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サムエル記第二23章-2

サムエル記第二23章-2(8-17節)
=本章の内容=

❷三勇士の武勇伝❸ベツレヘムの井戸

=ポイント聖句=

16-17,三人の勇士はペリシテ人の陣営を突き破って、ベツレヘムの門にある井戸から水を汲み、それを携えてダビデのところに持って来た。しかしダビデはそれを飲もうとはせず、それを主の前に注いで、こう言った。「主よ。そんなことをするなど、私には絶対にできません。これは、いのちをかけて行って来た人たちの血ではありませんか。」彼はそれを飲もうとはしなかった。三勇士は、そのようなことまでしたのである。

=黙想の記録=

❷8-12節:三勇士の武勇伝・・・8-21節には特筆すべき三人の軍人がその武勇伝と共に記されています。人物ごとにまとめてみます。

[1] ヨシェブ・バシェベテ・・・KJVでは名前がない代わりに「座席に座っていた者」とあります。Ⅰ歴代誌11:11には「三勇士の筆頭」とあるが、恐らくヨアブに次ぐ主要な司令官と思われます。この個所では一度に「800人を刺殺した」とありますがⅠ歴代誌11:11には300人となっています。一度にこのような人数に取り囲まれて相手にすることは考えられません。推測ですが確かに彼自身も大勢の敵兵を殺害し、さらに彼の部隊の兵も加勢した結果が見て敵の大隊(300~1000人)の殲滅となったのではないでしょうか。特異な自然現象が敵兵を襲ったとも考えられますが、ここではその記述がありません。

[2]エルアザル・・・「9-10,次は、ドドの子でアホアハ人のエルアザルです。彼も三勇士の一人で、ほかの者が逃げ出した時も、ダビデとともに踏みとどまってペリシテ人と戦いました。彼は次々にペリシテ人を打ち倒し、ついに手が疲れて、剣を握ることもできないほどでした。主は彼に輝かしい勝利を授けました。残りの兵士が引き返して来た時には、戦利品を集めるばかりになっていたのです。(リビングバイブル)」とありますがⅠ歴代誌11:13-14では「彼はペリシテ人と戦った時、王とともにパス・ダミムにいました。大麦畑に隠れていたイスラエル軍が逃げ始めた時、彼は最後まで踏みとどまり、味方を立ち直らせてペリシテ人を倒しました。(リビングバイブル)」と双方で異なる表現になっています。

[3]シャンマ・・・Ⅰ歴代誌11章には名前が記載されていません。ヘブロンの周辺地域の出自とされているのでユダ族と思われる。「11-12三人目は、ハラル出身のアゲの子シャマです。ペリシテ人が攻めて来た時、部下は彼を放って逃げ出しましたが、ただ一人レンズ豆畑の真ん中に踏みとどまって、敵を打ち倒したのです。こうして、主は大勝利をもたらしました。(リビングバイブル)」

以上がダビデの三勇士とされています。これらの屈強な戦士たちの特徴は周りの兵士が恐れて逃逃亡しても決して敵を恐れなかったことです。主なる神様がギデオンの軍隊の規模を縮小しようとしたとき神様が命じられたことは「恐れを感じたすべての兵士を退ける」ことでした(ヨシュア7:3)。

❸8-17節:ベツレヘムの井戸…この武勇伝はダビデがアドラムの荒野に住んでいた時代のことです。―この物語はⅡサムエル5:17に記されているペリシテ人との戦争で起こったと思われます。―アドラムの洞窟はダビデの故郷ベツレヘムを占領していたペリシテ人に対峙する為の拠点でした。ダビデとその部下たちはサウルからの逃亡者ではありましたが、ペリシテ人と戦うことによりイスラエルに貢献していたのです。「15そんなダビデの口をついて出るのは、いつも、「ああ、のどが渇いた。ベツレヘムの井戸のうまい水が飲みたい」ということばでした。その井戸は町の門のわきにありました。(リビングバイブル)」とあるように、ダビデは水を飲むためだけに大胆な行動をとるよう三勇士に命を下していないのです。これは単にベツレヘムを懐かしむ言葉に過ぎなかったのです。しかしダビデのベツレヘムへの郷愁に応えようとこの三勇士は自発的に行動したのです。アドゥラムの洞窟からベツレヘムを往復するには敵の陣地を掻い潜り約40kmも行軍しなければならなかったのです。ダビデは自ら発した軽率な言葉によってこの三勇士に命を賭して行動させたことを大いに恥じました。その為ダビデはこの水に口をつけることなく主なる神に捧げたのです。この物語が敢えてサムエル記後半に記したのは、イスラエル国家はダビデの力だけで樹立されたわけでは無くダビデに忠義を尽くすことで主なる神様に献身と愛を誓ったこれらの人々の奮闘努力の結果でもあったことを記録したかったのです。

=注目語句=

語句①タハクモニ人(8):英語Tachmonite;ヘブル語タフクモニ[あなたは私を賢くする]・・・地域名であるが場所は不明

語句②アホアハ人(9):英語Ahohite;ヘブル語アホヒー[安息の兄弟]・・・ベニヤミンの息子ベラの息子アホアに由来する父称(1歴代誌8:4)。

語句③アラル人(11):英語Hararite;ヘブル語ハラリー[登山家]・・・エフライムの丘陵地帯出身。ユダ族?

=注目人名=

人名①ヨシェブ・バシェベテ(8):英語Josheb-basshebeth(NLT);ヘブル語ヨセイブ・バシェイブス[安息所に住みます]・・・ダビデの偉大な戦士の一人・・・座席に座っていた者(KJV)

人名②エルアザル(9):英語Eleaza;ヘブル語エルアザル[神は助けてくださった] ・・・ダビデの偉大な戦士の一人

人名③シャンマ(11):英語Shammah;ヘブル語シェマー[砂漠]

人名④ドド(9):英語Dodo;ヘブル語ドドー[彼の最愛の人]…ベツレヘム人。エルアザルの父。ヘブル語ではドダイ。恐らくベニヤミン族。

人名⑤アゲ(11):英語Agee;ヘブル語アゲイ[増える]・・・シャンマの父。