サムエル記第一16章-3

サムエル記第一16章-3(14-23節)
=本章の内容=

❸サウルに仕えるダビデ

=ポイント聖句=

18,家来の一人が答えた。「ご覧ください。ベツレヘム人エッサイの息子を見たことがあります。弦を上手に奏でることができ、勇士であり、戦士の出です。物事の判断ができ、体格も良い人です。主が彼とともにおられます。」

=注目聖句=

14,さて、主の霊はサウルを離れ去り、主からの、わざわいの霊が彼をおびえさせた。(新改訳2017版)

14,一方、主の霊はサウルから離れ、主が代わりに災いの霊を送り込まれたので、彼はいつも気が滅入り、何かにおびえるようになりました。(リビングバイブル)

14, But the Spirit of the LORD departed from Saul, and an evil spirit from the LORD troubled him.(KJV)【直訳】しかし、主の霊がサウルから離れ、主の悪霊が彼を悩ました

14, Now the Spirit of the LORD had left Saul, and the LORD sent a tormenting spirit that filled him with depression and fear.[憂鬱と恐怖でいっぱいにする](NLT)【直訳】さて、主の御霊がサウルを離れ、主は彼を憂鬱と恐れで満たす苦しみの霊をお遣わしになりました

※サウルは現代流に言えば統合失調症の症例が随所に見える。統合失調症の症状は大きく「陽性症状(妄想・幻覚・思考障害)」「陰性症状(感情鈍麻・意欲の欠如・自閉)」「認知機能障害(記憶力の低下・注意散漫・判断力の低下)」の3つに分ける。息子ヨナタンの活躍に嫉妬し殺害しようとしたこと(14:38-39)、ダビデを殺害しようとする行為(18:10-11)、裸のまま倒れていた(19:23-24)などに顕著な症状が見られる。

=黙想の記録=

❸14-23節:サウルに仕えるダビデ・・・「主の霊がサウルから離れ去る」との表現ですが、実際はサウル自らが主の霊の働きを無視し敢えて追い出したと考える方が納得できます。その結果国王が持つべき「勇気、正義感、慈愛」の心が「恐怖、猜疑心、嫉妬心」に置き換わってしまったのです。これらの感情を持った国王はその職務からさらに激しい精神疾患が引き起こされていると思われるのです。16節は現代流で言うなら精神疾患患者に対する音楽療法です。しかし音楽療法も症状を緩和することができても完全治癒には至らないのです。ここで思い出してほしいのは10章5節で出会った預言者集団(サムエルの預言者学校生徒)のことです。彼らが手にしていたのは琴、タンバリン、笛、竪琴の楽器です。この時彼らが奏でる音楽によってサウルは精神の高揚が図れたのです。この中でも竪琴の音色をサウルは殊の外好んでいたと推測されるのです。そのことをサウルは臣下にすでに語っていたかもしれません。16-18節はダビデがサウルに引き合わされたのは臣下の意図的な行為と思われます。ダビデは油注ぎを受けてからサムエルの預言者学校に在籍していたのではないかと思われるのです。そこでダビデは竪琴を習い竪琴の名手にまでなれたのではないでしょうか。恐らく臣下はサムエルとサウルの調整役としてサムエルの預言者学校にも足しげく通っていたのではないでしょうか。預言者学校の生徒たちの中で一際目立った存在がダビデだったのでしょう。推測ですがひょろひょろで青白い顔の他の生徒たちとは異なり、前述した様に、体格も顔つきも目つきもまるで兵士の様であったからでしょう。「18,・・・勇士であり、戦士の出です」とありますがサウルは熊や獅子と戦った以外に戦闘行為をしたこともありません。しかしこの臣下が前からダビデのことを見染めダビデの生い立ち等を事細かに調査していたと思われるのです。しかしこの臣下のダビデ推挙も初めから主なる神様の御配慮であることは間違いありません。臣下の提言を受けサウルはダビデを宮廷に招聘します。エッサイがサムエルのダビデへの油注ぎが国王の認証であることと知っていたら、サウルの元に送ることはなかったでしょう。それは死を意味していたからです。エッサイがダビデを介してサウル王に送った物品は貢物とは思えないあまりにもお粗末なものばかりです。ですがサウルはこれに満足しているのです。推測ですが因縁あるユダ族から若者を召し出すことが、ユダ族全体がサウル王へ従属したものと思えたからなのではないでしょうか。続けて呼び出しただけではなくサウルはダビデを直属の従者としてしまうのです。ダビデがサムエルから次期国王となることを告知されていたら果たしてダビデはサウルの傍にいることはできたでしょうか。ところで主なる神様はなぜ危険な場所にダビデを置いたのでしょうか。これにも深い神様の御配慮があると思えてなりません。それは宮廷生活の裏表をつぶさに見ることができたからです。またサウル王と言う反面教師から善王とは何かを学ぶことができたからでしょう。ベツレヘムの田舎にいたのでは学ぶことができないことです。

=注目語句=

語句①わざわいの霊(14):英語evil spirit[悪い例](KJV), tormenting spirit[精神的苦痛](NLT);ヘブル語ラー・ルアフ[悪い、不快な、悪性の・風、息、心、魂]