最新情報

使徒の働き21章-3

使徒の働き21章-3(21:27~40)
=本章の内容=

❸神殿騒動

=ポイント聖句=

そこで、パウロはその人たちを連れて行き、翌日、彼らとともに身を清めて宮に入った。そして、いつ、清めの期間が終わって、一人ひとりのためにささげ物をすることができるかを告げた。(21:26)
千人隊長が許したので、パウロは階段の上に立ち、静かにするよう民衆を手で制した。そして、すっかり静かになったとき、ヘブル語で次のように語りかけた。(21:40)

=黙想の記録=

《27~40節》神殿騒動
(1)モーセの律法の一部として,過越の祭の50日後に五旬節すなわち「初穂の祭」が行われ(レビ23:16)。全12部族の全男子がエルサレムに巡礼して祝うことが定められているほど重要な祭りです(出エジプ34:23)。この為、イスラエル国内のみならず離散先からもおびただしい数のユダヤ人がやって来ていました。
(2)騒動の発端は「誤解」です。アジアから来たユダヤ人たちはパウロを見かけただけで、非ユダヤ人を宮に連れ込んだと思い込んだのです。以前パウロがギリシャ人のトロフィモと連れ立っていたことが記憶に残っていたからです。悪意があれば正義も捻じ曲げてしまう輩です。「律法や神殿」について語る資格などないはずです。そこで、彼らは群衆を煽って、パウロをこの際亡き者にしようと企てたのです。ところが不思議なことですが、何万人といるユダヤ人キリスト者はなぜここには居合わせていなかったのでしょうか。パウロを擁護しようとする者はいなかったのでしょうか。第二世代となったエルサレム教会でパウロの味方になる長老はいなかったのでしょうか。「人々は殺到してパウロを捕らえ、宮の外へ引きずり出した。(21:30)」の表現は、ステパノの殉教の時と酷似しています。その時パウロは石を投げる者たちの服を預かってその場にいたのです(7:57・58)。
(3)パウロには状況に左右されない強い信仰と心のゆとりがありました。「主はローマに導かれているので、こんな場所で犬死はさせない」と確信していたのです。ところが、ここが神様の絶妙な配慮がありました。神殿の北西部に隣接したアントニオ要塞は、ローマ兵の監視所として使われ、神殿におけるユダヤ人の状況を把握していました。混乱状態からさらに暴動になりかねないのを見て、ローマ軍の千人隊長クラウディウス・リシヤが手を打ちます。ローマ兵が動き出したのを見て群衆は動きを止めます。この騒動の元凶がパウロにあると思い込んだクラウディウス・リシヤは、ユダヤ人が納得するようにパウロを捕らえ、鎖で縛り、兵営に連行していくのです。この捕縛の手段は重犯罪への処置です。彼はパウロのことを先に暴動を起こし逃亡していた革命家のエジプト人ではないかと誤解していたからです。これはローマ法に基づけば違反行為です。しかし、この行為もまた、神様のパウロへの配慮であったのです。ところが捕縛される姿を見ても騒動を引き起こしたユダヤ人は引き下がりません。兵営まで追い迫ってきたのです。「殺してしまえ」の叫び声を書くことで、ルカはピラトの法廷でイエス様が罵声を浴びせられた様子(ルカ23:18)を読者の思い出させているのです。
(4)騒動が絶望的な状態に発展してしまったにもかかわらず、パウロは流暢なギリシャ語でクラウディウス・リシヤに語りかけます。さっさと兵営に入り難を避ければ済むところをパウロは敢えてユダヤ人の前で弁明の機会を与えるよう要望します。死と隣り合わせにいることを痛感していたのでしょうが、同胞を心から愛し、彼らの救いを願って行われる最期のメッセージとも思え、パウロは自らの体験を証ししていきます。

 

 

使徒の働き

Posted by kerneltender