サムエル記第二章2章-3

サムエル記第二2章-3(15-32節)
=本章の内容=
❸アサエルの死とアブネルの敗走
=ポイント聖句=30-31,一方、ヨアブはアブネルを追うのをやめて帰った。兵たちを全部集めてみると、ダビデの家来十九人とアサエルがいなかった。ダビデの家来たちは、アブネルの部下であるベニヤミン人のうち三百六十人を討ち取っていた。
[本章の経緯③] [9]本格的な戦闘状態・・・ユダ軍が優勢となる [10]アブネルの敗走・・・アブネルがアサエルを殺害 [11]アンマの丘でアブネルが停戦を申し出る [12]兵が解散。・・・双方の被害ダビデ軍20人:アブネル軍360人 [13]アサエルを埋葬する =黙想の記録=❸17-32節:アサエルの死とアブネルの敗走・・・経緯に従って両家の争いの経緯を以下のようにまとめてみました。
[9]本格的な戦闘状態・・・「少人数の兵士の直接対決で雌雄を決したい」とのアブネルの目論見は反って両軍の兵に火をつけるだけでした。指揮官ヨアブの若さが冷静さを失わせたのでしょう。両軍は本格的な戦闘へと突入していきます。イシュ・ボシェテ軍は付け焼刃の俄か作りの軍隊です。一方ダビデ軍は百戦錬磨の経験値の高い猛者ばかりです。イシュ・ボシェテ軍が適う相手ではありません。
ヨアブとアビシャイはアブネル追撃を止めません。まだ息をしていたかもしれないのにです。兄弟を見捨てても武勲を立てることがそれほど重要なのでしょうか。ここにヨアブの今後の冷徹にして日和見主義の人生を占うことができるのです。ダビデ軍が追撃の為方々に散ってしまった一方アブネルの周りに次々とベニヤミン人が集結してしまいます。ヨアブとアビシャイはこれを見てアブネル追撃を躊躇したのでしょう。数の上での優位に立ったアブネルは停戦を申し出ます。『26-27,アブネルは、ふもとのヨアブに向かって叫びました。「いつまでも殺し合いを続けてはいられない。いつになったら、同胞同士で争うのをやめさせるつもりだ。」ヨアブは答えました。「神にかけて誓うが、もしおまえがそう言わなかったら、われわれはみな、明日の朝まで追撃を止めなかっただろう。」』「身内の争いはもうここまでにしよう。我々が弱体化すればペリシテ人の思う壺ではないか」とアブネルは提案ます。それに対しヨアブは「停戦は本意ではないが、お前が弱気を出してそう言い出すのだから、その話に乗ってやろうじゃないか」と、停戦を自分から言い出せなかったヨアブのプライド丸出しの返答をするのです。ここに至って弟の無残な死骸を見たことやまた人数に勝るベニヤミン人兵士を見てきっと怖気ついてしまったのでしょう。この辺りはダビデとは全く異なる性格です。「主なる神様の命なら死をも辞さす。」の覚悟がヨアブにはないのです。 [12]兵が解散・・・ヨアブの角笛によりダビデ軍は退却し、イシュ・ボシェテ軍は60km先のマハナイムに平地を辿って退却します。一方ダビデ軍はその地で遺体の処理をしてから翌日退却したようです。調べるみると戦死者はダビデ軍20人に対してアブネル軍360人という大差が出ていました。この差は双方の兵士の能力のレベルの違いそのものです。しかしダビデにとって勇士アサエルを失うことは大変な損失だったのです。
[13]アサエルを埋葬する・・・血まみれのアサエルの遺骸を運び出し故郷ベツレヘムの父の墓に葬ります。ヘブロンではないのです。それが慣習とはいえダビデに戦果を報告できないヨアブの憤懣やるせない気持ちがヘブロンへの寄り道であったのかもしれません。ダビデに合わす顔がないのです。 =注目地名=
地名①ギアハ(24):英語Giah;ヘブル語ギア[突進する・噴出する]・・・ギベオンの近く
地名②アンマ(24):英語Ammah;ヘブルアマー[1キュビット]・・・ギベオン近くの丘