ヨハネの手紙第二 1章
ヨハネの手紙第二1章
=本章の内容=
❶手紙の受取人である教会の評判❷反キリストの出現➌挨拶
=ポイント聖句=そこで夫人よ。お願いしたいことがあります。それは私が新しい命令を書くのではなく、初めから私たちが持っていたものなのですが、私たちが互いに愛し合うということです。(1:5)
=黙想の記録=●ここに使われている「夫人」「あなたの姉妹」は単数形です。特定の人物を指すのかそれとも教会という言葉の隠語なのか定かではありません。第三の手紙には「教会」が三回も出てくるので、「夫人=教会」説も不確定になります。しかし本章を読み進むと、この夫人の立場が教会の指導者としての色合いが濃くなるのを覚えます。第一第二の手紙には「教会」の単語が使われていない為、本格化した迫害下で「教会」の字が踊る書簡が何者かに奪われ密告されたら、受取人は捕縛される危険が容易にあるとも思われます。第三の手紙は比較的安全な地域に向けて書かれたとも言えます。
●本章でも受肉されたキリストを否定するグノーシス主義者への警戒がテーマです。惑わす者を「反キリスト」と呼称するのはヨハネの手紙だけの特徴です。ヨハネの時代から現代に至るまで同様な人物が出現することも悪魔が実在することの証明です。
●本章の後半に「あなたがたのところに行って、顔を合わせて語りたいと思います。私たちの喜びが全きものとなるためにです。」(1:12)とありますが、実際のところヨハネは彼らに対面することは叶いませんでした。基督者同士の関係は時に一面識もないのに、あるいは言葉の違う国民であっても、対面すると何か懐かしく嬉しくなってくるのはとても不思議な感覚です。更に対面する兄弟姉妹が遠方からの旅人である場合、最大限のもてなしをしたいと感じるのも同様です。互いのうちに内住する聖霊によって魂が共鳴しているからなのです。