最新情報

サムエル記第二9章

サムエル記第二9章
=本章の内容=

❶メフィボシェテへの対応

=ポイント聖句=

13,メフィボシェテはエルサレムに住み、いつも王の食卓で食事をした。彼は両足がともに萎えていた。

=黙想の記録=

❶1-13節:メフィボシェテへの対応・・・多くの外敵を倒した後ダビデは王位をめぐる国内の潜在的脅威について対処を図ります。異教徒の国王ならその脅威を一掃しようとするはずです。ところがダビデは、サウルや彼の周りの世俗的な指導者たちとは一線を画し、彼の潜在的な脅威に対し主なる神様の慈愛を示そうとします。しかし穿った見方をすれば監視下に置いておく政策とも言えるのです。メフィボシェテは父ヨナタンが亡くなるとき推定5歳でしたが、息子ミカがいたと記述されているので(12)、その後相当な時間が経過していたと推測されます。おそらく父ヨナタンの死後17年後の出来事と思われます。メフィボシェテは不幸な出来事(Ⅱサムエル4:4)の為に足が不自由な身体障害者です。当時身体に障害がある場合王位を継ぐことは許されていません。ダビデはサウルの家の者が存在するか問い正すためにダビデの元に来ていたサウル家の侍従であったツィバを呼び出しメフィボシェテの存在を知ります。「3,・・サウルの家の者で、まだ、だれかいないか。私はその人に神の恵みを施そう。」の言葉はダビデの性格上サウル王の様な陰湿な策略を持っていると思えなかったツィバはここで初めて「まだ、ヨナタンの息子で足の不自由な方がおられます。」とヨナタンの息子の存在を知らせます。ダビデの言葉に二言はないと知ったツィバは今度は積極的にダビデにメフィボシェテの所在を明らかにするのです。このツィバの執成しによりメフィボシェテはダビデ王に謁見するだけでなく、ダビデの養子としての取り扱いを受けることになるのです。『6,サウルの子ヨナタンの子メフィボシェテは、ダビデのところに来て、ひれ伏して礼をした。ダビデは言った。「メフィボシェテか。」彼は言った。「はい、あなた様のしもべです。」』でメフィボシェテはダビデの前に進み出て「ひれ伏して礼をした」とあります。この時のメフィボシェテの心情は如何ばかりであったことでしょう。ツィバからダビデ王の前に連れて来られる経緯は聞いていたとしても、ダビデがサウル王の様な姑息な人物ならそサウルと血がつながる者としての場で即刻首を刎ねられてしまうかもしれないのです。恐怖心が先に立っていたと思われるのです。恐怖に慄いているメフィボシェテにヨナタンの面影を見たダビデは「恐れることはない。私は、あなたの父ヨナタンのゆえに、あなたに恵みを施そう。あなたの祖父サウルの地所をすべてあなたに返そう。あなたはいつも私の食卓で食事をすることになる。」と父ヨナタンとの盟約の存在を語りメフィボシェテにサウルの財産の返却ばかりでなく、ダビデの他の王子同様養子としての取り扱いを約束するのです。ところで今までサウル王の財産管理を任せられていたのはこのツィバです。この財産故に「息子が十五人と召使いが二十人いた」との繁栄ぶりだったのです。つまりサウルの財産を横領していたことによる反映だったのです。しかし彼はその財産をダビデ王の命により一瞬にしてメフィボシェテに移譲されてしまうのです。「11,・・・わが主、王がこのしもべに申しつけられたとおりに、このしもべはいたします。」とツィバは潔く財産をメフィボシェテに移譲するようにふるまっていますが心は真逆です。決して諦めてはいないのです。アブシャロムの反乱があった時積極的にダビデ王を支援するという口実でダビデに近づきます。メフィボシェテに移譲された全財産を少しでも取り戻そうと悪だくみを図るのです。

=注目地名=

地名①ロ・デバル(4):英語Lodebar;ヘブル語ロ・デバール[牧草地ではない]・・・ヨルダン川東岸のマナセ部族の領地内の町

=注目人名=

人名①ツィバ(2):英語Ziba;ヘブル語ツィバ[像]・・・16章にもう一度登場する。

人名②アンミエル(4):英語Ammiel;ヘブル語アミイェール[私の親類は神]

人名③マキル(4):英語Machir,;ヘブル語マヒール[売れた]・・・トランスヨルダンにいたロ・デバル出身の有力人物。サウルの死後メフィボシェテなど残されたサウル一族を保護している。アブサロムの反乱の際ダビデとその部下の欠乏を満たすのを助けた裕福な人物(Ⅱサムエル17:27)でもある。歴代誌上3:5によるとアンミエルはバテ・シェバの父となっている。もしこれが同じアンミエルなら、マキルはバテ・シェバの兄弟となる。つまりダビデはバテ・シェバと以前から面識があったと思われる。

人名④メフィボシェテ(6):英語Mephibosheth;ヘブル語メフィボシェ[偶像を抹殺する]・・・ヨナタンの息子であり、サウルの孫。ダビデと父ヨナタンの盟約故にダビデの養子としての取り扱いを受ける者のアブシャロムの反乱の時にエルサレムに残りダビデに礼を尽くさなかったことで財産をツィバに移譲されてしまう。結果サウル家はこの時点で歴史から抹消されてしまう。

人名⑤ミカ(12):英語Micha;ヘブル語マッフミハ[誰が神の様であろう]・・・メフィボシェテの息子