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サムエル記第二章3章-3

2024年6月27日

サムエル記第二3章-3(17-21節)
=本章の内容=

❹アブネル最後の演出

=ポイント聖句=

17-18,アブネルはイスラエルの長老たちと話してこう言った。「あなたがたは、かねてから、ダビデを自分たちの王とすることを願っていた。今、それをしなさい。主がダビデについて、『わたしのしもべダビデの手によって、わたしはわたしの民イスラエルをペリシテ人の手、およびすべての敵の手から救う』と言われたからだ。」

=黙想の記録=

❹17-21節:アブネル最後の演出・・・ダビデとの密約を交わしたアブネルは次に11部族の長老の説得工作に奔走します。恐らくどこかの段階で11部族の長老を集合させたものと思われます。この11部族の長老たちとしても一度はダビデに反旗を上げた訳ですから、アブネルの仲介は願ったり叶ったりなのです。『17-18,その間、アブネルはイスラエルの指導者たちと協議し、彼らが長年ダビデの支配を望んでいたことを確かめました。「今こそ、時がきたのだ! 主が、『わたしはダビデによって、わたしの民をペリシテ人から、また、すべての敵から救い出そう』とおっしゃったではないか」と、アブネルは言いました。(リビングバイブル)』で「ダビデの支配を望んでいた」とありますが、ツィクラグ時代でもダビデを慕って集団に加わる者達が数多くいたのです。さらにサウル軍のイズレエル戦での大敗北の結果ペリシテ人の圧迫は日増しに強くなり、表向きにはサウル家に忠誠を誓ったものの民心はすでにダビデになびいていたのをアブネルは逆手に取ったのです。ところで『18,・・・主が、「わたしは(ダビデ)によって、わたしの民をペリシテ人から、また、すべての敵から救い出そう」とおっしゃったではないか』の台詞は元々サウルに告げられたサムエルの言葉であってダビデへの宣告ではないのです。アブネルは主なる神様に従うような人物ではありません。それを敢えて「主(エホバ)」の宣託であるかのように長老たちに伝えたのは日和見主義者アブネル得意のパフォーマンスに過ぎないのです。ダビデがペリシテ人に果敢に向かっていた勇姿を思い出させることで、そのダビデを突き動かすことができる人物はアブネル以外に居ない事を際立たせるという演出なのです。「19,・・・ヘブロンにいるダビデのところへ行き、イスラエルとベニヤミンの家全体が良いと思っていることを、すべて彼の耳に入れた。」と、この作者の言い回しはこうしたアブネルの狡猾さを表現したものです。「20,アブネルは二十人の部下とともにヘブロンのダビデのもとに来た。ダビデはアブネルとその部下のために祝宴を張った。」とありますが、この20人は元々ミカル移送の護衛の為の20人です。アブネルはそこに同行したのです。このダビデによる祝宴は自分を歓迎するものと思い込んだアブネルは気をよくして「21,私は、全イスラエルをわが主、王のもとに集めに出かけます。彼らがあなたと契約を結び、あなたが、お望みどおりに王として治められるようにいたしましょう。」と大気炎をあげるのです。ダビデを全イスラエルの王にするのは私を置いて誰もいないと豪語しているようなものです。まさに「驕る平家は久しからずや」です。この直後アブネルはヨアブに急襲されることを夢にも思っていませんでした。