テモテへ手紙第二 1章
テモテへの手紙第二 1章
=本章の内容=
❶テモテの信仰の起源❷福音宣教に伴う困難への覚悟➌パウロを力づけたオネシポロの家族
=ポイント聖句=ポイント聖句
神が私たちに与えてくださったものは、おくびょうの霊ではなく、力と愛と慎みとの霊です。ですから、あなたは、私たちの主をあかしすることや、私が主の囚人であることを恥じてはいけません。むしろ、神の力によって、福音のために私と苦しみをともにしてください。(1:7~8)
●本章は、殉教の直前に書かれた最期の手紙です。異邦人教会とユダヤ人教会は当時対立の度深めていました。第二回伝道旅行の終わりにエルサレムを訪ねたのはこの二者の融和をはかるためでした。しかしそれは徒労に終わりました。エルサレム教会が見舞われていた様々な困難の為、パウロは異邦人教会で義援金を募り、第三回伝道旅行の終わりにそれをエルサレムに持参しました。この行為でいったんは和解ができた両者ですが、律法主義を貫こうとしたエルサレム教会の指導者が再び異邦人教会にユダヤ人の伝統の遵守を押し付けてくるのです。パウロはエルサレム教会を納得させるために再度現地に向かいます。そこで長老たちの勧めもあって、同行者にユダヤ人のしきたりを守らせ、そしてしきたりに従って宮に向かいます。ところがエペソから来ていたユダヤ教の人々に見つけ出され、猛烈な反対を受け、さらにリンチを加えられそうになります。この騒動の鎮圧のためローマ軍が介入し、そこで不当な取り扱いを受けたパウロはローマの市民権を行使して、その危機から逃れようとし、正式な公判を求めローマ行きを願うのです。時はネロ皇帝の世でした。ローマでは最初軟禁状態が続きいったんは釈放されるものの、すぐに再逮捕。そして殉教となるのです。このテモテへの手紙第二は、再逮捕された後のものと言われています。パウロのこの悲惨な状況を見て、多くの基督者がパウロを見限るのですが、テモテの様に迫りくる困難に真正面から向き合おうとする基督者も少なからずいたのです。
●福音宣教の第一線で働く兄弟姉妹には反対者が付き物の様です。最も身近な人物が最も激しい反対者にもなりうるのです。そしてその理由は正当なものではなく、妬みが要因する場合が多々あります。また口に出しては反対しないまでも、第一線から引き下ろされたことに心地よさを感じる場合もあるのです。なぜこんなことが霊的リーダーに起こってしまうのでしょう。テモテ第一の手紙で取り上げられているように、この世で「一旗揚げたい」という教会リーダーがそこにいるからです。
●現代の基督教世界で「一致団結」を声高に叫ぶ人物が登場します。ところが、考えかたの一致を見るために時間を費やすことを省略し、自説を押し通し、相手を取り込む事に始終する。或いは、意義を唱えるものを多数決で追い出すことさえ厭わないのです。更にその背景には主催する自分等がその「頂点に君臨したい」という卑しい思いが感じられるのです。信徒の成長は二の次です。この第二の手紙でパウロはテモテにこうした偽教師の登場を警告しています。