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サムエル記第二17章-3

サムエル記第二17章-3(23-29節)
=本章の内容=

❹自害するアヒトフェル❺ダビデを支えた人々

=ポイント聖句=

23,アヒトフェルは、自分の助言が実行されないのを見ると、ろばに鞍を置いて自分の町の家に帰り、家を整理して首をくくって死んだ。彼は彼の父の墓に葬られた。

27-29,ダビデがマハナイムに来たとき、アンモン人でラバ出身のナハシュの息子ショビと、ロ・デバル出身のアンミエルの息子マキルと、ロゲリム出身のギルアデ人バルジライは、・・・ダビデと彼とともにいた民の食糧として持って来た。

=黙想の記録=

❹23節:自害するアヒトフェル・・・「23,アヒトフェルは、自分の助言が実行されないのを見ると、ろばに鞍を置いて自分の町の家に帰り、家を整理して首をくくって死んだ。彼は彼の父の墓に葬られた。」とたった一行でアヒトフェルのあっけない最期を作者は表現しています。フシャイの進言が受け入れられ自分の進言は否定されたのです。アヒトフェルは大いに自尊心を傷つけられました。しかし人間こんな事ぐらいで自ら命を絶つものでしょうか。自害したのはアブシャロムの唯一無二の最高顧問の地位をあっさりとフシャイに奪われたことに対する失望からでしょうか。実は彼が命を絶った理由はこうした感傷的な気持ちの問題ではなかったのです。アヒトフェルには先見の明が誰よりもあったのです。フシャイの計画が即時に実行されないのならダビデは延命し、そればかりか必ずダビデが最終的に勝利者となることを彼は予見したのです。さらにダビデが権力の座に返り咲けばダビデによる復讐の嵐が起こり反乱の主たる扇動者として自分自身が断罪されることは自明之理なのです。これがアヒトフェルの自害の最大理由なのです。ところで忘れてはならない重要なことがあります。それはオリーブ山で礼拝を捧げ主なる神様に嘆願したダビデの祈りのことです。ダビデは絶体絶命の時ですら「アブシャロムやアフィトフェルを殺害してください」とか「私達を彼らの謀略から救ってください」と敵への復讐や自らの延命について一切祈っていないのです。ダビデのこの時の祈りは「主よ、どうかアヒトフェルの助言を愚かのものにしてください(Ⅱサムエル15:31)」でした。この祈りの結果が前述した結末をもたらしたのです。その意味で言えばダビデは非常に的確な願いをしたことになります。私達の祈りはどうでしょうか。的外れな祈りをしていることはないでしょうか。

💖詩篇3篇・4篇は第3編冒頭に「ダビデがその子アブサロムから逃れたときに」との表題にあるように4年間の苦悩を歌ったもので、3篇は「朝の祈り」4篇は「夕の祈り」とも呼ばれています。緊迫した現状の中にあっても主の御助けを身近に感じていることを率直に言葉に残しています。「4:3主はご自分の聖徒を特別に扱われるのだ。」の確信があるからこそ、主なる神様に見えない将来をもお任せできるのです。

