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サムエル記第一27章

サムエル記第一27章
=本章の内容=

❶ペリシテ人の地に住むダビデ

=ポイント聖句=

1,ダビデは心の中で言った。「私はいつか、今にサウルの手によって滅ぼされるだろう。ペリシテ人の地に逃れるよりほかに道はない。そうすれば、サウルは、イスラエルの全領土内で私を捜すのをあきらめ、こうして私は彼の手から逃れられる。」

=黙想の記録=

=黙想の記録=
❶1-12節:ペリシテ人の地に住むダビデ・・・『1しかし、ダビデは心中、こう考えていました。「いつか、王は私を捕らえようとやって来るに違いない。そうだ、ペリシテ人の中にまぎれ込んで試してみよう。そして王が追跡をあきらめてくれれば、何も心配はなくなる。」(リビングバイブル)』とあるように二度にわたるサウル軍の追跡に遭いダビデの信仰は萎えてしまいます。主なる神様の御手により何度も窮地から救われたのを体験しているにも拘らずダビデの信仰は根底から揺るいでいたのです。ダビデが敵軍の王サウルから追われていることはガテの王アキシュにとって周知の事実でした。600人もの兵士を連れてガテに投降するということは明らかに亡命行為です。アキシュにとってダビデはイスラエル征服における重要な人物となりうることを予想し、この亡命を快く受け入れてしまうのです。本章では主なる神様に解決を願わず、自分の心の赴くままに行動してしまい最後には更に大きな窮地を招く様子が書かれています。その様子を以下にまとめてみます。
[1]サウル王は何度もダビデを捕らえにやって来る。ペリシテ人の地に逃れるよりほかに道はない。(1)・・・ゴリヤテとの一騎打ち以降主なる神様は何度ダビデを救ってきたことでしょう。詩篇34編で「19,正しい人には苦しみが多い。しかし主はそのすべてから救い出してくださる。」でダビデは主なる神様の救いを確信していたのです。ダビデにこの確信が薄れるのと反比例して人への恐れが増幅していったのです。窮地を逃れるために敵の保護を求めたのです。確かにペリシテ人を恐れたサウルはダビデを追うのを断念します。しかし以降ダビデの生活には主なる神様の導きは疎(おろ)か平安さへも見失っていくのです。
[2]地方の町の一つの場所を私に下さい。(5)・・・この申し出によりツィクラグという場所をアキシュから供与されることで安全が保障されるのです。しかし、異国に住むということは、ダビデにもまた自分を慕って来た多くの人々にユダヤ民族としての誇りを捨てさせ、異教徒として生活することを強要したことになるのです。また故郷に二度と帰れないことを意味しているのです。
[3]ダビデがペリシテ人の地に住んでいた日数は一年四か月であった。(7)・・・ダビデ達はアキシュのしもべとして16か月も定住するのです。生活安定の基盤はペリシテ人との交流に依ることは間違いありません。異教徒から食料を得るだけでなく異教徒の為に働かなければなりません。彼らの生活を享受していくうちにダビデもまた同行した人々も主なる神様への信仰は薄れていき異教の風俗習慣に染まっていくのは必然的なのです。
[4]ダビデは部下とともに上って行って、ゲシュル人、ゲゼル人、アマレク人を襲った。(8)・・・ダビデがカナン人を襲撃したのは主なる神様の命令ではありません。自分たちの保身の為の偽りの行動です。彼らは兵士ではなくもはやペリシテ人同様「野蛮な盗賊」と化してしまったのです。
[5]アキシュが「今日は、どこを襲ったのか」と尋ねると、ダビデはいつも、ユダのネゲブとか、エラフメエル人のネゲブとか、ケニ人のネゲブとか答えていた。(10)・・・自分たちが生き残るためと言う理由で盗賊行為を正当化するのです。アキシュを刺激することを避けるためダビデは平気で嘘をつくのです。欺瞞と嘘はサタンの常套手段です。ダビデは自分自身とダビデを慕って来た仲間たちをサタンの一流の部下にしてしまったのです。
[6]ダビデは男も女も生かしておかず、ガテに一人も連れて来なかった。(11)・・・略奪先の住民を皆殺しにしていったのです。嘘を隠し通すための方便がこの皆殺しです。主なる神様の許可もなく行う残虐行為です。ダビデは主なる神様の言葉によって主なる神様に信頼する生活を教育することをせず、目的の為なら殺人も辞さずという「人でなし」を作り上げていってしまったのです。

=注目地名=

地名①ツィクラグ(6):英語Ziklag;ヘブル語スィケラク[巻かれたもの,巻くこと,屈曲,巻き線]・・・ユダ南部の町

地名②ネゲブ(10):英語he south;ヘブル語ネゲブ[南の村]

=注目人物=
人物①マオク(2):英語Maoch;ヘブル語マオッフ[圧政] 人物②アキシュ(2):英語Achish;ヘブル語アヒッシュ[焦がす,炙る,黒ずむ,焙る]・・・ペリシテ人の町ガテの王

=注目語句=

語句①ゲシュル人(8):英語Geshurites;ヘブル語ゲシュリー・・・パレスチナ南部の民。フィリスティア人の領土の付近に住んでいました

語句②ゲゼル人(8):英語Gezrites;ヘブル語ゲズリー・・・ゲゼルはイスラエルの海岸平野とユダの丘陵地帯を分ける境界線である。エルサレムの西北西30kmに位置する古いカナンの町である。

語句③アマレク人(8):英語Amalekites;ヘブル語アマレキ・・・アマレク人はネゲブの南の砂漠で遊牧民として暮らしていたが次第に武力を強める様になった。強盗と略奪を生活の糧にしている野蛮な種族になっていった。

語句④エラフメエル人(10):英語Jerahmeelites;ヘブル語イェラヒメヒー[神の憐み]・・・ヘツロンの子エラフメエルを通してユダの子孫となった人々

語句⑤ケニ人(10):英語Kenites;ヘブル語ケニ・・・この部族は、モーセの舅でミディアンの祭司(出エジプト記3:1)であるイテロが、士師記1:16でケニテ人と呼ばれていることから推測できるようにミディアン人の分派だった。