サムエル記第二17章-2

サムエル記第二17章-2(15-22節)
=本章の内容=
➌二人の伝令と名もなき英雄達
=ポイント聖句=20,アブサロムの家来たちが、その女の家に来て言った。「アヒマアツとヨナタンはどこにいるのか。」女は彼らに言った。「あの人たちは、ここを通り過ぎて川の方へ行きました。」彼らは、捜したが見つけることができなかったので、エルサレムへ帰った。
=黙想の記録=➌15-22節:二人の伝令と名もなき英雄達・・・フシャイの進言がアブシャロムと彼の賛同者に受け入れられた直後今までの一部始終を二人の人物に託しダビデの元に伝令として飛ばします。アブシャロムと彼の賛同者はフシャイの進言通り「全イスラエルにダビデ追撃の命を出すこと」に決定しました。しかし敢えて伝令を送るのはアヒトフェルはきっと納得せず勝手に追撃するかもしれないとフシャイが憶測したためです。フシャイはダビデ一行がヨルダン川手前の草原で野営する(Ⅱサムエル15:28)ことを知っていたので、それを避けヨルダン川を渡河するようにとの内容でした。その後の様子を時系列にまとめてみます。
[1]フシャイは事前にエルサレムに残っていた二人の祭司(ツァドクとエブヤタル)に事情を説明 [2]二人の祭司が伝令の二人(ヨナタンとアヒマアツ)を送り出す※[1]と[2]の間に女奴隷が連絡役となっていた
[3]二人の伝令がエルサレム近郊にいるのを若者に発見される [4]若者がアブシャロムに報告 [5]アブシャロムは急ぎ捜索隊を出し二人を追わせる。 [6]バフリムに住む人物のところに飛び込むが捜索隊が追ってくる [7]妻の機転で井戸に匿われ危機を回避できる [8]伝令が無事ダビデの所に到着する [9]夜明け前にダビデ一行はヨルダン川と渡河するここには「一人の女奴隷」と「ある若者」の二人の名も無き人物が登場します。女奴隷によってダビデ一向に救いをもたらす「良い知らせ」が、若者によってダビデ一行を滅びに居たらせる「悪しき知らせ」が運ばれるのです。若者にはアブシャロムから褒美を得たいという卑しい心が見え隠れしています。しかし女奴隷にそんな心は微塵もないのです。決死の思いでエルサレムに残ったフシャイや二人の祭司や二人の伝令、そしてバフリムで二人の伝令を守った女性などダビデには多くの協力者がいたのです。しかしいつ復帰できるかもしれない都落ちしたダビデから何かの見返りを期待していたでしょうか。それどころか協力者であることが露呈したら命の保障もないのです。彼らを突き動かしていたのはいったい何なのでしょう。私達がイエス様の為に生きようとするは何故なのかを改めて黙想できる良いテキストがこの個所なのです。またこんなことも黙想できます。アブシャロムから突然ダビデ一行への対応を求められたのをフシャイは予期していたことでしょうか。二人の伝令が若者に発見されアブシャロムに即時に追撃されることを予期していたでしょうか。バフリムにいた女性が二人の伝令を井戸に匿ってくれただけでなく捜索者に嘘をついてまで守ってくれたのを二人の伝令は予期していたでしょうか。予期できないこと予測もたたない事がある場合結果的に事が良き方向に向かうのはそこに主なる神様の介入と御配慮があるからです。
=注目語句=語句①女奴隷(17):英語wench(KJV), servant girl(NLT);ヘブル語シッファ[女奴隷,女性召使,,売春婦]
語句②若者(18):英語lad(KJV),boy(NLT);ヘブル語ネエール[若者,召使,使用人,男子] =注目地名=
語句①荒野の渡し場(16):英語the shallows of the Jordan River(NLT);ヘブル語エラバー・ミッドゥバール[砂漠・荒野]・・・ギルガル近くのヨルダン川の浅瀬の部分を指しているとするとエルサレムから直線距離で約20~30km地点。
語句②エン・ロゲル(17):英語En-rogel;ヘブル語エン・ロゲル[泉の様な場所]・・・エルサレムのダビデの町の外東南東部分にある泉または小川の流れている場所と推測されている。隠れ場所はあるが発見されやすい所。