。「あなたがたの父祖の神、主があなたがたに与えられた地を占領しに行くのを、あなたがたはいつまで延ばしているのか。
7,しかし、レビ人はあなたがたの間に割り当て地を持たない。主の祭司として仕えることが彼らへのゆずりだからである。
●会見の幕屋をギルガルからシロへ移動した(1節)理由は第一にギルガルをマナセ族に分割したからです。第二にヨシュア自身がエフライム族であり16章で記述した様に先祖伝来の霊的な地だったからです。
●1~10節で残りの七部族の分割方法について詳細が記されています。すでにこの時点でルベン族、ガド族、マナセ族、ユダ族、ヨセフ族(エフライム族・マナセ族)の五部族は分割が済んでいます。ヨシュアによる分割以前にルベン族、ガド族、マナセの半部族はモーセとの約束で分割は決定されていました。ユダ族(カレブ)もまたモーセとの関係性から分割を先取り(?)できる特権を持っていたと考えられます。指導者ヨシュアはヨセフ族ですから、分割後も政治の中心地に住居を構えるのは当然のことと思われます。ヨシュアが率いたイスラエル軍は広範囲をすでに征服していたのです。カレブ同様自ら進んで必要な地域を獲得すれば良いのです。今後外敵の攻撃はあっても小規模であるかあるいは無条件降伏するはずなのです。信仰が育っていれば彼らが向かうであろう全ての戦いにおいて万軍の主なる神様の御力を頂くことができるはずなのです。ところがこの七部族はかなりの時間が経過していたにも拘わらず率先して進軍することをためらっていたのです。16章でマナセ族が悪い前例を見せてしまったのも影響しているのです。この七部族も右へ倣えだったのです。主なる神様への信頼はいったいどこに飛んで行ってしまったのでしょうか。情けない限りです。「所有地は喉から手が出るほど欲しい。しかし土着の民族と交戦するのは嫌だ。開墾するのも手がかかる。ならば定住などすることなく遊牧民として過ごせば気が楽だ。」というお気楽主義が蔓延していたのです。「あなたがたの父祖の神、主があなたがたに与えられた地を占領しに行くのを、あなたがたはいつまで延ばしているのか。」とのヨシュアの叱責はこの七部族の煮え切れない態度に業を煮やしてのものでした。現代の基督者にも彼らと似たところはないでしょうか。口先ではキリストに似た者に変えられたいと言っておきながら、変えられるために通過しなければならない困難は避けたいという様なことです。時に神様が何の前触れもなく基督者に試練を与えるのはヨシュアの叱責と同様なことなのです。
●レビ族は分割作業から除外されました。その理由を「7,しかし、レビ人はあなたがたの間に割り当て地を持たない。主の祭司として仕えることが彼らへのゆずりだからである。」とヨシュアが言明した通りです。彼らにも家族がおり安定した生活を送りたいはずです。その為には生活基盤が必要でした。レビ族は他の部族が支援しなけれならないと民数記(31:30・31:47・35:2~8)に記されています。しかし実際の生活は清貧を余儀なくされていたようです。
[レビ族に関するヤコブの遺言] 創世記49:5~7,シメオンとレビとは兄弟、彼らの剣は暴虐の武器。わがたましいよ、彼らの密議に加わるな。わが栄光よ、彼らの集いに連なるな。彼らは怒りに任せて人を殺し、思いのままに牛の足の筋を切った。のろわれよ、彼らの激しい怒り、彼らの凄まじい憤りは。私はヤコブの中で彼らを引き裂き、イスラエルの中に散らそう。・・・創世記34章のシェケム家に対する二人の残虐な行為(34:25)を見据えた遺言と思われます。
●ヨシュアは偵察隊を送り各地を行き巡らせ自分たちの所有地となる場所を見極めさせ、その上でくじ引きによって公正に分割する方法をとらせました。今回の偵察隊ヨシュア・カレブを含めて12人の斥候がカデシュ・バルネアから送り出された時とは状況も内容も異なります。しかも人数は各部族から3人ずつの計21名の大世帯です。この大世帯が一段となって各地を行き巡るのです。外敵の攻撃はあっても小規模であるかあるいは無条件降伏するはずなのです。信仰が育っていれば彼らが向かうであろう全ての戦いにおいて万軍の主なる神様の御力を頂くことができるはずなのです。自分たちの所領が自分たちの踏査で決まるのですから、地勢や各種産業の可能性や土着民の様子など綿密に調べ上げたはずです。調査結果をもとにくじによって決められたのが以下の分割の様子です。
●11~28節にはベニヤミン族の分割の様子が記されています。ベニヤミン族はイスラエル十二部族の中でも最も小さな部族でした。臨終のヤコブが預言したように少人数ですが戦闘能力の高い勇猛果敢な部族と目されていました。蛇足ですが使徒パウロもこのベニヤ民族の出身です。彼らの父祖ベニヤミンはヤコブの12人の息子のうち、一番下の弟でヨセフ族の父祖ヨセフとはヤコブが偏愛したラケルの子供達でした。その為ヨセフ族とは切っても切れない関係性があったのでしょう。合計26の町々を分割されたのです。分割地はエフライム族の分割地と背中合わせの場所でした。南はユダ族西はダン族と領地が接していました。
[ベニヤミン族に対するヤコブの遺言] 創世記49:27,ベニヤミンは、かみ裂く狼。朝には獲物を食らい、夕には略奪したものを分ける。