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使徒の働き20章-1

使徒の働き20章-1(20:1~12)
=本章の内容=

❶コリント教会に向けて❷ユテコの蘇生

=ポイント聖句=

週の初めの日に、私たちはパンを裂くために集まった。パウロは翌日に出発することにしていたので、人々と語り合い、夜中まで語り続けた。(20:7)
人々は生き返った青年を連れて帰り、ひとかたならず慰められた。(20:12)

=黙想の記録=

《1~6節》コリント教会に向けて
(1)。パウロは第二回の宣教旅行で1年6か月を費やして、コリント伝道と教会建設に情熱を注ぎました。コリント教会には二人の会堂管理者を含む有能な人材がたくさん集まっていました。が、規模化するのと同時に、「教会のサロン化」が始まり、道徳的な問題、教会秩序の問題、偽教師による間違った教理の嵐が吹いて大混乱になっていたのです。パウロはコリント教会だけではなく、「主の教会」の行く末そのものについても、強い不安を感じていたのです。この為今回は「コリント教会の健全化」と主要目的とした旅に出かけようとしたのです。コリントへの旅に先立って、パウロはテトスを派遣しています。このテトスが、後に正常化したコリント教会の様子を報告してくるまで、パウロは悶々とした日々を過ごします。
(2)前章で発生した「銀細工人デメテリオ事件」で難を逃れたパウロ一行は、エペソからマケドニアに移動します。「ユダヤ人の陰謀」については記載がありません。が、今後の宣教活動が多難なものになることを暗示する言い回しです。この旅の同行者は4節にある7人とルカで、トロアス港で合流しました。この7人は全て非ユダヤ人と思われます。それは困難が予想されるローマ伝道に向けての布陣でした。またギリシャ地域の諸教会のフォローアップの為に必要な精鋭部隊だったのです。この旅の任務遂行は単独では成し遂げられないとパウロは強く感じていたのです。
《7~12節》ユテコの蘇生
(1)トロアス教会でも、7節にあるようにすでに定期的な聖餐式(パンとぶどう酒でイエスキリストの受難と復活を覚える集会)が始められていました。その聖餐式の後、現地の兄弟姉妹と親しく交流の時を持ちました。「ともしびがたくさんついていた」との表現は第一に、逃げも隠れもする必要のない平和な状況を表し、第二は会場がかなりの大広間であったこと、第三に「酸欠状態(当時は酸素と言う存在を知らなかったわけですが、ですから空気が薄くなる)」であったことを表しています。ユテコはギリシャ語で「Εὔτυχος (ユトハス)」で日本語で「幸運」という意味になります。トロアスに安息日の制約はありません。そこで「青年」とあるところから日中懸命に働きへとへとになりながらも聖餐式に参加していたことも想像できます。この「青年」という単語には「僕」と言う意味もあり、疲労困憊している体を引きずってでも、教会の交わりに加わりたい、御言葉をもっと聞いていたいという「信仰の熱意」が伝わってみます。一行との交流が決して退屈であったから居眠りをしていた訳ではないのです。韓国教会で警察官や看護師・介護士の兄弟が夜勤明けにもかかわらず、可能な限り全ての集会に参加する様子を見かけることが良くあります。その際、ユテコと同じく「信仰の熱意」がずしーんと伝わって来ます。
(2)「三階」との表現から、堅牢で大きな建造物を想像させます。日本で三階建てと言えば建物の高さが9~10mになり、窓は少なくとも8mくらいに位置しています。しかも建造物の周りはほぼ石畳です。そこから落下するとすれば重症以上は免れないでしょう。この青年に駆け寄った人々は彼の死を確認しています。ひどい外傷があったかもしれません。また出血していたかもしれません。兄弟姉妹は「死」を目撃していましたが、パウロは異なる目(信仰の目)がありました。それは「この熱き信仰を持った青年を神様は犬死させないとの確信」でした。ラザロを蘇生させた時に使われた「いのち」は「ζωή (ゾエイ)」で「永遠に継続する命」のことですが、ここで使われた「いのち」はギリシャ語の「ψυχὴ (スヘイ)」で「肉体に存在する命」を意味するものです。
(3)「人々は生き返った青年を連れて帰り、ひとかたならず慰められた(20:12)」とありますが、パウロが語っていたのは「永遠の希望」のことだったのでしょう。青年が蘇生できたことは何よりでしたが、この青年を蘇生させる事実を見て、トロアス教会の面々は、「永遠のいのち」を与えてくださる真の神の存在を強く感じ取ることができたことでしょう。
(4)私たちは見えている現象によって大いに左右されてしまうものですが、「信仰の目」をもって俯瞰することができれば、困難な状況でもそれを必ず乗り越えていくことができるのです。このユテコの蘇生はそれ教える箇所でもあります

 

 

使徒の働き

Posted by kerneltender