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サムエル記第一18章-1

サムエル記第一18章-1
=本章の内容=

❶ヨナタンの友情❷サウルの猜疑心

=ポイント聖句=[/su_la

3,ヨナタンは、自分自身のようにダビデを愛したので、ダビデと契約を結んだ。

12,サウルはダビデを恐れた。それは、主がダビデとともにおられ、サウルを離れ去られたからである。

[戦いの経緯⑤]
=黙想の記録=

❶1-4節:ヨナタンの友情・・・ダビデとヨナタンにはお互いが引き合う共通項がありました。戦いにおいての勇敢な行為や稀有まれな戦闘能力のことではありません。互いの能力に関心があるだけならそれは尊敬ではなく比較しているだけです。能力が減退すると同時に関心はなくなるのです。ヨナタンとダビデには主なる神様への死をも厭わぬ忠実さがあったのです。また主なる神様の栄光を汚す者は何人もそれを赦すことができないという正義感がありました。「1,・・・ヨナタンの心はダビデの心に結びついた」とはこのような状況だったのです。「3,・・・ダビデと契約を結んだ。」とありますがこの契約の中身は明かされていません。23章17節でヨナタンは「次期国王はダビデである」ことを明確にしています。するとここでの盟約とは「神の御心を第一としお互いに私心をもたない」とでも言うことでしょうか。「4,ヨナタンは着ていた上着を脱いで、それをダビデに与え、自分のよろいかぶと、さらに剣、弓、帯までも彼に与えた。」とありますが、上着は王子の権威を象徴するもので、それを着飾ることは王子と同格であることを意味しているのです。また「剣・弓・帯」を与えることは国王に次ぐ司令官と認めていることなのです。一方サウルは、「2,サウルはその日、ダビデを召しかかえ、父の家に帰らせなかった。」は前述した通り、今までのダビデの雇用形態は必要応じた「臨時雇用」でしたが、この時からようやく「正規雇用」になったということです。ところがサウルの真の狙いは同時にダビデを配下に組み入れることでダビデの人気を我が物にしたかったことなのです。

❷5-12節:サウルの猜疑心・・・「5ダビデは王の特別補佐官として、いつも任務を成功させたので、とうとう軍の指揮官に任命されました。この人事は、軍部からも民衆からも喜ばれました。(リビングバイブル)」とあります。ダビデはサウルやヨナタンに成り代わり前線に駆りだされその度に武勲を上げていきます。現国王にはない潔さや無欲で潔癖な所、そしてイスラエル人の為に粉骨砕身戦っているのです。これが人心を引き寄せるダビデの天性の魅力と言えましょう。ところが6・7節の些細な出来事を契機に、サウルが若き勇者に対して畏敬と同時に嫉妬心から猜疑心を抱くようになるのです。サウルはかつて光明を放つイスラエルの新星でしたがそれも一時でした。その光が徐々に暗くなり、さらに自分の目の前に映るダビデと言う新星の輝きが増すほどにサウルは耐え難い劣等感に陥るのです。さらに波の様に押し寄せるダビデの活躍と栄光を素直に受け入れられず、無力で陰鬱な心に燃え上がってくるのが嫉妬心でした。『6-7,ところで、ダビデがゴリヤテを倒し、勝利を収めたイスラエル軍が意気揚々と引き揚げて来た時、あることが起きたのです。あらゆる町々から沿道にくり出した女たちが、サウル王を歓迎し、タンバリンやシンバルを鳴らして、歌いながら喜び踊りました。 女たちが歌ったのはこんな歌でした。「サウルは千人を打ち、ダビデは一万人を打った。」』ペリシテ人の追撃から帰路に就いた兵士たちをイスラエルのすべての町から出てきて人々は歓呼の声で迎えます。女性や子供の一団も町や村から出て兵達と共に凱旋行進をし、勝利を祝いまた戦いの真の英雄にして勇敢な将軍ダビデに対し、敬意を表すために踊り回り、即興歌で兵士を讃えます。ところが女性たちに大意はなかったものの、この即興歌は現国王であるサウルを虚仮にするようなもでこれがサウルの逆鱗に触れるのです。「8,・・・あれにないのは王位だけだ。」との言葉からダビデが王位を狙うと思い込みが伺えるのです。サウルは聖霊の支配をすでに拒んでいます。悪魔はこの期に乗じてサウルの心を支配し、「人でなし」に彼を変えていくのです。悪魔はサウルの魂の乗っ取りに成功しますが、ダビデを次期国王にするという主なる神様の御計画までは知らなかったのです。そこでダビデ殺害計画をサウルによって実行し始めるのです。それはヘロデ大王が東方の博士から「次期国王が生まれた」という事実を知らされた時に3歳未満の幼児を虐殺した事件に酷似しています。(マタイ2:16-18)いつもの様にダビデは琴をもって音楽療法の為サウルに近づきます。「11,サウルは槍を投げつけた。ダビデを壁に突き刺してやろうと思ったのである。ダビデはサウルの攻撃から二度も身をかわした。」とありますが、一見するとこれはサウルの精神疾患からくる「狂気の発作」故のことだった善意に解釈してしまいますが、激情ならば一度槍を投げればクールダウンするはずです。しかしサウルは二度も投げているのです。サウルには明らかに殺意があるのです。しかも最初の一投は国王の権威の象徴である杖同様な槍です。二度目は武器の槍です。ダビデが仮に刺殺されてもそれは病気故の不可抗力だった弁明できるTPOだったのです。

=注目語句=

語句①結びついた(1):英語knit[しっかり結びつく](KJV), immediate bond[ほとんどすぐに(人)と仲良くなる](NLT);ヘブル語カシェエル[縛る,結託する,共謀する]

語句②契約を結ぶ(3):英語make a covenant[契約を結ぶ](KJV),make a solemn pact[厳粛な約束をする](NLT);ヘブル語ヴェリース[契約,有効同盟,誓約,憲法] =注目地名=