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サムエル記第一22章-1

サムエル記第一22章-1(1-5節)
=本章の内容=

❶アドラムの洞穴

=ポイント聖句=[/su_la

2,そして、困窮している者、負債のある者、不満のある者たちもみな、彼のところに集まって来たので、ダビデは彼らの長となった。約四百人の者が彼とともにいるようになった。
4,ダビデは両親をモアブの王の前に連れて来た。彼らは、ダビデが要害にいる間、王のもとに住んだ。

=黙想の記録=

青年時代の好奇心や情熱による言動は自惚れや自己過信を生みやすいものです。その自惚れや自己過信に陥った時、根拠に欠けている妙な自信を自分自身に思い込ませることが多いのです。その機を逃さず悪魔は誘惑をしかけてくるのです。狙いは主なる神様に信頼することを忘れさせ自力で問題を解決させることです。自分が期待する将来を自分で設計し自力で人生を構築しようとするのは悪魔の完璧な罠です。そこには主なる神様の御計画を遂行するために必要な「従順かつ忠実な信仰」は存在しないからです。残念ながらダビデがはこの悪魔の罠にいとも簡単に落ち、信仰の凋落(ちょうらく)を経験したのです。しかしこの惨(みじ)めな経験がかえってダビデの信仰のステップアップにつながるのは言うまでもありません。それが主なる神様の御心だったといえるのです。

❶1-5節:アドラムの洞穴・・・アドラムの洞穴はユダ族の領土内南方のかなり奥地にありました。外見上全てを失い行き場を失ったダビデは洞窟に避難することを余儀なくされました。このしかしこの時のダビデはこの悲惨な生活に絶望していません。かえって忘れていた主なる神様への信頼を回復しているために、目に見える城壁や武具などではなく、堅固な岩である方に守られ、万軍の主の指揮下にいることに自信を持ち始めるのでした。この信仰の潔さが人望をも作り出していくのです。両親や身内の者達はこんな危険極まりない状況下にいるダビデと行動を共にするのよほどの信頼が無ければ有り得ない事です。さらに「困窮している者・負債のある者・不満のある者」が400人も自発的主体的に集まって来たのも、神様が培ってくれた人望つまり潔い信仰の故だったのです。有能な者たちを見つけるとそれらの者たちを強制的に召し抱えたサウル(14:52)とは対照的です。さらにダビデは自分の両親をモアブの王に託します。異教徒でありかつての敵国に両親を置き去りにするのは危険であると思いませんか。ところがこのモアブ人こそはダビデの父エッサイの祖母ルツの故郷なのです。縁故関係がすでに存在していたのです。さらに言うならモアブ人を攻撃したのはベニヤ民族つまりサウルの一族です。サウルが敵視しているのがダビデです。私の推測ですが、以前のダビデは両親のアドバイスも一蹴していたかもしれません。ですが生まれ変わったダビデは両親にも従うことができたのでしょう。両親を父方の親戚に預けた後、ダビデは再びアドラムの洞窟に戻ります。モアブに居れば安心して暮らせるものをダビデはなぜ戻って来たのでしょう。これは洞穴に残ってダビデの帰りを待ちわびる人々と共に暮らすためです。400人の人々もそしてダビデの身内も安心してその身を委ねることができるほど、今のダビデは冷静沈着でなおかつ主にある希望と平安を感じさせる人物になっていました。さらにダビデの元に集まって来る負い目のある人々を誰彼と関係なく公平に扱い、臣下や使用人として区別するのではなく自分の友として愛情深く接する姿に感銘したのでしょう。自分を信頼して集まって来る人々を放っておくことなどダビデにはできないのです。ダビデは人生の全てを主に委ねる力強い信仰に替えられ再び戻った途端、預言者ガドが表れます。私の推測ですがガドはサムエルの預言者学校の門下生でサムエルに一目置かれた人物だったのではないでしょうか。一面識もなければダビデは素直に彼の進言を聞き入れるでしょうか。ガドの進言は「この要害にとどまっていないで、さあ、ユダの地に帰りなさい。」というものでした。ユダに戻ることは様々な危険と直面しなければなりません。しかし預言者ガドの進言に従った時、ダビデには「主なる神の御言葉」に従う決意が固まっていたのです。『どうかイスラエルの神、主が、その翼の下に避け所を求めてやって来たあなたを祝福してくださるように。(ルツ2:12)リビングバイブル』とはエッサイの曾祖母ナオミの言葉です。恐らく歴代伝えられた格言だったのではないでしょうか。ダビデは「今の危機に瀕する時こそ御翼の陰が用意されている」と確信したのではないでしょうか。ダビデとその一行400人以上を連れてアドラム洞穴からハレテの森に移動しました。ハレテの森には、より多くの洞窟や潜む場所がありました。

=注目語句=

語句①避難した(1):英語escaped;ヘブル語マラットゥ[こっそり逃げ去る,脱出する]

語句②集まって来た(2):英語gathered themselves;ヘブル語カバックス[集まる,集合する,一つにまとまる]・・・この言葉には「心を合わせて」集まる要素がある。このことから強制的に集められたのではなく自主的に自然に集まって来た様子が伺える

語句③とどまっていないで(5):英語Abide no;ヘブル語ヤシャーブ・ロウ[住み着く(座る,留まる)・ない(~なしで)] =注目地名=

地名①アドラムの洞穴(1):英語cave Adullam;ヘブル語メエラー・アドゥラーム[洞穴・国民の正義]・・・アドラムはユダに割り当てられ、低地に広がっているカナン人の町

地名②ミツパ(3) :英語Mizpeh;ヘブル語ミツぺ[見張り塔]・・・①ベニヤミンン人の性的犯罪にどう対処するかを論議した場所(士師記20章・21章)②ペリシテ人への反撃を論議した場所(Ⅰサムエル7章)③サウルを国王として紹介した場所(Ⅰサムエル10章)

地名③ハレテの森(5):英語forest of Hareth;ヘブル語ヤイェール・へレス[森(林)・森] =注目人名=

人名①ガド(5):英語Gad;ヘブル語ガッド[軍人のグループ]・・・ダビデの時代の預言者。ダビデが国勢調査を行った罪を責めた人物。