サムエル記第一18章-2

サムエル記第一18章-2
=本章の内容=
➌ダビデの結婚と仕組まれた罠
=ポイント聖句=28-29,,サウルは、主がダビデとともにおられ、サウルの娘ミカルがダビデを愛していることを見、また知った。サウルは、ますますダビデを恐れた。サウルはずっと、ダビデの敵となった。(新改訳2017版)
28-29,王は、主がダビデとともにいること、また、ダビデがどれほど民の信望を集めているかを思い知らされ、ますますダビデを恐れるようになりました。それで、以前にも増して激しくダビデを憎むようになっていったのです。(リビングバイブル)
=黙想の記録=➌13-30節:ダビデの結婚・・・「13-14王はダビデを恐れ、自分から遠ざけることにし、職務も千人隊の長にまで格下げしました。しかし王の懸念をよそに、ダビデはますます人々の注目を集めるようになっていきました。ダビデはその行く所どこででも勝利を収めました。主がともにいたからです。(リビングバイブル)」。ダビデはサウルを遠ざけ将軍から千人隊長へと降格させます。推測ですが軍司令部のあるサウルの都からペリシテ人と直接対峙する辺境の最前線各所に派遣してしまいます。あわよくばどこかでダビデが戦死するか負傷する可能性があったからでしょう。ところが予想を裏切り全ての戦場でダビデは勝利していきます。さらに全国民の心がダビデになびいいているのです。この連戦連勝にはダビデの実力以上のものがあることを悟ったサウルは言い知れない恐怖を覚えるのです。それはこのダビデの勝利は主なる神様の守りと導きが背景にあり、サムエルが預言した通り、イスラエル王の首を挿げ替えがまじかに迫っていると察したからです。そこでサウルは悪だくみを実行します。戦場で交わした。「ゴリヤテを倒した者に娘を嫁がせる」との約束の履行を利用しようとしました。サウロの婿となることは政治の中枢を担う者となることを意味しています。宮廷での事件や千人隊長に降格され辺境に追いやられ命の危険に晒されていることを考えるとサウルの提案に整合性がありません。慎重なダビデは丁重にこの申し出を辞退しますがサウルは強引に婚姻を決めてしまうのです。ところがサウルは婚姻式が行われる直前になってメラブを他の男性(資産家バルジライの息子)に授けてしまったのです。これがサウルの悪だくみなのです。以下は私の推測ですが。つまり「サウルがダビデに対して理不尽な行動をとることで、ダビデが深く傷つきそればかりかサウルの行動に憤慨し、思い余って軽率な言動を誘発できる」との踏んでいたのです。仮にサウルに対して反抗的な言動を取れば「反逆罪」でダビデを抹殺できるのです。ダビデは自分の疑念が的中したのでさらに慎重になり、何の反応も起こしませんでした。当てが外れたサウルは二番目の娘で同様な罠を張ります。ダビデの警戒を説き罠が見破れないようにするために、今度は家臣達を仲介者に立てるのです。ダビデがサウル王の婿になることは家臣一同の意志であるかのような進言をさせたのです。これも私の推測ですが、ミカルとダビデは相思相愛だったのでしょう。残念ながら結婚に関して一度も主なる神様の御意志を伺うことをしていないのです。以降7人の妻を持つことになります。バテシェバの一件もそうですが女性にだらしない人物だったと言えるのです。サウルが見抜いたのはダビデのこの弱点だったのです。ダビデは「23,私のように名もない家の貧しい者は、逆立ちしたって、王女を妻に迎えられるほどの仕度金は用意できません。(リビングバイブル)」と答えはしますが、舌下にはミカルとの婚姻を切望している節が見えるのです。そこでサウルは「敵であるペリシテ人100人を打ち倒し、その陽の皮を切り取って持ち帰れること」をミカルとの婚姻の条件としたのです。ペリシテ人にとってそれは屈辱でしかないのです。「ダビデが味方を殺すだけに飽き足らず遺体の身ぐるみを剥ぎ取りさらに遺体を切り刻むのです。ペリシテ人は激怒しダビデをどこまでも追跡し復讐しようとする。」そうサウルはダビデが必ずペリシテ人に殺害されると踏んでいたのです。ところがダビデは殺されるどころか、100枚でいいところを200枚の陽の皮を持ち帰ってきました。サウルの目論見は見事に外れました。ダビデを亡き者にするどころか、かえってその名声を高めてやったようなものです。サウルは地団太を踏んでいますが同時に、ダビデに恐怖を覚えるのです。それは主なる神様が彼の味方でなければこうした戦果を挙げることが不可能だからです。いよいよ主なる神様によって下される自分への裁きが近いとサウルは直感したのです。
=注目語句=語句①メホラ人(19):英語Meholathite;ヘブル語メホラフィ・・・恐らくバルジライの属する部族の呼称
語句②陽の皮(25):英語foreskin;ヘブル語オルラー[包皮]・・・男性の外性器を覆っている包皮(ユダヤ人の割礼で切り取る部分)・・・剣で殺すだけでなく遺体を切り刻むのは残忍な行為
=注目人物=人物①メラブ(19):英語Merab;ヘブル語メイラブ[増加する]
人物②アデリエル(19):英語Adriel;ヘブル語アディイエル[神の群れ]・・・バルジライ(Ⅱサムエル19:32,35)の息子。バルジライ自身は資産家で名士であった。
人物③ミカル(20):英語Michal;ヘブル語ミハル[誰が神の様であろう]