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サムエル記第二4章

2024年6月27日

サムエル記第二4章
=本章の内容=

❶イシュ・ボシェテの暗殺❷イシュ・ボシェテの首

=ポイント聖句=

8,彼らはイシュ・ボシェテの首をヘブロンのダビデのもとに持って来て、王に言った。「ご覧ください。これは、あなたのいのちを狙っていたあなたの敵、サウルの子イシュ・ボシェテの首です。主は今日、わが主、王のために、サウルとその子孫に復讐されたのです。」
12,ダビデが命じたので、若い者たちは彼らを殺し、手足を切り離した。そしてヘブロンの池のほとりで木につるした。しかし、イシュ・ボシェテの首は、ヘブロンにあるアブネルの墓に持って行って葬った。

=黙想の記録=

❶1-7節イシュ・ボシェテの暗殺・・・目の上のたん瘤だったアブネルの死はイシュ・ボシェテにとって心の解放になったでしょうか。残念ながらNOです。アブネルの死によってイシュ・ボシェテは剣と盾の両方を失ってしまったからです。同時にダビデとの和平交渉も破棄されたのも同じです。これから先は恐怖でしかないのです。イシュ・ボシェテは主なる神様に頼った経験がありません。なぜならイシュ・ボシェテにとって神はアブネルその人だったからです。この感情はイシュ・ボシェテだけではありません。11部族は悲惨な未来が近づいていることに怖れ慄いているのです。バアナとレカブはベニヤミン族に同化していったカナン人です。このカナン人はサウルの時代に全国から招集された強者の兵士達です。指揮官がいなくなった軍はまさに略奪隊そのもので手当たり次第無防備な町々村々に襲い掛かっていたのではないでしょうか。こうした兵達に道義など通用しないのです。彼らの忠誠心はまさに風の様です。下剋上は当たり前と考えていたのでしょう。イシュ・ボシェテの首を取り、敵将の前に引き出せば何らかの手堅い報酬をあるいはダビデに寵愛されることを期待していたのでしょうか。「5-7,レカブとバアナはある昼下がり、イシュ・ボシェテの家を訪れました。王はちょうど昼寝の最中でした。二人は小麦の袋を取りに行くふりをして台所に近づき、こっそり王の寝室に忍び込んで、そこで王を殺し、首をはねました。(リビングバイブル)」イシュ・ボシェテは全く無防備だったのは先の戦いで近衛兵も手薄状態だったからでしょう。この二人は難無く首を取りまっしぐらにヘブロンに向かいます。この部分にヨナタンの息子メフィボシェテのことが挿入されています。メフィボシェテは不幸な出来事の為に足が不自由な身体障害者です。当時身体に障害がある場合王位を継ぐことは許されていません。つまり、イシュ・ボシェテが暗殺されればサウル王家に跡取りは実質上いなくなることを表現しているのです。父を亡くし障害者となった不運なメフィボシェテがその後どういう運命を辿ったかはサムエル記第二9章に記載されている通りです。

❷8-12節:イシュ・ボシェテの首・・・マハナイムからヘブロンまで約130km。ラクダを使ったとしても3日かかる行程をひたすら駆け抜けていく様子が描かれています。自分たちの行為がきっと称賛されることに胸膨らむ思いでいっぱいだったのでしょう。『8,彼らはイシュ・ボシェテの首をヘブロンのダビデのもとに持って来て、王に言った。「ご覧ください。これは、あなたのいのちを狙っていたあなたの敵、サウルの子イシュ・ボシェテの首です。主(ヘブル語イェホバ)は今日、わが主(ヘブル語アドーン)、王のために、サウルとその子孫に復讐されたのです。」』意気揚々とダビデの前に出た二人でした。アブネルを王冠と腕輪を持っていったアマレク人の若者の話は彼らに伝わっていなかのでしょうか。残念ながら彼らの耳には届いていなかったかあるいは関心がなかったのでしょう。褒章が得られるあるいは昇進できる千載一遇のチャンスに夢中のあまり忘れてしまったのかもしれません。ダビデはこの二人の人物に死刑を宣告します。国王に対する「反逆罪」ではなく、単なる「殺人罪」です。すでに王位はダビデに渡っているからです。戦闘によってではなく無抵抗な人間を惨殺したことによる「殺人罪」です。「12,ダビデが命じたので、若い者たちは彼らを殺し、手足を切り離した。そしてヘブロンの池のほとりで木につるした。」とありますが、例のアマレク人の若者の処罰とは比較にならないほど残酷なものです。これはユダヤ人が「度量衡のための尺度」または「同態復讐法」と呼ぶものです。(出エジプト記21:23-25) 報復の連鎖を断ち切るための律法をダビデは遵守したとも言えるのです。ダビデ個人の感情からではなく律法に則って刑を冷静に執行したことを公にしたかったのです。しかし穿った見方をするのなら、これもヨアブに対する警告とも取れるのです。ヨアブは当然の権利を行使してアブネルを殺害しました。復讐心を押しとどめ当然の権利を放棄すこともできたのです。それには主なる神様への絶対的な信頼が必要であることは言うまでもありません。ヨアブにそれができなかったのは功名心という肉の欲求が付き纏っていたからなのです。

=注目語句=

=注目語句=
語句①ベエロテ人(2):英語Beerothites;ヘブル語べイロース[井戸]・・・べイロースの住民。エルサレムの北15kmにある町の名。カナン人であったがベニヤミン族に同化していった。男子はサウル軍の兵士となった者が多い。ヨアブの道具持ちもこのベエロテ人(歴代誌第一11:39)

語句②気力を失った(1):英語his hands were feeble[彼の手は弱弱しかった],;ヘブル語ヤードゥ・ルァファー[健康(力,)・沈む(落胆する)]

語句③おじ惑った(1):英語were troubled;ヘブル語マハイ[不安になる,焦る,怖がる,緊張する] =注目地名=

地名①ギタイム(3):英語Gittaim;ヘブル語ギタイーム[二つのブドウ搾りの桶]

地名②アラバ(7):英語plain;ヘブル語アラバー[砂漠の平地,荒野] =注目人物=

人物①バアナ(2):英語Baanah;ヘブル語バアナア[苦し紛れ]

人物②レカブ(2):英語Rechab;ヘブル語レハーブ[騎手]

人物③リンモン(2):英語Rimmon;ヘブル語リモーン[ザクロ]

人物④メフィボシェテ(4):英語Mephibosheth.;ヘブル語メフィボシェ[偶像退治]