❺24-29節:ダビデを支えた人々・・・アブシャロムの召集による兵達はたとい数万人を超えていても常備兵ではなく日常生活を停止され強制的に集められた謂わば素人集団です。また武器も十分ではないはずです。またアブシャロムが将軍として任命したアマサは指揮官としての経験値はほぼありません。アブシャロムは軍を指揮したこともありません。彼らはヨルダン川を渡ってダビデのいるマハナイム近郊で陣を敷きます。ダビデ一行はすでにマハナイムに到着しています。ここはイシュボシェテによって防御を強化した城壁と門のある要塞都市(Ⅱサムエル18:24)です。ここでダビデは軍を再結成し体制を整えます。マハナイムは渡河したヨルダン川の浅瀬から北東約80kmの地点でギルアデの真下にあります。ダビデの元に徐々に集まって来る軍人はいずれも自分の武器を携帯しているはずです。この時点で既に勝敗が変名しているのです。25・27節に登場する主な人名はアマサ、ショビ、マキル、バルイライで、バルジライ以外はダビデの親族です。アブシャロムの台頭でダビデの親族は二つに分かれまさに骨肉の争いを始めてしまったのです。マハナイムで軍備を整えている最中に食料品などの物資を届けに来てくれた人物達が居ます。この個所の彼らはいったい何者でなぜこんな大量の物品を贈って来たのでしょうか。ダビデがユダの王になった時最初に着手したことを覚えていますか。それはヨルダンのヤベシュ・ギレアデの人々によるサウルとその息子達埋葬に対しての感謝と称賛でした(Ⅱサム2:6)。彼らは命の危険を顧みずサウルと息子たちの遺体を運び出し、また自らの地で葬儀を行いまた埋葬してくれたのです。ダビデは無論多くの物品をもって感謝の意としたことでしょう。ペリシテ人との戦闘で疲弊していた彼らにとってダビデからの贈り物はどれだけ助けになったことでしょう。そのギレアデの人々こそ今物資を届けに来てくれた人々なのです。その時のダビデの行為に恩返しをするとしたら、マハナイムに逃避しているこの機会と思ったに相違ありません。彼らはこの行為によってアブシャロムに反目されることを承知していたのです。礼儀を尽くすことがやがて自分の身を助けることとなる典型例と言えるでしょう。

=注目語句=

語句①アスリエル人(25):英語Israelite;ヘブル語イエスラエィール[神は勝つ]・・・イシュマエル人のことを指す。彼らの先祖はアブラハム。

語句②ギルアデ人(25):英語Gileadite;ヘブル語[岩場] =注目地名=

地名①マハナイム(24):英語Mahanaim;ヘブル語マハナイエム[二つの宿営]・・・おそらくイシュボシェテによって防御を強化した城壁と門のある要塞都市。(Ⅱサムエル18:24)。ダビデが軍勢を集めている間の安全な退却地でもあった。渡河したヨルダン川の浅瀬から北東約80km。

地名②ロ・デバル(27):英語Lodebar;ヘブル語ロ・デバール[牧草地ではない場所]・・・ヨルダン川東ギレアデのマナセ部族の町。

地名③ロゲリム(27):英語Rogelim;ヘブル語ロギリーム[(毛織物などの)仕上げ工が居る場所]・・・ヨルダン川東ギレアデのマナセ部族の町。

=注目人名=

人名①アマサ(25):英語Amasa;ヘブル語アマサー[重荷]・・・エッサイの娘アビガイルの息子。後にヨアブによって殺害される(Ⅱサムエル20:12)

人名②イテラ(25):英語Ithra;ヘブル語イェセル[豊富]・・・アマサの父・アビガイルの夫

人名③ツェルヤ(25):英語Zeruiah;ヘブルセルヤー[バルサム(香油の一種)]・・・ダビデの異母姉妹で、ダビデ軍の3人の主要な英雄(アビシャイ、ヨアブ、アサヘル)の母

人名④ナハシュ(25):英語Nahash;ヘブル語ナハッシュ[蛇]・・・本来は男性の名前。エッサイの妻の一人という説もある。

人名⑤アビガル(25):英語Abigail;ヘブル語アビガイル[私の父は喜び]・・・アマサの母

人名⑥ショビ(27):英語Shobi;ヘブル語ショビー[栄光]・・・ナハシュの息子

人名⑦アンミエル(27):英語Ammiel;ヘブル語アミイェール[私の親類は神]・・・歴代誌上3:5によるとアンミエルはバテ・シェバの父となっている。もしこれが同じアンミエルなら、マキルはバテ・シェバの兄弟となる

人名⑧マキル(27):英語Machir;ヘブル語マヒール[売れた]・・・人名⑦を参照

人名⑨バルジライ(27):英語Barzillai;ヘブル語ベルツィライ[私の鉄]・・・ギルアデの住人。このとき推定76才。