使徒の働き15章-2
使徒の働き15章-2(15:22~41)
=本章の内容=
❷送られた書簡の内容❸パウロとバルナバの別行動
=ポイント聖句==黙想の記録=
《22~29節》送られた書簡の内容
(1)エルサレム教会は、決議内容を明文化し、書簡にしたため、パウロ達が開拓してきた教会に送ります。その際に、その書簡の正当性を証明するために、エルサレム教会からバルサバと呼ばれるユダとシラスを同行させました。シラスは第二回伝道旅行でパウロと同行することになりますが、このシラスこそは、パウロの終生の戦友になる人物です。
(2) 書簡の冒頭で「アンティオキア、シリア、キリキアにいる異邦人の兄弟たち」の「異邦人」はギリシャ語で「ethnos(エスナス)」で本来は「異教徒、群れを成す集団」という意味です。「異教徒の皆さん」と訳すなら極端な言い方をすると「野蛮人の者たち」とも聞こえてきます。書簡の宛先には「兄弟たち」と言う言葉があります。ですから、「かつては異教徒でしたが今では主にある兄弟姉妹となられて」という意味が込められているのではないでしょうか。つまり、書簡を手渡す先は、エルサレム教会同様、「キリストの教会」と認めたことになるのです。ルカはすでに使徒の働き5章から「教会」とい単語を使い始めていますが、この事件以前はエルサレム教会が唯一のキリストの教会でした。しかし、福音が異邦人にも等しく伝えらえれ教会建設が進んでいく過程を格別な喜びをもって伝える為、ここでは敢えて「教会」とは言わず「異邦人の兄弟たち」と呼び方を変えたのではないでしょうか。アンティオキアで書簡を手渡す際に初めて正式に「教会の会衆を集めて(15:30)」と「教会」を使っているこのタイムラグがルカの心情を表しているかのようです。
23,彼らはこの人たちに託して、こう書き送った。「兄弟である使徒たちと長老たちは、の兄弟たちに、あいさつを送ります。
(3)書簡の内容は以下の通りです。
①地方教会で騒動を巻き起こしている人物はエルサレム教会とは何の関りを持っていないこと。
②この人物たの言動は「混乱」を起こし、信徒を動揺させるだけで意味がないこと
③この書簡の正当性を証明するため、エルサレム教会の重鎮である「バルサバと呼ばれるユダとシラス」を派遣したこと
④ あなたがた地方教会もまた聖霊の業によって始められたこと
⑤ ユダヤ教の風習(割礼等)を強制しないこと
⑥ 偶像礼拝や不道徳な行為を避けること
⑦ 教会の発展を祈っていること
《30~35節》書簡への反応
この書簡は問題解決だけの意味ではなく、地方にある信徒の群れが正式に「教会」と認められたところがより重要なのです。書簡が「励ましの言葉」と思えたのはこの理由からです。「ユダもシラスも兄弟たちを励まし、力づけた」ことはさらに追加承認となったわけです。その後ユダとシラスはエルサレムに戻りますが、シラスは後にパウロ一行に合流します。
《36~41節》パウロとバルナバの別行動
第二回の宣教旅行を始める矢先に問題となったのが、第一回目で戦線離脱したマルコを同行させるかどうかのことでした。パウロの「宣教精鋭主義」とバルナバの「弟子育成主義」との対立でした。バルナバは「パウロの様な人物でも主が変えられたのだからマルコも変えられていく」との自信を持っていましたが、パウロはそれを認めることができません。「激化する宣教活動でマルコの成長を考え、先に進むことを躊躇してしまえば、そこで宣教活動が滞ることにもなりかねないので、この選択も必要である。」と最終的にバルナバは結論を出したのでしょう。またこの時点でもマルコはパウロの独善的な性格を受け入れたくなかったとも考えられます。バルナバにとっては苦渋の選択でした。しかし後年このバルナバの思いやりと努力が報われマルコはパウロも認める奉仕者となるのでした。(テモテ第二4:11)