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使徒の働き11章

使徒の働き11章
=本章の内容=

❶ペテロ非難の根底にあるもの❷異邦人教会の開始とエルサレム教会の支援活動

=ポイント聖句=

人々はこれを聞いて沈黙した。そして「それでは神は、いのちに至る悔い改めを異邦人にもお与えになったのだ」と言って、神をほめたたえた。(11:18)
この知らせがエルサレムにある教会の耳に入ったので、彼らはバルナバをアンティオキアに遣わした。(11:22)

=黙想の記録=

《1~18節》ペテロ非難の根底にあるもの
※明治維新の立役者はこぞって、どこぞの門下生で、欧米のことが記載された図書から新文化を吸収しようとする「文献主義者」でした。欧米文化に直接触れていた人物(体験者)は数少ないのです。しかも、その多くは武士という特権階級でした。その為、真の民主主義国家の創設はできなかったとは言えないでしょうか。
(1)ペテロがエルサレムに戻ってきたとき、ユダヤ教を順守するキリスト者(割礼を受けている者たち10:2)が彼を非難しました。エルサレム教会には、数年間イエス様と寝食を共にしユダヤ教の限界や矛盾を聞かされていた「古参の弟子達グループ(体験者)」に対し、ペンテコステ後に加わった十字架の死と復活を認めざるを得なかった「祭司などの宗教指導者を中心とするインテリグループ(文献主義者)」が双璧をなしていました。
(2)教会発足直後に、ペテロやヨハネは、またほかの使徒たちは、聖書の行動規定を軽んじ、ただ自分たちの直感でのみ行動していると思われていました。この人物達が全員捕縛され、このグループを危機に晒してきたと文献主義者達には思えていたのです。さらに、これに付け加え、今回のペテロの「異邦人宣教」という独断行動は、いよいよ、体験主義者達の横暴と思えてきたのです。また、ステパノの様に旧約聖書を熟知していた人物とはいえ、生粋のユダヤ人では無い格下と思っていた人物が「奉仕者」に選ばれ牧会にあたり、理論武装などできない無学な使徒達が律法学者よろしく各地を巡回していることを、文献主義者は不快に感じていたのです。残念ながら、この不快さは、正当な義憤ではなく、単なる嫉妬の部類。マウントを取りたがる自己認識欲求とは言えないでしょうか。無視無欲で教会に仕えるという域まで達していない、つまり、古き己がまだ残っていたのではないでしょうか。
(3)現在の教会は逆に、体験を重んじ直感を大事にする傾向が強く、聖書をおざなりにし、聖書を学ばないグループも数多く見受けられます。初代教会とは真逆の現象ですが、根底にあるのはやはり無視無欲で仕え合うという基本原則の欠落と言えます。
(4)文献主義者の訴えの内容
「ペテロが忌むべき異邦人と寝食を共にした」ことであり、「彼らにも聖霊が降臨した」という事実は、完全に無視されていたのです。文献主義者が「聖霊降臨は他の六人の同行者が目撃したことを聞いて沈黙した(11:18)」という言葉には、決して完璧な同意をしていない節が伺えます。この事件以降、この対立は長く続いていくのです。
《19~30節》異邦人教会の開始とエルサレム教会の支援活動
(1)ステパノ事件以降各地に散らされたキリスト者のうち、北に向かっていた人々がいました。この人々も「ユダヤ人以外の人には、だれにもみことばを語らなかった(10:19)」とあるように、当初、異邦人宣教への確信が持てなかったのです。しかし、当のユダヤ人よりも異邦人の方が、福音に対する反応がすこぶるよかったのです。「そして、主の御手が彼らとともにあったので、大勢の人が信じて主に立ち返った。(10:20)」の報告はエルサレム教会にも届けられ、聖霊の働きが、異邦人にも等しく及んでいるという動かぬ証拠を見せつけられるのです。
(2)バルナバも古参のメンバーの一人ですが、聖書を熟知し、さらに人望のある人だったので、エルサレム教会はペテロではなくバルナバを派遣することで妥協点を見つけ出したようです。バルナバは文献主義のサウロが、今のこの対立を解決する人物であると確信しコンタクトを取るのです。二人は現状打開のためアンテオケで調整時間を持ちます。この著名な人物が今異邦人伝道のパイオニアであることをエルサレム教会は認めざるを得ません。この二人の人物が派遣されることによりアンテオケ教会は目覚ましい成長を遂げることができるのです。折しもエルサレム地域の飢饉は熾烈を極めていたので、アンテオケ教会は、支援物資をエルサレム教会送ります。この行為はエルサレム教会が、異邦人教会を受け入れる要因になったことは疑う余地もありません。メシヤはユダヤ人のメシヤのみでなく、異邦人にとってもメシヤとなられたことを確認するのでした。アンテオケ教会は両名を派遣してくれた霊的祝福に対し、物質的な恵みで感謝の思いを返したのです。
 

 

使徒の働き

Posted by kerneltender