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サムエル記第二章3章-4

2024年6月27日

サムエル記第二3章-4(22-27節)
=本章の内容=

❺アブネル殺害

=ポイント聖句=

27-28,アブネルはヘブロンに戻った。ヨアブは彼とひそかに話そうと、彼を門の内側に連れ込み、そこで彼の下腹を刺した。こうして、アブネルは、彼がヨアブの弟アサエルの血を流したことのゆえに死んだ。

=黙想の記録=

❺23-27節:アブネル殺害・・・この部分のダビデは全く別人の様です。最高の軍司にして11部族に絶大な影響力を持っていたアブネルが己の軍門に下る様子がそんなにも痛快だったのでしょうか。正に「イスラエル全土の国王となる」という野心が湧いて来たかのようです。信仰に立って毅然とした態度で行動するダビデはいったいどこに行ってしまったのでしょう。前述した様にアブネルの処遇については「臣下との相談」や「公の場で主なる神様に伺いを立てる」というステップを一つも踏んでいないのです。こうしたダビデの杜撰なアブネル対策がやがてアブネルの悲劇を招きまた勇士ヨアブのダビデへの不信を抱かせるようになるのです。『23-25,ダビデのもとを訪れたアブネルとの話し合いが、極めて友好的だったと聞くと、ヨアブは王のもとへ飛んで行きました。「あんまりではございませんか。アブネルをむざむざお帰しになるなど、もってのほかです。あの男の魂胆はご存じでしょう。われわれを攻めるために、動静を探りに来たに違いありません。」(リビングバイブル)』ヨアブならずともアブネルを警戒するのは当然なことなのです。しかも本来ならアブネルを一時拘束した上でイシュ・ボシェテ軍の動向を見極める必要があったのです。が、ダビデは歓迎会まで開き歓待したうえで帰国させてしまったのです。「イズレエルの戦いでは陣頭指揮を執っていない、また敵将アブネルの処遇について臣下で相談しないまま訪問させ、また歓待した上で何の制約も付けないまま帰国させる」などヨアブに不信感を持たせる要素満載なのです。アブネルを無条件でさっさと帰国させたのにはダビデ側の理由があるのです。それはイズレエルの戦いでダビデの支持も待たずにヨアブは勝手な行動を取ったのです。ヨアブがこの場に居れば何をしでかすか分からないのです。ヨアブが過激な行動をとる可能性は大です。故にアブネルを早々に引き上げさせたのです。ダビデに諫言したもののそれを意に帰さない様子を見てヨアブはアブネル暗殺を決行します。アブネル暗殺は弟の復讐だけではなく、策士アブネルの命を絶たなければ再度攻撃を受けると踏んだからです。ダビデに気付かれないように隠密行動をとります。アブネルはダビデを装ってアブネルに使者を送りヘブロンに引き返すように伝言します。アブネルは何の疑いもなくヘブロンに戻りますが、ヨアブはアブネルを暗殺してしまいます。ヘブロンは「逃れの町(ヨシュア20:7)」です。城内で殺害すればヨアブは不法者です。ヨアブは城外でアブネルを殺害したのです。つまりヨアブにとってアブネル殺害は聖書で約束された「血の復讐者」としての正義の行為だったのです(民数記35:20-21)。両者のすれ違いによって引き起こされた悲劇ではありますが、これらは全てダビデの曖昧な信仰態度に原因があったと言えるのです。

=注目語句=

語句①略奪(22):英語from [pursuing] a troop[軍隊を追う];ヘブル語ゲドゥッド[軍隊から来て]・・・略奪という意味はない

語句②分捕り物(22):英語spoil;ヘブル語シャラウ[獲物,略奪]・・・語句①と合わせて考えると敵国の軍隊から奪取したものという意味になる

=注目地名=

地名①シラの井戸(26):英語the well of Sirah;ヘブル語ボール・セラ[井戸・方向転換]・・・ヘブロンから約4km地点