使徒の働き18章-2

使徒の働き18章-2(18:18~28)
=本章の内容=
❷プリスキラとアキラとエルサレムへの帰還❸アポロという人物
=ポイント聖句=「神のみこころなら、またあなたがたのところに戻って来ます」と言って別れを告げ、エペソから船出した。(18:21)
アポロはアカイアに渡りたいと思っていたので、兄弟たちは彼を励まし、彼を歓迎してくれるようにと、弟子たちに手紙を書いた。彼はそこに着くと、恵みによって信者になっていた人たちを、大いに助けた。(18:27)
《18~23節》プリスキラとアキラとエルサレムへの帰還
(1)聖霊が用意してくださった絶妙なタイミングで、パウロはコリントでプリスキラとアキラに出会います。そればかりか、以降彼らはパウロの宣教活動に同行するようになります。彼らはAD49年にクラウディウス帝が出したユダヤ人退去命令によりローマからコリントに移り住んでいたわけです。アキラは元々ガラテヤ州北部に接する黒海に面したポントス州生まれのユダヤ人です。最終的にこの二人はローマに戻りますが、パウロはこの時、異邦人宣教の目撃者としてエルサレム教会に彼らを同行させたかったのです。コリント教会の形が整った頃合いを見計らい、パウロは異邦人宣教の実態報告とくすぶっていた割礼問題の解決の為、いったんエルサレムに帰還したのです。
(2)その途上でアジア州の州都エペソでわざと時間を費やします。これは以前御霊によって禁じられたアジア州での宣教活動は、今現在、御心であるかどうかの感触を確かめるためでした。普段通りシナゴーグでユダヤ人向けに宣教活動を行い良好な感触を受けます。エルサレム教会の帰還を急いでいたので、早々にエペソを去ります。エルサレム教会での用を済ませ一行はアンティオキア教会に立ち寄ります。さらにそこからパウロの開拓したガラテヤの地方やフリュギアの諸教会の再教育と激励の為、巡回して行きます。そして約束したようにエペソに戻ります。
《24~28節》アポロという人物
パウロの第三回宣教旅行(18:24~21:14)が開始されます。
(1)アレクサンドリアはBC332年にアレクサンドロス大王によって建設され、古代エジプト最後の王朝であるプトレマイオス朝の首都として発展した大都市です。文学・歴史・地理学・数学・天文学・医学など世界中のあらゆる分野の書物を集め、70万冊の蔵書を持ったアレクサンドリア図書館があり、ヘレニズム時代の商業(地中海貿易)と文化の中心地として栄えました。アポロはこのアレクサンドリアで生まれ育ち、旧約聖書だけでなく、諸文化にもに詳しく、洗練された弁舌を訓練されていた人物でした。
(2) プリスキラとアキラも参加していた会堂でのメッセージは違和感がありました。イエス様がメシヤであることを旧約聖書で論証しているのですが、福音理解が正確ではないのです。「ヨハネのバプテスマしか知らなかった。(18:25)」で分かるように、聖霊のバプテスマを受けていない、つまり救われていなかったのです。悔い改めの意味は分かっても、①イエス様の十字架刑の死とよみがえりが救いの道であったこと②救いは父なる神様の一方的な恵みによるもので行いではない③信じる者には助け主として聖霊が降臨されることについての知識が欠損していたのです。プリスキラとアキラがパウロの代わりにアポロを教育できたのも聖霊の配慮でした。彼らは全員離散したユダヤ人であり、異邦人の常識や習慣を誰よりも理解しているという共通点があります。パウロ抜きでも異邦人伝道の主力になれる人物達です。このがっつりとした協力体制こそが異邦人教会をけん引することができたのです。