サムエル記第二5章-2

サムエル記第二5章-2(13-25)
=本章の内容=
➌エルサレムで生まれた子供達❹ペリシテ人との戦い
=ポイント聖句= 13,ダビデは、ヘブロンから来た後、エルサレムで、さらに側女たちと妻たちを迎えた。ダビデにはさらに息子たち、娘たちが生まれた。24,バルサム樹の茂みの上で行進の音が聞こえたら、そのとき、あなたは攻め上れ。そのとき主はすでに、ペリシテ人の陣営を討つために、あなたより先に出ているからだ。 [ペリシテ人との戦い(5章)の経緯] [1]ペリシテ軍がレファイムの谷間を侵略 [2]ダビデが主に伺いを立てる [3]イスラエル軍がバアル・ペラツィムで勝利する [4]ペリシテ軍が再度レファイムの谷間を侵略 [5]ダビデが主に伺いを立てる [6]ペリシテ軍の背後から急襲し勝利する [7]イスラエル軍がゲバからゲゼルに至るまでのペリシテ人を討った =黙想の記録=
➌13-16節:エルサレムで生まれた子供達・・・ヘブロンで母親6人から6人の子供が誕生してます。エルサレムでは新たに何人の妻や側室を持ったのかははっきりしていません。歴代誌には、19人の息子の名前が言及されていることから、ダビデの生涯において多くの妻や側室が王宮に同時に居たことが伺い知れるのです。『王の規定(申命記17:14-20)』には「また王は、自分のために多くの妻を持って、心がそれることがあってはならない。自分のために銀や金を過剰に持ってはならない(17:17)。」と明記されています。ダビデはこの律法に明らかに違反しているのです。子供が4人もいたことからバテシェバだけは特別な恋愛感情があったのかもしれませんが、他の妻や側室の場合前述しましたが他国の王朝に倣いダビデ王朝を築き上げる為に愛情抜きの政略結婚の要素が高いと思われるのです。この結婚に際しては「主なる神様に伺う」ことは一度もなかったのです。異教徒の国王の様に多くの男子を得ることがダビデ王朝を盤石なものにすると思い込んでいるところにダビデの不信仰が見えるのです。やがてこの子供たちが王朝を揺り動かす大きな問題の種になっていくのです。
❹17-25節:ペリシテ人との戦い・・・「17ペリシテ人は、ダビデがイスラエルの王になったと聞くと、何とか彼を捕らえようとしました。ペリシテ人来襲の報が伝わると、ダビデは直ちに要害に下って行きました。(リビングバイブル)」。このペリシテ軍の攻撃の時期はエルサレム(エブス人)攻略以前と思われます。この時点でのペリシテ軍はダビデ一人を捕縛してしまえば、サウル軍の様にイスラエルは胡散霧消してしまうだろうとダビデ軍の力を見くびっていました。全イスラエルの王となったということは全イスラエルから屈強の兵を招集できることを意味しており、ペリシテ軍の敗戦はダイスラエル軍をあまりにも過小評価していたためです。ペラジム山はつまり「裂け目の丘」と呼ばれており、レパイムの谷の北にある岩だらけの高地です。それゆえ、イスラエル軍はペリシテ人の軍勢を迂回し夜陰に乗じてペリシテ軍の北側のベン・ヒンノムの尾根に到達しそこから夜明けに宿営地を急襲した様です。「20,主のおかげだ。主は押し寄せる洪水のように、敵をひと飲みになさった(リビングバイブル)」とあるようにイスラエル軍の勢いはあたかもダムが決壊したかの様だったのです。この突然の攻撃でペリシテ軍は胡散霧消するのです。ペリシテ軍は彼らの神々が勝利を保証すると考え戦場にまで偶像を持ち出していたのです。この行為はイスラエル軍が神の箱を運び出して来たのを模したものです。滑稽にもペリシテ軍は大事に運んできた神々を敵軍に置いてきているのです。