サムエル記第二章2章-1

サムエル記第二2章-1(1-7節)
=本章の内容=

❶ユダの王となるダビデ

=ポイント聖句=

1,この後、ダビデは主に伺った。「ユダの町のどれか一つへ上って行くべきでしょうか。」主は彼に「上って行け」と言われた。ダビデは、「どこに上ればよいでしょうか」と聞いた。主は「ヘブロンに」と言われた。

[本章の経緯①] [1]伺いを立てるダビデ・・・ヘブロンに決定される

[2]ヘブロンに定住

[3]ユダ族の人々がダビデに油を注ぎユダの国王とする

[4]ヤベシュ・ギルアデの人々に使者たちを送る・・・サウル埋葬に対する感謝と称賛

=黙想の記録=

士師記の時代イスラエルには最初の内戦状態がありました(ベニヤミンVsイスラエル:士師記20:20-48)。2章でイスラエルは2度目の内戦状態に突入します。内戦の構図は「主なる神様の召命を受けたダビデVsサウルの最後の息子イシュ・ボシェテ」のどちらを国王とするかの戦いです。

❶1-7節:ユダの王となるダビデ・・・ダビデの取った行動を以下にまとめてみます。主なる神様に将来を委ね冷静沈着な行動をとるダビデの様子が伺えます。

[1]主なる神様に伺いを立てる・・・サウルの死後ダビデが取った態度は主なる神様への恭順です。ダビデは正当な王位継承者でしたが後ろ盾となるサムエルはもうこの世にはいません。また1年4か月もの間ペリシテ人に組していたと思われているのです。全イスラエルの信頼を得るには大きな山場を越えていかなければならないのです。しかし、青年期に経験した信仰の脆さから成長したダビデは今後の進路について公の場で主なる神様に伺いを立てます。「主なる神に伺いを立てる」ときそこには必ず祭司集団がおり、またダビデの部下が在席しています。つまり全ての決定はダビデの独断ではないことを意味しているのです。この「伺い」の結果導かれたのがヘブロンです。

[2]ヘブロンへの移動・・・ヘブロンは「注目地名」に記載した通りイスラエルの歴史と深い因縁がペリシテ人と対峙する戦略的にも重要な場所と思われます。またダビデと友好関係にある諸氏族に隣接しています。またイスラエル最南端の「のがれの町」であり主なる神を嗣業とするレビ人が常駐している信仰的な環境が整った場所とも言えるのです。廃墟となったツィクラグからヘブロンまで約24km。一族を引き連れて1日もあれば十分移動できる場所です。「3,ダビデは、自分とともにいた人々を、その家族ごと連れて上った。彼らはヘブロンの町々に住んだ。」で、「住んだ」は「安住した」の意味があります。一族は荒野での放浪時代からようやく安住できるイスラエルに戻ることができたのです。万感胸に迫るものがあったことでしょう。

[3]油注ぎを受けるダビデ・・・「4,ユダの人々がやって来て、そこでダビデに油を注ぎ、ユダの家の王とした。」とありますが、ユダ族にとってダビデはヤコブが預言した(創世記49:8-10)待望の王なのです。ダビデにあった主なる神様の摂理は誰が見ても明らかだったのです。

[4]ベシュ・ギルアデに使者を送る・・・使者を送った理由は第一にペリシテ人の手からサウルとその子孫の遺体を取り戻した住民の勇敢さとサウル王に対する恩義を果たすというその崇高な行いを誉め讃え感謝するためでした。第二にベシュ・ギルアデの住民をペリシテ人の反撃から守ることを約束するためでした。「6どうか、主が真実をもって報いてくださり、その恵みと愛を表してくださるように。私からも礼を述べ、感謝のしるしにできるだけのことをしよう。(リビングバイブル)」の言葉にその約束が明記されています。第三にダビデをイスラエルの王として認めてもらう為でした。「7,サウル王亡き今、私のもとで、忠実でりっぱな兵士として励んでもらえないか。私を王に立ててくれたユダの家のように。(リビングバイブル)」の言葉に明記されています。

=注目語句=

語句①住んだ(3):英語dwelt(KJV)[居住した], settled(NLT)[安定した,落ち着いた];ヘブル語ヤシャーブ[居住する,残る,座る] =注目地名=

地名①ヘブロン(1):英語Hebron;ヘブル語ヘブローン[つながり,関連,連想,提携,同盟合同、連合]・・・ヘブロンはエジプト文明時代にすでにあった(民数記13:22)。長い間アブラハムが居住した場所。(創世記13:18)。アブラハム・サラ・イサク・ヤコブが埋葬された場所。地中海から約900mの高さの南ユダヤ丘陵地帯の谷間にある。エルサレムから南西約32km、ペリシテ人の町ガテから東西約24kmに位置する。ブドウ栽培がさかんでそのの品質は最高級だった。偵察隊が荒野でモーセに「ぶどうの房」を持参したのはこのブドウのこと(民数記13:23)。祭司の町であり(ヨシュア記21:10-11)、のがれの町の最南端(ヨシュア記20:7)だった。

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