使徒の働き10-2章
使徒の働き10章-2 (10:23~48)
=本章の内容=
➊ペテロの異邦人伝道(2)出会いの過程(3)ペテロの説明
=ポイント聖句= するとペテロは彼を起こして、「お立ちください。私も同じ人間です」と言った。(10:26) =黙想の記録=《23~33節》出会いの過程
(1)異邦人を受け入れることは、生粋のユダヤ教徒には「不浄の物」を食することと同様、「下等な人間のすること」という意識があり、ペテロは幻の中で三度もこれを頑なに拒むのです。しかし、同じ夢を三回も見せられ、「異邦人にも福音を伝えるという教会の宿命を自分も担うべきだ」という朧げな結論に達していたのです。さらに彼にそう確信させたのが、コルネリウスに直接出会うまでのプロセスです。①御霊の勧めの言葉と使者が来た絶妙のタイミング②異邦人コルネリウスへの御使いの啓示と自分の結論との一致。この確信のもとにペテロが最初に取った行動は、「異邦人である使者と寝食を共にする」という行動でした。次に自分ひとりではなく同行の仲間たちを一緒に連れて行ったことです。ペテロの行動には証言が必要だったからです。以前の「独断専行型」のペテロではなく、「教会の一致を重んじる」新しいペテロが垣間見えるのです。
(2)ペテロ一行を驚かせたのは次の文です。「コルネリウスは、親族や親しい友人たちを呼び集めて、彼らを待っていた。(10:24)」コルネリウス一人だけで隠密裏に話し合う程度と踏んでいたのが、「親族や親しい友人たち」も同席させていたのです。ここにコルネリウスの人望の厚さと確固たる信念のほどが伺えるのです。「足もとにひれ伏して拝んだ」ところから、ペテロを見ることが、ローマ皇帝に謁見するほどの重みを感じていたのです。為政者ローマの武官に傅かれさぞかしペテロはご満悦と思いきや、誠の兄弟にするように抱き起こし、「お立ちください。私も同じ人間です(10:26)」との言葉をかけるのです。
《34~48節》ペテロの説明
(1)ペテロは開口一番「ユダヤ人は異邦人を不浄なものと思っている」と言ってのけますが、異邦人と言え初対面のさらのそれなりの地位のある人々に対して甚だ礼儀に反した言葉です。しかし、その後、彼は「ユダヤ人の風習」を超え、「主なる神様の導き」への確信に従ったことを伝えるのです。自分の為に今後の展開を計算し、彼らに忖度するわけではなく、馬鹿がつくほどの正直な姿にかえって、彼らはペテロに信頼を深めていったのです。ペテロ以外の同行者に主なる神様の確かな導きを確信させるため、敢えてコルネリウスに今までの顛末を語らせます。「午後三時の祈り」など言葉の節々に、信仰に対する真摯な態度をペテロだけでなく同行者も見ることで確信は安心へと変化していきます。そこでペテロは従来のユダヤ教を超越した「イエス様の福音」を丁寧に語り始めました。「イエス様の十字架の死と復活」は福音の核心部分です。ピリポが旧約聖書から贖い主を語った様子とは異なり、目撃した事実で福音の信ぴょう性を説いているのです。これは「伝道」と言うよりむしろ「目撃談」なのです。これは何よりも説得力があるのです。現代のキリスト者にも当てはめる手法は、初心者に対し、「詭弁を弄する」ことよりむしろ「信仰の経験談」を語ることを教える部分でもあります。
(2)聖霊降臨が異邦人にもあったことを後にエルサレム教会で報告するために、主なる神様は、ペンテコステの日同様な出来事がここでも起きたことをペテロ一行全員が目撃させるのです。この結果、ユダヤ人信徒同様バプテスマを施し、公式に彼らを仲間として認めることになるのです。エルサレム教会に戻り一部始終を報告した後ではないのです。これはペテロの一存ではなく、同行したユダヤ人たちも承諾したうえでの行動でした。