イスラエル軍は当てにならない神々であることをこれ見よがしにするためエルサレムまで運んできたとあります。一説によるとイスラエル軍の凱旋の際これらの偶像をかがり火にしたとされています。ペリシテ軍の最初の敗北では犠牲者が少なかった様です。ペリシテ軍はそれから少し離れたところに退却し本国からの援軍を待ち再び同じ場所に進軍したのです。最初の戦いはベン・ヒンノムの尾根から駆け下りる急襲でしたが、二度目は正反対の南側に大きく迂回しペリシテ軍が進軍して行く方向の真横から割って入るように攻め込むというものでした。「23-24,バルサム樹の林から出て行きなさい。バルサム樹の林の上から行進の足音が聞こえたら、出陣しなさい。それは、わたしが道を備え、必ず敵を滅ぼすという合図である。」とあります。イスラエル軍はバルサム樹の林(背丈は10m以上にもなり群生しているので身を隠すには好都合)に潜んで敵軍を待ちます。バルサム樹は芳香性樹ですから葉がちぎれたりすると強烈な香りがあたりに漂うことになり、多くのイスラエル兵がそこに潜んでいれば風下に居る敵軍には存在がすぐにばれてしまうのです。ですからペリシテ軍はよもやイスラエル軍がバルサム樹の林にに潜んでいるなどとは思いもよらなかったのです。これは想像の域を出ませんが、主なる神様は西方から東方へ進軍するペリシテ軍に気付かれないように、北風(北から南)を起しバルサム樹の香りを吹き消し同時に行進しているペリシテ軍の南側に居るイスラエル軍の気配を消し去って下さったのでしょう。また「バルサム樹の林の上から行進の足音が聞こえた」とあるのは、北からの強風でバルサム樹が音を立てて揺れ動きペリシテ人はその物音を「大群の来襲」と勘違い大混乱を起こしたと思えるのです。注目すべきは2度の戦いの前にダビデは主なる神様に2度とも伺いを立てているのです。一回目は正面突破を二回目は奇襲作戦を答えとお教えくださったのです。戦法は一様ではなかったのです。一度勝利を味わったからと言って油断してならないのです。逐次万軍の主の指示を仰ぐ必要があるのです。
=注目地名=地名①レファイムの谷間(18):英語valley of Rephaim;ヘブル語エイメッグ・レファイー[谷・古代の巨人族]・・エルサレム西約5km地点にあり縦幅5km横幅3kmの大地。
地名②バアル・ペラツィム(20):英語Baalperazim;ヘブル語バールペラツィム[ペラツィム山]
地名③ゲバ(25):英語Geba;ヘブル語ゲバー[丘]
地名④ゲゼル(25):英語Gazer;ヘブル語ゲゼール[分岐点] [ダビデの子供(エルサレムで誕生)]
※以下4人の母はバテシェバ
[1]シャムア(14):英語Shammua;ヘブル語シャムーア[名高い] [2]ショバブ(14):英語Shoba;ヘブル語ショバーブ[反抗的な] [3]ナタン(14):英語Nathan;ヘブル語ナサーン[提供者、提出者、贈与者、寄贈者] [4]ソロモン(14):英語Solomon;ヘブル語ショロモン[平和]※以下7人の母親は不明
[5]イブハル(15):英語Ibhar;ヘブル語イブハール[エホバが選んだ] [6]エリシュア(15):英語Elishua;ヘブル語エリシュア[私の神は富,神は救い] [7]ネフェグ(15):英語Nepheg;ヘブル語ネフェグ[芽生える] [8]ヤフィア(15):英語Japhia,;ヘブル語ヤフィア[輝いている] [9]エリシャマ(16):英語Elishama,;ヘブル語エリシュマー[神は聞かれた] [10]エルヤダ(16):英語Eliada;ヘブル語エリヤダー[神は知っておられる] [11]エリフェレテ(16):英語Eliphalet.;ヘブル語エリフェレットゥ[神は救出者]