サムエル記第二章3章-2
サムエル記第二3章-2(12-16節)
=本章の内容=
❸悲劇の王女ミカル
=ポイント聖句=14-16,ダビデはサウルの子イシュ・ボシェテに使者を遣わして言った。「私がペリシテ人の陽の皮百をもってめとった、私の妻ミカルを返していただきたい。」イシュ・ボシェテは人を遣わして、彼女をその夫、ライシュの子パルティエルから取り返した。彼女の夫は泣きながら彼女の後を追ってバフリムまで来たが、アブネルが「行け。帰れ」と言ったので、彼は帰った。
=黙想の記録=❸12-16節:悲劇の王女ミカル・・・「12,・・・この国はだれのものでしょうか。私と契約を結んでください。ご覧ください。私は全イスラエルをあなたに移すのに協力します。」とは、「今や11部族を統率しているのは私だ」と言わんばかりの台詞です。主なる神様を畏敬の念などこれっぽっちも見出せません。ここで素朴な疑問が湧いてきます。イシュ・ボシェテ軍とダビデ軍が交戦したにはつい先日です。ですがこんなにもあっさりとダビデはアブネルの提案に乗ってしまうのはどうしたことでしょう。両軍の戦闘場面にダビデがいたかどうかは不明です。ダビデの性格からすると本来ならイシュ・ボシェテ軍との戦闘を回避して和睦する道を探ろうとしたと思うのです。ところが血気に逸るヨアブがダビデに判断を仰ぐことなくアブネルの提案に承諾し12人同士の決闘を始めてしまったのです。気が付けば全面戦争に発展してしまったのです。ダビデはこれ以上のイスラエル人同士の争いは無用と考えアブネルの申し出を承諾したのでしょう。しかしこの承諾はダビデの独断で部下やユダ族の重鎮に話を通していない節が見られます。ミカルとの婚姻関係を復活させようとしたのはミカルへの愛情が残っていたわけでは無くーそれが証拠にはダビデとミカルの間には子供がいません。―サウル王の娘と婚姻関係を取り戻すことはサウル王の義理の息子となることです。つまりサウル家との姻戚関係による動かしがたい盟約によって11部族を取り組む作戦だったのです。さらに言うならダビデはアブネルの危うい立場―重鎮たちに信頼されていなかったーに気付いていましたから、ダビデはアブネルではなくイシュ・ボシェテ本人にこのミカル返還の提案をします。どうせアブネルの差し金と知ってはいたもののダビデの提案に逆らうことはできません。荒野に彷徨っていた際にもしダビデがミカルを呼んでいたらミカルは何もかも捨ててダビデの元に飛んでいけたでしょうか。洞穴住まいに我慢できたでしょうか。またすでに6人の妻とその子供たちがいるのです。そんな複雑な家庭にミカルが入ることで嫉妬や憎悪の嵐が巻き起こらないでしょうか。ミカルはダビデにとって第一婦人です。しかしダビデの寵愛を受ける状況ではないのは分かりきっています。「16,彼女の夫は泣きながら彼女の後を追ってバフリムまで来たが、アブネルが「行け。帰れ」と言ったので、彼は帰った。」とありますが、パルティエルの元で平穏に暮らしていたミカルの様子が垣間見えませんか。ダビデの自己都合でまた引き戻すのは如何なものでしょう。ダビデはミカルを愛していたのか甚だ疑わしいのです。
[サウル(自殺)の子孫]【母アヒノアム】
①ヨナタン(戦死) メフィボシェテ ②アミナダブ(戦死) ③マルキ・シュア(戦死) ④イシュ・ボシェテ(暗殺) ⑤メラブ メラブの子[5人の息子](ギブオン人が殺害) ⑥ミカル 夫ダビデ→パルティエル→ダビデ |
【母リツパ(側女)】
② アルモニ(ギブオン人が殺害) ②メフィボシェテ(ギブオン人が殺害) |
人名①ライシュ(15):英語Laish;ヘブル語ライェシュ[ライオン]
人名②パルティ(15):英語Phalti;ヘブル語パルティ[救出,救助,釈放,解放] =注目地名=
地名①バフリム(16):英語Bahurim;ヘブル語バフリーム[青年の村]・・・エルサレムとエリコの間のにあるベニヤミンの町