サムエル記第二22章-3
サムエル記第二22章-3(21-34節)
=本章の内容=
ダビデの詩篇➌義ときよさ
=ポイント聖句=28-30,苦しむ民を、あなたは救われますが、御目を高ぶる者に向け、これを低くされます。主よ、まことにあなたは私のともしび。主は私の闇を照らされます。あなたによって、私は防塞を突き破り、私の神によって、城壁を跳び越えます。
=黙想の記録=➌21-34節:義ときよさ・・・「30あなたの力を受けて、私は敵を破り、あなたの勢いを借りて城壁を飛び越える。」とあることから、この個所で繰り返される「私の義ときよさ」は主なる神様の前で己を誇ろうとするものではありません。それは傲慢に他なりません。ダビデは己の罪深さを自覚していました。この個所では自分と対峙する敵対者や追っ手の不義や邪悪さに対して如何に正義を貫き通して来たかをダビデは主張したかったのです。その潔癖な行為は己に不利に働くと予想されてもです。ダビデは律法に背くような卑劣な手段を決して講じなかったのです。その言動は、主なる神様の戒めに真摯に向かい、そのお方の御心を忠実に実行しようとの強い意志から来たものです。「25,主は私の義にしたがって顧みてくださいました。御目の前の、私のきよさにしたがって。」とあるように人の原則ではなく主なる神様の原則(申命記28章)に従って行動したからこそ主なる神様は勝利を叶えて下さったとダビデは自覚しているのです。「31,神、その道は完全。主のことばは純粋。」の中で「完全」「純粋」という言葉を使っていますが、ダビデは主なる神様からの神託に対し、自分の浅はかな考えや注釈を差し挟みまなかったことを意味しています。律法全体を深く黙想してきたダビデは都合の良い言葉だけを選んで自己流の解釈をしたのではなかったのです。自分の言動を正当化する為だけに律法の一部を切り取ることをしなかったのです。「34,主は、私の足を雌鹿のようにし、高い所に立たせてくださいます。」鹿はあの細く華奢な足で岩場を駆け上ったり駆け下ったりすることができます。あの華奢な足のどこにそのような筋力が隠されているのでしょうか。その力は「主」が用意してくださるものとダビデは確信しています。高い所に立てばどこに敵が存在しどこに休み場があるかをいつでも俯瞰できるのです。また敵はそのような高所まで追ってくることができないのです。まさにこの高所こそ堅固な要塞なのです。ダビデはサウルに追われて辛く苦しい生活を強いられてきました。まさに猛獣の様なサウルに追いやられ逃げ回った末に岩場の多い高原に住み着いたのと一緒です。しかしその生活には決して困り果てていません。その中で生活する術を学んだのです。また逆境にも耐えられる脚力も鍛えられていたのです。これはアブシャロムに追われて都落ちした時にも活かされた教訓だったのです。
=注目語句=語句①完全(31):英語perfect;ヘブル語タミーム[完全に,健全で,損なわれていない,潔白で,誠実]
語句②純粋(31):英語is tried;ヘブル語ツァラッフ[試される,精錬される,証明される]
語句③雌鹿(34):英語hinds;ヘブル語エイヤール[鹿,山羊]・・・山羊が高い崖に登るのは岩に付着している塩を摂取するため、また高い急な崖なら肉食獣から襲われることがないため、さらに岩肌から出る苔や高山植物系を好んで食べる習性がある為。ヤギのひづめは2つに分かれており硬い外側と柔らかい内側を使って器用に岩肌の凹凸を掴んでいくことができる。鹿や山羊の眼は顔の横にあって瞳は横に長い。その為視野はほぼ360度カバー出来ているので崖を登っていて何をしていても常に周囲を見渡すことができる。またヤギは夜の視力能力が高く、夜でも行動することができる。
サムエル記 第二 22章21~34節21,主は、私の義にしたがって私に報い、手のきよさにしたがって顧みてくださいました。
22,私は主の道を守り、私の神に対して悪を行いませんでした。
23,主のすべてのさばきは私の前にあり、主の掟から、私は遠ざかりませんでした。
24,私は主に対して全き者。自分の咎から身を守ります。
25,主は私の義にしたがって顧みてくださいました。御目の前の、私のきよさにしたがって。
26,あなたは、恵み深い者には恵み深く、全き者には全き方。
27,清い者には清く、曲がった者にはねじ曲げる方。
28,苦しむ民を、あなたは救われますが、御目を高ぶる者に向け、これを低くされます。
29,主よ、まことにあなたは私のともしび。主は私の闇を照らされます。
30,あなたによって、私は防塞を突き破り、私の神によって、城壁を跳び越えます。
31,神、その道は完全。主のことばは純粋。主は、すべて主に身を避ける者の盾。
32,主のほかに、だれが神でしょうか。私たちの神のほかに、だれが岩でしょうか。
33,神は私の力強い砦。私の道を全きものとされます。
34,主は、私の足を雌鹿のようにし、高い所に立たせてくださいます。