最新情報

サムエル記第一26章-1

サムエル記第一26章-1(1-12節)
=本章の内容=

❶サウル殺害の再チャンス

=ポイント聖句=

10-11,ダビデは言った。「主は生きておられる。主は必ず彼を打たれる。時が来て死ぬか、戦いに下ったときに滅びるかだ。私が主に逆らって、主に油注がれた方に手を下すなど、絶対にあり得ないことだ。さあ、今は、枕もとにある槍と水差しを取って、ここから出て行こう。」

=黙想の記録=

❶1-12節:サウル殺害の再チャンス・・・24章同様ジフ人はダビデの所在をサウルに密告します。前回ダビデの前で涙を流し改悛の情を示したはずなのに、再び自分を討伐に来たのはダビデにとってとても信じがたいことでした。偵察に送った者から確かにサウル軍が進軍してきたことが報告します。そこでサウルは総司令官として前回の失敗から何も学んでいません。ダビデはサウル王を殺めようなどとは心に抱いてはいません。但し前回同様、サウルに身の潔白と主なる神様の御心を伝える為わざわざ出向くのです。この時ダビデは部下の中から同行させる者を選びます。大変危険な任務なのですがこの時ダビデの妹の子供アビシャイが買って出るのです。アビシャイはダビデに終生忠誠を尽くした勇猛果敢な軍人ではありましたが、時折大変感情的な行動に走りやすい性格でもありました。(Ⅰサムエル26:8・Ⅱサムエル3:26-30[アブネル殺害事件]・Ⅱサムエル16:9-11[シムイ殺害進言]・Ⅱ19:16-23[シムイ殺害進言])。ダビデとアビシャイがサウル軍陣営を眺めました。3000人は前回の常備軍でまた重装備のまま行軍させられたのです。ジフまでの約50kmの行軍は前回同様兵を疲弊させるだけでした。サウルは前回の轍を踏まないようにと今度は洞窟を選ばす宿営の直中でしかも軍団長のアブネルが護衛するところで横になります。ところがサウル軍は今回も強行軍の為全員疲労の為深い眠りについてしまうのです。サウル王の居る場所まで何の抵抗なく潜入してしまいました。護衛の筈のアブネルさへも爆睡しているのです。サウルの枕もとには総合司令官が持つ槍とサウルの物とわかる水差し(水筒)が見えました。アビシャイはそのサウルの槍でサウルを一突きに殺害したいと申し出ます。アビシャイは前回の事件でサウル王に対するダビデの姿勢について他の部下から聞いているはずですがそこから学ぶことができなかったのです。青年期特有の功名心が心を支配する状態で主なる神様の計画の遂行という信仰心には無関心だったのです。しかしダビデは「人間的な千載一遇のチャンス」と「主の摂理的な導き」の違いを明確に悟っていました。『9-11,ダビデはそれを制しました。「殺してはならない。主がお選びになった王に手を下して、罪を犯してはいけない。主が、いつの日か必ず王をお打ちになるだろう。年老いて死ぬか、戦場で倒れるかして。 しかし、主が王としてお選びになった人を、この手で殺すわけにはいかない。今はあの槍と水差しを取って行くだけにしよう。」(リビングバイブル)と今回は何の躊躇もなくアビシャイの行動を制します。「主は生きておられる。主は必ず彼を打たれる。時が来て死ぬか、戦いに下ったときに滅びるかだ。」のダビデ言葉は特筆すべきものです。「彼を打つ」と言う言葉には病死や事故死の意味があります。古の記録を思い返せば突然死はありうることです。「戦いに下ったときに滅びる」はペリシテ人との戦闘を予想しているものですが奇しくも31章1-10節にある様にサウルはペリシテ人の攻撃で重傷を負い自害します。誰もサウルを救う者がいなかったのです。また遺体は故郷に埋葬されることもなく敵国の城壁で晒し者となったのです。サウル殺害のチャンスをダビデへの信仰のテストと捉えるなら24章は明らかに主なる神様の及第点を取っていなかったと言えます。24章のダビデは一時でも肉の誘惑によって混同していたからです。しかし26章のダビデは主なる神様のテストに見事に及第したのです。

=注目語句=

語句①ヒッタイト人(6):英語Hittite;ヘブルヘイス・・・ヒッタイト帝国滅亡後にシリア北部に移住し、紀元前8世紀以降に各地に離散したヒッタイト人の遠い子孫と考えられている。雷神を主とする多神教を信じ、『旧約聖書』ではカナン先住民の一族。のちイスラエル民族に混じた。エジプトに圧迫され、エーゲ海民族によって滅亡。聖書ではヘテ人はカナンの2番目の息子ヘトを祖とする人種(創世記10:15)であり、アブラハムのはるか以前から存在していた(創世記15:20)。ヒッタイト人はカナン地域の一部に住んでいたが後にイスラエルがその地を占領したときに領土を奪われる(出エジプト記3:8・17)と記述されている。アヒメレク以外にもウリヤもヘテ人で改心した異教徒ではあるがダビデ政権下では重要なポストを担っていたと思われる。

=注目地名=

地名①ハキラ(1):英語Hachilah;ヘブル語ハヒラ[暗闇]・・・南ユダ、ジフの荒野の端にある丘

=注目人名=

人名①アヒメレク(6):英語Ahimelech;ヘブルアヒメレフ[私の兄弟は王である]・・・ダビデの部下でヒッタイト人の戦士
人名②ヨアブ(6):英語Joab;ヘブルヨアーブ[イェホバは父]・・・ダビデの異母姉妹ツェルヤの子

人名③ツェルヤ(6):英語Zeruiah;ヘブルセルヤー[バルサム(香油の一種)]・・・ダビデの異母姉妹で、ダビデ軍の3人の主要な英雄(アビシャイ、ヨアブ、アサヘル)の母

人名④アビシャイ(6):英語Abishai;ヘブルアェビシャイ[私の父は賜物]・・・ダビデの異母姉妹ツェルヤの子