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使徒の働き8-2章

使徒の働き8-2章
=本章の内容=

❷エチオピアの宦官

=ポイント聖句ピリポは口を開き、この聖書の箇所から始めて、イエスの福音を彼に伝えた。(8:35)

=黙想の記録=
使徒の働き8章-2
8:26~40
=本章の内容=

《26~40節》
(1)ピリポも七人の奉仕者の一人です。ピリポはギリシャ語の男性名で「馬を愛する者」という意味があるそうです。12弟子のひとりとは別人。このエチオピアの宦官への伝道の後、アゾトを経由し各地で宣教を行いながらカイサリアへ行き。その後ピリポはカイサリアに定住しました。
(2) 27節で。エチオピア人の女王カンダケの高官の「宦官」の説明があります。宦官とは、男性去勢者(性器を切除)のみに任官が許された官職をのことです。王や王妃の身辺の世話する官吏です。 生殖機能を奪われ、家族を持つこともできない宦官は本来、歴史の表舞台に出ない存在でした。
(3)カンダケとは現スーダンにあったナイル川流域の「古代王国メロエ」の王妃や皇太后の称号で地名ではありません。当時のエチオピアは、エジプト南部アスワンあたりからスーダンにかけての地域で、金や鉄、銅などの鉱物資源に恵まれ、古くから製鉄技術を持ち、交易路の結節点として栄えた国でした。メロエからエルサレム間は直線距離で1500kmで、メロエの港湾都市からアカバ湾奥までは海路で、そこから陸路を使う必要があります。ロスタイムを考えても10~14日ほどかかります。
(4)このメロエは例のシバの女王のシバと地域が被っています。メしたがって、ユダヤとエチオピアとは昔から交易によって綿密な関係性があったことが伺えます。また、エジプト文明・ギリシャ文化・ユダヤ教の各文化が混在していました。この宦官が旧約聖書に親しんでいたことや、エルサレムに宮参りに出かけたのはこうした背景があったからです。
(5)宦官に出会う行程は尋常ではありません。以下のように表現されています。
※1「立って南へ行き、エルサレムからガザに下る道に出なさい。」(御使いによって)
荒野に導かれたこと・・・ガザは地中海の面した港湾都市でエルサレムから南西に向かい直線距離で100kmほどです。サマリヤにいたはずのピリポは神様の指示で南下してきましたが、そこで何が起こるのかは知らされていませんでした。見晴らしは良くても、荒野では人に出会うことはまずありえません。盗賊も出そうな物騒なところでもあります。
※2「近寄って、あの馬車と一緒に行きなさい」(聖霊によって)
財産管理を任される高官です。ボディーガードもいたことでしょう。馬車に並走して近寄ってくる怪しい人物をそのままにしておけないでしょう。迂闊に近寄るのは危険なのです。
※3「イザヤ書53章を読んでいたのが聞こえた」(彼自身の耳で)
哲学書やほかの宗教本を読んでいたのではないのです。外ならぬメシヤ預言テンコ盛りのイザヤ書です。宦官はユダヤ教ではなく、メシヤそのものに興味があったのです。
※4「馬車に乗って一緒に座るよう、ピリポに頼んだ。」(宦官によって)
誇りまみれの粗末な服装のピリポを馬車で同席させるのです。外見で人を判断する人ではないと想像できます。「導く人がいない」の言葉ですが、ユダヤ人ラビを丸抱えするほどの資産を持っていたはずです。しかしそれは不可能でした。第一に彼が異邦人であること。第二に宦官であることです。申命記23:1には宦官の様な人物をユダヤ教に引き入れてはならないことが明記されています。
※5バプテスマを受けるための水があった(両人の目によって)
8章前半にあるように、福音を受け入れることはバプテスマを受けることで正式表明したことになり、さらに聖霊を内住させるプロセスでもありました。
※6宦官は帰国します
この宦官一人の救いがやがて国家をキリスト教に導くことになります
(6)「伝道」についての学びをするときによく用いられるのはこの箇所です。上の様にまとめてみると宦官への伝道は、「本人の意図」からではなく「神様の導き」に従ったことが確信できるのです。また、個人への伝道が多くの方々への福音宣教の拡大につながることは大いにありうると確信させられるのです。

 

 

使徒の働き

Posted by kerneltender