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使徒の働き26章

使徒の働き26章(26:1~32)
=本章の内容=

❶パウロの弁明・フェストゥスとアグリッパの反応

=ポイント聖句=

パウロがこのように弁明していると、フェストゥスが大声で言った。「パウロよ、おまえは頭がおかしくなっている。博学がおまえを狂わせている。」(26:24)
また、アグリッパはフェストゥスに、「あの人は、もしカエサルに上訴していなかったら、釈放してもらえたであろうに」と言った。(26:32)

=黙想の記録=

《1~32節》パウロの弁明・フェストゥスとアグリッパの反応
(1)ヘロデ大王以降、ユダヤは「ユダヤ、イドマヤ、サマリア」「パレスチナ北東部」「ガリラヤ、ぺレア」の3区域をそれぞれ自分の三人の息子に分割統治させました。アンティパスにはガリラヤ、ぺレアが割り当てられましたが、ユダヤの中心エルサレムからすればかなり田舎です。アグリッパ1世(アンティパス)は「ガリラヤ、ぺレア」の一領主にしか過ぎません。アグリッパ2世(ヘロデ大王の曾孫)当時はすでにユダヤ全土はローマ直轄の属州で、総督が統治し、アグリッパ2世は単なるお飾りにすぎません。こうした後半の席に参加するのは単なる形式上の物です。
(2)アグリッパ2世はユダヤ教に真摯に向き合ってきた人物であるために、パウロの弁明は、訴状に対する抗弁ではなく、実体験に基ずく信仰の証となり、アグリッパ2世とベロニケへの正に個人伝道だったのです。パウロの弁明をまとまてみます。
・パリサイ人としての厳格な生活をエルサレムでしてきたこと
・ユダヤ人が希求してきたのはメシヤの到来であるが、神がよみがえらせた人物こそがメシヤであり、それはナザレ人イエスであった
・当初、ナザレ派を一掃しようと激しく活動してきたこと
・祭司長たちの権限と委任を受けてキリスト者迫害を本格化したこと。
※パウロの一連の行動は、ユダヤ教に対する熱意であって、利権が絡んでいないことを暗に説明しているのです。
・この活動の最中にメシヤであるイエスの顕現を受けたこと
・迫害の矛先が実はメシヤであるイエス様その方であったこと
・ユダヤ人だけではなく全世界にもたらす方がイエスであること
・このイエスからユダヤ人を始め異邦人へ伝道するよう召命を受けたこと
※これらの説明もまた彼の正義感のなせる業で卑しい利得の追求ではなかったことを物語っています。
・利害侵害されたと感じているユダヤ人が私を抹殺しようとしているのが今回の控訴の理由だったこと
・実体験に基ずく事実を語り、神がかかった幻想ではないこと
※アグリッパ2世はすべての事件を直接間接的に見聞きしてきた目撃者でもあるのです。
(2) 「パウロよ、おまえは頭がおかしくなっている。博学がおまえを狂わせている。」とフェストゥスが横やりを入れたのは、平和裏に終わらせるための彼のお膳立が台無しになってしまったからです。「おまえは、わずかな時間で私を説き伏せて、キリスト者にしようとしている」や「あの人は、死や投獄に値することは何もしていない。」と言ったことから、パウロの弁明が短時間で、アグリッパ2世の心を少なからず動かしたことを察することができるのです。
(3)パウロの弁明には命乞いの為の「政治的駆け引き」など微塵もありません。馬鹿がつくほど実直なのです。「イエスキリストの為なら命などひとつも惜しくない」という凛々しささへ感じさせるのです。「私にとって生きることはキリスト、死ぬことは益です。(ピリピ1:21)がパウロの人生の一貫した信念だったのです。人の心を動かす伝道は、巧みな弁舌にはなく、人生のどんな断面でも変わらない信念なのです。

 

 

使徒の働き

Posted by kerneltender