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サムエル記第二章3章-1

2024年6月27日

サムエル記第二3章-1(1-11節)
=本章の内容=

❶ダビデの家族❷イシュ・ボシェテの誤算

=ポイント聖句=

1,サウルの家とダビデの家の間には、長く戦いが続いた。ダビデはますます強くなり、サウルの家はますます弱くなった。

=黙想の記録=

❶1-5節:ダビデの家族・・・異教の国王の例に倣って「①王朝の継続を図るため②イスラエル各部族や他国との融和を図るため」に一夫多妻をダビデは是としたのです。「また王は、自分のために多くの妻を持って、心がそれることがあってはならない。自分のために銀や金を過剰に持ってはならない。(申命記17:17)」と王の規定に明記されているのです。明らかにダビデはこの規定を無効にしています。ヘブロン時代は7年。この7年間で6人(アブシャロムの妹タマルを除く)の子供が生まれました。しかも全て母親が異なるのです。アブサロムの母マアカはゲシュルの王タルマイの娘であることから、これらの6人の妻との結婚は何らかの政治戦略が背景にあったように見受けられます。妻たちの生い立ちは記載されていませんが恐らく他部族との融和を図るために多くの部族の部族長の娘たちと婚姻し姻戚関係を結んだのではないでしょうか。ですから信仰心や王道に関する基本的な教育は母親に丸投げし本人は携わることがなかったはずなのです。信仰心を醸成する教育が蔑ろにされれば必ず混乱が生じるのです。「1,・・・ダビデはますます強くなり、」との言葉の後にダビデの子供の名が連ねてあることで、子沢山であることが繁栄の証と見るのは如何なものでしょうか。寧ろ子供の名前だけでなくその母親の名前も明記してあることから母親の出自や性格、または価値観や人生観の相違が子供達を形成し、その後のダビデ王朝に暗い影を落としていくていった予感をので呼ぶのす。

❷6-11節:恐らくダビデ軍との交戦はアブネルが計画したものでしょう。ユダ族を配下にしようと臨んだものの敗戦したことは、アブネルの将軍職としての威信を甚だしく落とすことになりました。また、イシュ・ボシェテ王もまた側近たちもこぞってアブネルに指導力に疑念を持ち始めていたことでしょう。「7,あなたはなぜ、私の父の側女と通じたのか。」とありますが、王の妻や側女(そばめ)は次期後継者の所有物であり、後継者以外の人間が彼女たちと関係を持つことは事実上イシュ・ボシェテの王位を無視し王位継承権を宣告したことになるのです。噂になるような事があったかもしれませんがアブネルが側女(そばめ)と実際に関係を持ったかどうかは不明なのです。何故ならアブネルはかなりの高齢でまたダビデ軍との戦闘に負けて来たのです。確かにアブネルは野心家ですが、道義に反するようなことをすれば当然部下たちの信用を落とし、諸部族からも侮られます。むしろイシュ・ボシェテのこの言葉は「噂を誇張しアブネルを部下たちの前で貶める」罠のように思えてなりません。重鎮たちも兵達も国民もアブネルに対して疑念を持ち始めた今だからこそ、その最大のチャンスなのです。アブネルの顔色を伺いながら国政を行う弱い国王というイメージを払拭するチャンスも今を置いては無いのです。ところが、アブネルの返答の第一声は「8,この私がユダの犬のかしらだとでも言うのか。」でした。ユダはつい先日まで戦いを交えていた敵です。「こんな馬鹿な真似をしてサウル王家に混乱を起こすようなことをするのはユダの犬(ダビデが送り込んだ工作員)の所業だ。そのユダの犬達の親分が私だというのか」という意味が込められているのです。アブネルはなおも「私はサウル王家の為に粉骨砕身尽くしてきたのに何という言い草だ」と怒りを爆発させるのです。しかしこれもアブネルのシナリオ通りだったのです。「疑念を抱かれただけならまだしも重臣たち部下たちの前で侮辱を受けたからにはそれ相応の態度をとるぞ。」と言ってのけるのです。その内容はシナリオ通りダビデに寝返ることです。またダビデに王位を移譲する宣言を11部族に触れ回ることです。「11,イシュ・ボシェテはアブネルを恐れていたので、彼に、もはや一言も返すことができなかった。」とありますが、良かれと思った思い切った大見えだったのですが、反ってアブネルの絶大な権力を思い知らされるのです。イシュ・ボシェテの大きな誤算だったのです。またアブネルにとってもダビデに「11部族の関係性の深さ」という貢物を持っていけばそのままユダ王国でも重鎮に慣れるという目論見は誤算に終わることを予測できなかったのです。

=注目人名= [1]ヘブロン時代の子供達6人

人名①アムノン(3):英語Amnon;ヘブル語アムノン[忠実,誠実,信頼できる] ・・・母アヒノアム:英語Ahinoam;ヘブル語アヒノアム[私の兄弟は喜びだ]

人名②キルアブ(3):英語Chileab;ヘブル語キルアブ[彼の父のような] ・・・母ルメル人ナバルの妻アビガイル:英語Abigail;ヘブル語アビガ・イル[私の父は喜びです]

人名③アブサロム(3):英語Absalom;ヘブル語アビシャロム[私の父は平和です] ・・・母ゲシュルの王タルマイの娘マアカ:英語Maacah;ヘブル語マアハー[抑圧]ゲシュル(アラム人)の王タルマイの娘

人名④アドニヤ(4):英語Adonijah;ヘブル語アドニヤフ[私の主はエホバ] ・・・母ハギテ:英語Haggith;ヘブル語ハギス[祝祭の,お祝いの,お祭り気分の,陽気な]

人名⑤シェファテヤ (4):英語Shephatiah;ヘブル語シャファティヤフ[エホバは裁かれた] ・・・母アビタル:英語Abital;ヘブル語アビタール[私の父は露です]

人名⑥イテレアム (5):英語Ithream;ヘブル語イェセレアーム[国民の利益] ・・・母エグラ:英語Eglah;ヘブル語アゴール[若雌牛] [2]イスラエル統治時代の子供達13人+α

●シメア・ショバブ・ナタン・ソロモン・・・母バテシェバ

●イフハル・エリシャマ・エリフェレテ・ノガハ・ネフェク・ヤフィア・エリシャマ・エルヤダ・エリフェレテ
(10人)・・・母の名前は不明

人名⑦アヤ(7):英語Aiah;ヘブル語エイヤ―[ハヤブサ]・・・恐らくエドム人

人名⑧リツパ(7):英語Rizpah;ヘブル語レツパー[歩道,人道]