サムエル記第二7章-2

2024年6月28日

サムエル記第二7章-2(18-29節)
=本章の内容=

❸ダビデの応答(何かが抜けている)

=ポイント聖句=

21,あなたは、ご自分のみことばのゆえに、そしてみこころのままに、この大いなることのすべてを行い、あなたのしもべに知らせてくださいました。

24,そして、あなたの民イスラエルを、ご自分のために、とこしえまでもあなたの民として立てられました。主よ、あなたは彼らの神となられました。

29,今、どうか、あなたのしもべの家を祝福して、御前にとこしえに続くようにしてください。神である主よ、あなたがお語りになったからです。あなたの祝福によって、あなたのしもべの家がとこしえに祝福されますように。

=黙想の記録=

❸18-29節:ダビデの応答(何かが抜けている)・・・預言者ナタンを介して与えられた神託に対するダビデの応答の部分です。次の3つの部分で構成されています。

[1]18-21節:分を超えた恵みへの感謝・・・「18,・・・私は何者でしょうか。私の家はいったい何なのでしょうか。」の言葉には自分の意志や努力によってダビデ王朝が始まりまた継続するのではないという謙虚さがあります。「20,・・・あなたはこのしもべをよくご存じです。」の言葉には自分が犯してしまった数々の愚行に対する悔悟の念、そしてその愚行を処罰しないばかりか全てを赦して下さるという特別な配慮に対する感謝の思いがにじみ出ています。

[2]22-24節:過去の顕現に対する賛美・・・出エジプトから始まるイスラエルの歴史に次々に大いなる奇跡をもって介入してくださった主なる神様を認識し褒め称えています。その同じ方が等しい力を持ってダビデ王朝の継続を言葉をもって約束してくださったのです。

[3]25-29節:約束の最終的な成就のための請願・・・「28-29,あなたこそ神であられ、おことばにうそはありません。私のような者に、これほどすばらしいことを約束してくださった主よ、どうぞ、おことばどおりに事を運んでください。このしもべとその家をいつまでも祝福してください。この王朝が、あなたの前にいつまでも続きますように。主なる神よ、それがお約束なのですから。(リビングバイブル)」とあるようにダビデは重ねて「ダビデ王朝の継続繁栄」を願い求めて締めくくりの言葉にしています。その中で「約束」を多用していますが「ダビデ王朝の安泰」を執拗に願う姿はやや興ざめしてしまいます。

■ところで上記のダビデの応答には肝心な部分が抜け落ちています。お気づきでしょうか。それは「7章-1」で記述した『[1]神殿を建てるな[2]主は神殿に住まない[3]神殿を建てることを命令したことがない』という神殿建設に関する主なる神様の思いを取り上げていないのです。「ダビデ王朝が永遠に継続する」という神託にすっかり舞い上がっているだけなのです。『創造主であられる神は時間や空間によって固定されることのない自由(普遍性)をお持ちの方である』という重要な真理を敢えて口に出さないのです。「創造主の住まいを固定しよう」とする全ての試みは悪魔が最も喜ぶ「偶像礼拝」の温床作りに他ならないのです。ここでのダビデの感謝や賛美の言葉は確かに美しいものですが「神殿建立」を是が非でも実行したいという肉の欲求をダビデは捨てきれなかったのです。この心が継承されれば神殿が偶像になってしまうのです。事実ソロモンによって建立された第一神殿はイスラエルの「神殿礼拝」という偶像礼拝を定着させる結果となりました。主なる神様hこの偶像礼拝を悔い改めに導くために多くの預言者を送り警告されましたがそれは全て徒労に終わりました。そこで主なる神様はエルサレム陥落バビロン捕囚という裁きを下されるのです。

=注目語句=

語句①前に出る(18):英語went;ヘブル語ボウ[入っていく]

語句②座す(18):英語sat;ヘブル語ヤシャーブ[座る,居住する,残る]

語句③はるか先のこと(19):英語a great while to come[来るべき長い間](KJV), lasting dynasty[永続した王朝](NLV);ヘブル語ラホグ[遥かな, 距離が遠い]

語句④人に対するみおしえ(19):英語manner of man;ヘブル語アダーマ・トーラー[人・掟(態度,慣習,法律)] ※ダビデは主なる神様を「神、主よ」と特別に読んでいます。ヘブル語でアドナイ・イェホバ[主なる神]です。