最新情報

使徒の働き13章-2

使徒の働き13章-2
=本章の内容=

❶ピシディアのアンティオキアでの伝道と騒動

=ポイント聖句=

神は約束にしたがって、このダビデの子孫から、イスラエルに救い主イエスを送ってくださいました。(13:23)

=黙想の記録=

《14~52節》
(1)ピシディアのアンティオキアはパウロの支援教会があったシリアのアンティオキアから直線距離で約400km北西にあるアナトリア高原にある都市です。マケドニア時代のセレウコス帝が造った都市で、ローマ時代には有力な東西の要衝として植民地とされていました。山賊が出没する為に、ローマ軍が常に駐屯していました。ここにもユダヤ人の会堂があり、パウロ来訪の噂を聞いた会堂司たちは彼を招き入れ奨励の言葉を語らせるのです。パウロがユダヤ教随一のラビ、ガブリエルの門下生であったことは、彼らへの大きな説得力となります。
(2)パウロの説教は大きく3つの部分からなっています。それは第一にダビデ契約に至るイスラエルの歴史、第二にイエスキリストの福音、第三に信じることへの決意を促すことでした。第一の部分では、出エジプトからダビデ王までの歴史を振り返らせ、「ダビデ契約」によりダビデ王朝が永遠に継続することに話を誘導しています。第二の部分は、バプテスマのヨハネから始まりイエス様の死と復活は目撃されている事実であり、これこそが人間の究極の救済をもたらすもの、さらにダビデ契約の遂行であったことを説明しています。第三の部分は、旧約聖書(詩篇・預言書)を通し、福音を受け入れる決意を促しています。この決意には中途半端は有り得ないことを締めくくりの言葉として残しています。
(3)多くのユダヤ人と神を敬う改宗者たちがパウロの説教に感銘を受け、救いを受け入れ信仰の道へと歩み出します。「ほぼ町中の人々が、主のことばを聞くために集まって来た(13:44)。」とは驚異的なことでした。バリバリのパリサイ派の若き闘士であったパウロが、その知識を総動員し、さらに要点のみを語ったことで、聴衆の心が動くのです。ですが、これはパウロの技量が成せる技ではなく、聖霊の働きによるのです。パウロの説教に、当時の社会事象に関する話題があったでしょうか。当時の社会事象から終末を読み込む話題などあったでしょうか。こうした意味で言うならパウロの説教は、現代的ではありません。残念ながら、現代流行している説教の数々は、「社会事象を取り上げ、そこに符合する聖句をトッピングするだけ」のものですから、説教者の博識と説教技術があれば成り立つものです。「面白い。為になった。役立った」の感想しか残らず、次のステップへと誘うことができないのです。心で感じとれても魂まで光が当てられていないのです。たとえて言うなら、様々なトッピングをしたかき氷をシャカシャカと食べるの同じです。奇抜な味はしますが、栄養にはならないのです。稚拙と思われる内容でも朴訥な話し方でも、聖霊なる神様が働けば、魂を動かすことができます。
(4)猛烈な反対者が登場しますが、彼らはパウロの福音に反対していたのではなく、多くの人々が彼の唱える信仰の道に入っていくことに妬みを感じるのです。その妬みは、律法学者達が自分の既得権を奪われてしまう危惧を感じたからなのです。「神を敬う貴婦人たちや町のおもだった人たちを扇動し(13:50)」とあるところから、彼らの為政者とのべったりな癒着を感じさえます。彼らは有力者を丸め込むための忖度を日ごろから行っていたと想像できるのです。
(5)「足のちりを払い落として(13:51)」とは関係性を断つという風習ですが、これは反対者に対する行為であって、アンティオキアで信徒に対する行為では無論ありません。パウロ一行は以降ユダヤ人伝道だけに拘ることをやめました。難を避けるためにイコニオンに戻ります。イコニオンはピシディアのアンティオキアから直線距離で東南東に約150kmの位置にあります。次章ではここイコニオンでも同様な騒動が待ち構えています。

 

 

使徒の働き

Posted by kerneltender