使徒の働き24章

使徒の働き24章(24:1~27)
=本章の内容=
❶弁護士テルティロの陳述❷パウロの弁明❸総督フェリクス夫妻への伝道と反応
=ポイント聖句=実は、この男はまるで疫病のような人間で、世界中のユダヤ人の間に騒ぎを起こしている者であり、ナザレ人の一派の首謀者であります。(24:5)
私は彼らの中に立って、ただ一言、『死者の復活のことで、私は今日あなたがたの前でさばかれている』と叫んだにすぎません。」(24:21)
また同時に、フェリクスにはパウロから金をもらいたい下心があったので、何度もパウロを呼び出して語り合った。(24:26)
《1~9節》弁護士テルティロの陳述
(1)テルティロはラテン系ユダヤ人で、今でいう国際弁護士というところでしょうか。パウロの雄弁さにとても敵(かな)わないと踏み、わざわざローマから呼び寄せたのです。テレビドラマを見ていると悪徳弁護士は、白いものも黒にしてしまうのを生業にしている人物だということが分かります。ルカが名前まで上げたこの弁護士を取り上げたのは、今後キリスト教会への攻撃にこの人物が関わってくることが予想できるので、「使徒の働き」を読む全ての教会に向けて、「警戒情報」を発信したかったのではないでしょうか。
(2)最高の社交辞令から始めたテルティロの告発内容をまとめてみると以下の物だけなのです。
①パウロが社会悪を全世界にまき散らす疫病の様な存在であること
※当時ローマの衛生状態は極めて悪く排泄物はそのまま通りに捨てられ、公衆浴場の清掃はほぼ皆無。そのため、マラリアや腸チフス、赤痢、肝炎などがしばしば蔓延していました。総督フェリクスが嫌悪することばの一つです。
②今回の直接の原因は、ユダヤ教の神殿をを汚したことによるもの
しかし、以上の物は被害の実態まで説明できていないのです。「閣下ご自身で彼をお調べくだされば(24:8)」とありますが、「こんな面倒で手間のかかることは何の益にもならないので恐らくフェリクスは調査することなく採決するだろう」と、フェリクスの素性を知るテルティロはそう予測していたのです。
《10~23節》パウロの弁明
(1)閣下が長年、この民の裁判をつかさどってこられたことを存じておりますので(24:10)」はフェリクスをびくつかせる言葉です。訴えられているのはユダヤ人ではなくローマ市民権をもっている人物です。いい加減な裁定を下せば、自分の地位にも即影響するのです。
(2)パウロのここでの弁明を以下にまとめてみると・
①エルサレムに滞在していた期間はわずか12日間。こんな短時間では何の影響を与えることができないこと②群衆を扇動を目撃した者はいないこと③自分はユダヤ教を遵守していること④しかし当時「ナザレ派」と呼ばれるグループにいたことは確かであること⑤「復活」という信仰を持っていることが今回の争点であり政治色はないこと⑥今回の絵エルサレム訪問は、同胞への施しと、ユダヤ教の儀礼に参加することだけ⑦騒ぎを起こしたのは自分ではなく、告訴している者たちの方だ
《24~27節》総督フェリクス夫妻への伝道と反応
(1)フェリクスは裁決を早く済ませてしまえば双方からの賄賂は期待できません。それが目的で裁定を引き受けたのですから。当然判定を延長させます。しかし夫人を伴った個人的な交流では、パウロから聞かされる説明は理にかなっており、ユダヤ人に訪れる危機を含め非常にタイムリーな話題だったので、驚きと恐怖心を抱くのは当然でした。